引っ越したらSoftbank Airの品質がまともになり、また、平日でももう少し仕事の後にゆっくりできる時間が取れるようにもなったので、4年半ぶりにdアニメストアを契約した。
契約してから観たやつ
ぼっち・ざ・ろっく!
下北ストミュー狩りギタリストと呼ばれる少女が、ストリートミュージシャンの前に現れては超絶技巧ギターで心を折っている。彼女は毎日5000ストロークくらい弾き続ける孤独な修練で技術を身に着けた、ひきこもりの少女だった……
という話だと事前情報では認識していたのだけど、ぼっちちゃん登校はしてたから違っていた。他は合ってたけど。
きららを読んでいた頃に思ってたけれど、萌え四コマって、ものすごくキャラデザの強度が重要で。
思いっきり情報量を減らした状態でもキャラが識別できるようにしないと、ページあたり8つの小さな定形コマの中で、遠近法を使って奥行きを描いたりできなくなる。
それができてないと、遠くにいる小さな姿を描いても誰かわからないから、せいぜい上半身くらいまでの近距離のカメラの画面しか使えない。そんな単調な画面構成が続く中で弱いキャラデザだと、キャラの識別もおぼつかなくなる。
元のキャラデザが強いとアニメでもやはり、線を抜いて作画コストをコントロールしやすくなるんじゃないかな。
どうも画面を見てる感じ、かなりざっくりした絵になってるところが多かった。でも、描きこんだ絵が必要なところとそうでないところをちゃんと選んでそうしてるから、全体として作画が不味い印象にはならない。
多分そのようにできる原作のキャラデザなんじゃないか……と思うので、原作のほうが気になる。今度読んでみよう。
この論でいくと、ぼっちちゃんはぽっちりの髪留めで識別可能にされてるキャラデザのはずなので、神代ユウよりも竹本チエに近かった。多分ホルモン焼くときの手首の返しがギターテクに結びついてる。
機動戦士ガンダム水星の魔女
およそディスコミュニケーションの話かなと思うところで、そりゃそれぞれこれだけちゃんと話をしてなかったらそうなるなと思う。
しかし歳をとったせいか、ガンダムにおいてはモビルスーツを見分ける能力に我ながら頼りなくなってる。萌え四コマのキャラデザ強度を気にするのも、私の見分ける能力が怪しいからではあり、それがロボットの方にも広がってきた。
エアリアルを見たら「あれ最近こんなガンダムおらんかったっけ、エクシア?」と、ルブリス・ウルを見たら「SEEDに出てるような顔したガンダムやな、カオスガンダムってこんなんじゃなかったか」とか極めて雑な認識力になっていた。
改めて見返すと全然違う。部分的には合ってる気もしなくもないけど。
ガンダムと名付ける以上は、それ以上逸脱できないラインがあるようにも思うので、これだけ多ければ部分的にデザインが似通うのも仕方ないとは思う。
∀とか、鉄血でもグシオンをガンダムだと強弁してるケースもあるのだが、やっぱりああいうことするとウケが悪いのかなあ。私には覚えやすくていいんだけど。
私に止めを刺してしまった作品に就いて
上の話題作ふたつを観た後は、「信長の忍び」とか「三ツ星カラーズ」とか前に観たやつをまた見返したりしている。ずっと懐古してるつもりじゃないけれど。
今期のもなにか観ようかなとチェックはするのだけど、5年前にも増えた多いといわれてた異世界転生ものっぽいのがさらに増えているなあ。別に転生モノ絶対観ないとかではないし、面白いのもあるとは思ってるけど、どれがそうかという嗅覚がないので選べない。
あとまあ、私にとってTVアニメで一番の作品は「シムーン」だし、異世界転生モノからあれに比肩するようなものが出るとはちょっと考えづらい。
私は大学生の頃にアニメ観始めて、しかも最初が「シスター・プリンセス」だったから、最初から色物を楽しむような態度で臨んでいて。
それが数年続いて、2006年にほんとにたまたま録画してみた「シムーン」が、アニメの世界にこれほど美しい作品があるのかと、視聴態度そのものを改めるくらいのものだった。
見方を改めていろいろ観てると、「true tears」やら「夏色キセキ」やら「GA」「ゆゆ式」「selector」など良い作品も複数見つかったんだけれど、しかし「シムーン」を超えるとまでは思えないか、そもそも方向性が違って比較できないかだった。
結局干支が一回りして、これだけ観てても出てこないなら、もう「シムーン」は史上最も優れた作品である、と結論されてしまった。
その後の私は、ゆるい萌えアニメばっかり観る、よりゆるく、より意味がないほど良いというような変な態度でアニメ観る人間になってるのであった。
まあその分野でも「ゆゆ式」が抜群だと思うけれど、こういうのは別により良いものを求め続けようとストイックになるもんでもなし。
私がアニメ見る前に熱中してたのは、当時隆盛を誇ったPCノベルゲーム(エロゲとはいわないでおく)だったけど、私はあの分野でも当初「雫」が好きで、数年後に「腐り姫」にぶつかって、「これ以上のものを探す」という行動すらなく、これで頂点だとすぐ決めてしまった。
あれはノベルゲームと、ゼロ年代前半のセカイ系ブームの、私の中での総決算だったな。私の中二病は、いかに美しくセカイが滅ぶ様を描くかを求めて、それは「腐り姫」で満足されてしまったのだった。(前にこのへん詳しく書いてた)
一時代の、まともに巻き込まれた潮流に、決着をつけられたのはよかった。
「雫」も傑作だったとは思うのだけど、時代が早かったから完成された作品じゃなくて、後続が生み出される余地を根絶やしにしてしまうようなものとは思いづらい。「雫」が最高だと思ってるままだったら、セカイ系は未消化に終わっただろう。
まあ、長いことオタクやってると、いろいろとそういう「止めが刺さってしまった作品」ができてしまう。
私以外の40すぎのオタクの人にも、そういう作品を語ってほしいんだけどな。
まあ他人と私は別人だから、そこまで刺さる作品となると人の好みの差が出すぎるから、聞いたところでそれを私が観て面白いというとは思えないけれども。
「シムーン」が一生好きだという人は私一人ではなくて、ある程度存在することがSNSなどで観測できるんだけど、どうも「ゼーガペイン」が一生好きな人が同様にある程度いるらしい。
「EMOTION the Bestの廉価版DVD-BOXが出てない作品から、人気投票で一作出す」という企画が起こったとき、ものすごい勢いでシムーンに投票した人と、ものすごい勢いでゼーガペインに投票した人との一騎打ちになって。
それほどのものかと思ってゼーガペインを観てみた結果は……まあ、私にはあんまりわからんかったのだけど、あれほどの熱量で愛する人がいる作品であれば、視聴率や売上と別次元の何かはあるんだろう。
ただ、dアニメストアはシムーンもゼーガペインも今配信してないんだよな。
結託してリクエストしまくるか。やるならゼーガペインにも協力する。