堺風の頭部

徘徊、カメラ、PC、その他。

「いなか暮らしフェア」が充実の内容だった

 先日書いた経緯(および書くわけにいかないようなその他諸々の事情)で、「自営業者だけど食えない」という面倒な状態になっちゃっている私である。
 ハローワークとか行ってみても、自営業者として請け負っていてすぐには打ち切れない仕事があるから、それが「副業あるならダメ」と門前払いの種になってしまってなかなか難しい。

 なにか生きる糧を探すアンテナを広げにゃならんなあ、というところで、「いなか暮らしフェア」というのがあると知って、行ってみることにした。

 

inakakurashi.jacklist.jp

 

 

目次

 

全体として

 会場は、OMMビルのホールを3室ぶちぬきで使ってるくらいでかなり広いけど、日本中の数多くの自治体からブースが出ているので、かなり密度が高い。

 どこの自治体もかなりやる気があって、通りかかるとすごく声を掛けられる。
 一度ブースに座れば結構長い話になる。声を掛けられたら足を止める、とやっちゃってると、入り口近くの自治体と話し込んでしまって、あまり前に進めず時間切れになる。私は今回そうなっちゃった。

 特に行きたい県があるとか、「温かい地方でないとダメ」とか「農業したい」とか、ある程度絞れるなら、まっすぐそこへ向かうのがいいと思う。

 

仕事について

 私は仕事を求めて行ったんだけど、そうでなくても何らかの仕事をしないと暮らせない。

 仕事の面では、あまりにも郊外すぎるとすでに過疎化が著しく、働けるのは介護関係くらいしかない、という正直な説明をしてくれた自治体もあった。

 地方都市だったら仕事はあるみたい。
 当たり前だけど給与水準は東京などより低くなっちゃうけれども。
 ただ、その地方特有の産業で、後継者不足に悩む会社が若い人を求めてるとか、若手の新社長が面白そうな事業を仕掛けてるとか、給与以外の何かを見出すこともできるかも。

 大都市近郊の自治体だったら、仕事は都市部に勤めたままで住居を構えてくれる人を求めるようなところもあった。

 それから、やっぱり農業の後継者不足はどこも困っているようで、就農を求めているところは多かった。
 もちろん農業が簡単なわけもないが、就農者への支援体制が、自治体それぞれでかなり色々やってるらしかった。ちゃんと相談して上手く制度を利用できれば、就農もしやすいんじゃなかろうか。

 

話を聞いた自治

北海道弟子屈町

 ちょっと大阪の私には知らない町名だったけれど、北海道のいわゆる道東エリア、山側のところ。摩周湖とか屈斜路湖があるところだ。あと大鵬の出身地。

 主要産業としては観光だけども、あまり観光客数が伸びてるとは言い難く、求人なども少ない。
 農業に関しては、酪農に従事する有給の実習制度がある。が、これは35歳までとのことで、私は利用できない。他に、ヘルパーとして様々な酪農農家を手伝いにいく会社の募集もあった。

 もし私が写真家だったりしたら、かなりいい写真が撮りまくれそうな風光明媚なところみたいだけどなあ。

 

洲本市

 淡路島への移住を募るという感じだった。
 2年前に私が淡路島に行ったとき、深日洲本ライナーという高速船を利用したんだけど、あれがまた復活してるそうだ。

 淡路島のウリとしては、車を1時間も走らせれば神戸に着けるので、神戸に仕事があるならそのまま淡路島に居を構えるのもアリだよ、といった話。都心より郊外の方が住みやすいと思う人も多いから、アリかもしれないな。

 ただまあ、私は現地で仕事があればしたいのだが、やっぱり淡路島内だと「選ばなければある」という感じのようだ。接客販売業とか介護関係とか。

 農業については、「親方制度」といって、特定の農家に受け入れてもらう形でイチからでも農業を学んでいける制度があるとのこと。
 例えば淡路島名産の玉ねぎだと、結構重量物を運ぶ作業が多くなるだとか、作物などでの違いを踏まえた上でできるだけ適した親方とマッチングするところからやってくれる。
 神戸まですぐだから、農業やるにしても都会から離れすぎずにやれるし、就農を目指すならよさそうに思えた。

 意外に思ったのは、淡路島って鉄道がない分だけバス網が充実してるもんだと思ったら、全然そうでもないらしい。神戸・大阪行きの高速バスはまだしも、島内のバス網は貧弱と。
 なので、どうしても車社会だそうだ。

 

石川県

 石川県ってすごくUIターン誘致に熱心で、ウェブサイトも複数ある。いしかわ暮らし情報ひろばイシカワノオトなど、内容的にも洒落ていて役所仕事感も小さい。
 また、常設で東京・大阪にUIターンの相談ができる事務所を置いてる。何か相談したければ直接話せるのは強いな。
 今回のイベントでも、その事務所(ILAC大阪)が石川県全体を案内しつつ、能登エリア、加賀エリア、七尾市加賀市羽咋市かほく市白山市志賀町宝達志水町穴水町能登町と多数のブースを出していた。

 話は聞けてないけど、宝達志水町って末森城があるから、「花の慶次」を使ってアピールしてたよ。我遅咲きのリンドウとならん、っつって馳せ参じるところか。

 

 石川県では、地域おこし協力隊の話がよく聞けた。
 まー、ちょっと東京大阪の感覚からすると給料が安いし、結構募集に苦戦してる感じもある。
 しかし、独り身の私なら別に暮らせる程度の給料ではあるし、かなり生活に自由が効きそうでもある。やることも面白そうだ。
 なにより、地域おこし協力隊の任期を終えたら、そのままそこに留まって就業・起業をしてほしいという趣旨だから、私が職探しに困ってる「副業あり」の点も問題になりにくい。
 内容的に気になるのもあったので、応募してみようか。

 

 それから、空き家になってる住宅の購入者に助成金が出る制度がある他、石川県では空き家を改装した上で、移住者が短期の生活体験をしたり、就労のために必要な短期滞在をするのに利用できる住宅があるとのこと。これもいいな。

 

石川県羽咋市

 読み方が難しい、ということだけ知ってる市(はくい市と読む)だったけれど、砂浜を車で走れる千里浜なぎさドライブウェイがあるところ。

 地域おこし協力隊の募集もあって、漁業やジビエ料理などの開拓やPRをやってほしいとのこと。

 

石川県加賀市

 石川県では最南端の自治体。
 工業の盛んな地域で、メジャーなところでは、バイクのチェーンでD.I.Dブランドを見かける大同工業などがある。

 ここの地域おこし協力隊は、IT技術者を募集して、中小企業のIT化促進とか子供への教育などをしてほしいとの話。
 額面の給与が低いからなかなかなり手がないみたいだけど、経費は別に出るので積極的に動けそうだし、他の協力隊員と違って雇用関係になるから社会保険も入る。決して悪い話でもなさそうだけれど。

 

新潟市

 他のところは、けっこう観光案内を交えながら移住案内をする、という調子になりがち(もちろん良さそうに思える土地のほうが行きたくなるから、観光案内めいた話も悪くはない)。
 新潟市は、すぱっと「まず仕事」という調子だった。

 新潟県U・Iターンコンシェルジュという転職エージェントの方がきていて、いい仕事を見つけてもらってU・Iターンしてもらおうというスタイル。
 現在会社員で、新潟でも会社員をやりたい、というような、都市での生活を大きく変えずに、新潟程度の程々の田舎に移りたい、という人にはよさそうだった。

 

富山県砺波市

 true tearsの舞台を見に城端町まで行ったのも、もう12年も前か。あれは南砺市だけれど。

 砺波市のブースでは、富山県の農業の話になった。
 淡路島の就農斡旋は、個人農家について教わっていく形をとってたんだけど、富山県の農業は農業法人化が進んでいて、そこに勤めるサラリーマンとして農業に従事する形になる勤め口が多いとのこと。
 法人化して大きくなってるがゆえに、個人農家では出来ないような積極的な販促や、新しい農法への挑戦などもあるそうで、勤めている人や経営陣も若いとか、いわゆる「農家」といわれて思い浮かぶような姿とはかなり違いそう。
 もちろん就農支援制度も色々あった。

 それから、石川県で見られた、リフォーム済みの古民家に移住体験として宿泊できる制度、富山県でもやってるみたい。

 

 最初にも書いたけど、一箇所でかなりしっかり話を聞かせてもらえるから、どうしても多数回ることはできなかった。
 何らかの目的や就きたい仕事、あるいは行きたい地域をある程度絞れるなら、そこを狙って話を聞きに行くのがよかろうと思う。

 どこの自治体もやる気に満ちてて、いずこも人口減の厳しさがあるんだろうなあと思わせられるとともに、私みたいな都市に居所を失い掛けてる人には希望が持てるようなイベントであった。