堺風の頭部

徘徊、カメラ、PC、その他。

ストリートファイターII Vを観た

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 今は作業BGVを流していたい状況にあるので、ぼちぼち古いアニメをだだ流しにしている。
 ルパン三世2ndシリーズとか旧版銀河英雄伝説とか、大物を少し前に見終わったので、次はどうしようというところで、この懐かしいのを見つけたのだ。

 うぃきぺによると95年にやってた番組だが、どうだっけ、リアルタイムで観てたかな。あの頃だと自室にテレビがなかったっけ。 

 

 さて、私なんかストIIリアルタイム世代だから、キャラはもう馴染みに馴染んだ、人生の友といっていいような連中だ。
 歌手もお笑い芸人もアイドルもあまり興味がないから、光GENJIKinKi Kidsとんねるずよりも、私はリュウとケンのほうに親しむ。
 千代の富士貴乃花と、エドモンド本田のどっちに親しむかは難しいところだ。私がずっと使ってたのはエドぽんだったものだが、さすがに千代の富士が相手では厳しい。

 

 アニメでエドぽんの活躍ぶりはどうだろう。まあ、あいにく人気キャラじゃないし、例えばこれくらいか。
 日本に来たケンと戦って負けるものの、改めて相撲ルールで再戦を挑む本田。負け惜しみは見苦しいぜといいながらケンが受けて立つも、相撲で横綱には敵わずコロコロ転がされる。それをもって本田は、戦いはルールや状況に大きく左右されることをケンに伝えるのだ。「ホーリーランド」でいう土屋さん。

 しかし、そもそもエドモンド本田は出演するシーンがなかった。ちょい役としてすら登場しなかった。
 他にブランカもサンダーホークもディージェイも出なかった。
 私は高校の頃には、その体格と顔の大きさからサンダーホークの異名をほしいままにしていたというのに。

 

 登場しているキャラはどうだったか。
 興味深いのはバイソンだ。このアニメは海外を経ていないので肖像権の問題もなく、バイソンといったらボクシングのM・バイソンの方。
 あいつが、シャドルーのスパイとしてインターポールに潜入する役回りだぞ。

 どうやったらそんな役が似合うのかわからんくらい似合わない。牛を素手で絞め殺しそうな体格しながら、眼鏡かけてスーツ着てインターポール。
 いくら90年代の二次元オタクはメガネっ娘大好きだといわれていたからって、バイソンがメガネっ漢になって誰が喜ぶんだ。それに眼鏡にスーツのインテリキャラは当時もあんまり人気なかったぞ。

 結局バイソンは戦う機会すらなく、運転手と使いっ走りをした末に、一方的にキャミィに半殺しにされただけだった。
 これだけ無理してまでバイソンを登場させてるくらいだから、全キャラを無理矢理にでも登場させるかと思ったのだけどなあ。

 

 まあ、全29話というすごく中途半端な話数で終わっている。多分、打ち切られたんじゃないかなあ。
 予定では全52話、本田やブランカも出る幕があったはずなのにカットされちゃったと。

 物語は、リュウとケンが「波動」の力を求めて世界を股にかけて修行する話と、春麗の父が中心となって香港の麻薬組織とその母体たるシャドルーと対決する話が交錯する。
 あらすじなら悪くはなさそうだけど、ゲーム中だと気軽に乱発される波動拳がすごい秘技みたいになっちゃって、なんかかみ合わない。
 しかも大技になりすぎているから、気を練ると称してとにかく時間がかかる。たまに波動拳を撃つために、何度も何度もバンクを挟んでエネルギーを溜めてやっと発射する。それをベガが「おお……」といいながら見てるのもバンクで。

 シャドルーとの戦いは、ケンが実家のカネと権力で米軍を動かすとか、春麗のお父さんが地道に頑張るとか、そういう部分が大きい。
 また、最初の方に出てくる香港の麻薬組織・阿修羅は、シャドルーと繋がってるという話がなかなか出てこない。「原作と関係ない悪役とリュウがケンカしてる」くらいの、キャラ使ってるだけの別物に見える。初期にそう思われては痛い。

 まあ、総じて原作ファンが喜びそうな感じにはなってなかった。
 ゲームのアニメ化なんて試みが前例も少ない時代で、しかもストリートファイトで世界征服を企む悪の組織を倒す話なんて、どうすればいいのか難しかったんだろうとは思うけど。

 

 制作が破綻してる感じも、見てるだけで伝わってきた。
 中盤15話くらいから、やけにバンクや使い回しが増える。

 少し前の戦いをフラッシュバックするように回想したりしては、「ぐああああ」と苦しんでる。別にカットしても支障ないような回想ばっかり。
 リュウ波動拳バンクも何度も何度も。ベガもまた、サイコパワーを発動させて体にバチバチ電気を走らせて時間を引き延ばす。
 格闘シーンも、だらだらしている。誰も彼もにらみ合いが長いし、たまに動いてもいまいち決定打じゃない打ち合いをちょっとやって離れる。決めの大技は、タイミングを計りの修行を思い出しの雄叫びを上げの、伸ばす伸ばす。

 

 キャミィは凄腕の暗殺者という設定で出てくるんだけど、そのだらだらしたテンポのおかげで、間抜けなキャラになってしまった。

 暗殺対象の部屋に忍び込んでから、まず服を脱いで動きやすい薄着になる。2回の潜入シーンで2回ともやったけど、なぜ先に脱いでおかないのか。
 そして暗殺対象の背後にきてから武器を取り出す。なぜ早く準備しておかないのか。
 それからなぜかすぐに仕掛けずに長々と様子をうかがう。ほんとに無意味に粘る。なぜ相手に気付かれないのかもわからない。
 やっと仕掛けるか、と思ったら、「神よお許しください」と十字架に祈る。ええから早くしろ。

 そして2回の暗殺に臨んで、2回とも失敗してる凄腕。ちゃっちゃとやらんから……

 

 制作遅れでバンク・使い回しによる尺稼ぎが増え、ストーリーやシーンが間延びし、キャラの行動にまで悪影響を及ぼす、と、ドミノのようにダメになっていった感じ。
 破綻といえばガンダムSEED Destinyの総集編回を思い出すけど、スト2Vでもやったよ。23話の前半だけに収めたけど。

 作品全体としては、残念といわざるを得ない出来だった。

 私は性格が悪いので、こういう破綻してダメになっていく様子が丸見えになっている作品は、その事態を面白がれるので、「またバンク」「その回想いる?」「そこでポーズ取って固まる意味ないやろ」といいながら楽しみはしたけれど。

 

 いや、他人の作品をだらだら長いといいながら、このblog記事のだらだら長いのも大概じゃないか、といわれると苦しい。
 ただ、これでもストIIVの珍妙な部分は、かなり飛ばしてある。バルログのナンパの手口が意味不明すぎるとか、細かい突っ込みどころは無数だ。

 何より、もっとも意味不明かつ重大で、しかも不意打ちみたいに明かされた事実、それが、ベガ様がシャドルーを率いて世界征服を企てる動機だよ。
 なんと、核実験と環境破壊で地球を傷つける人類からこの星を守るためだというのだ。そんなこと予想もせんわ。