堺風の頭部

徘徊、カメラ、PC、その他。

【正月恒例】月記 2022/12 新生活【長大記事】

 まだ大晦日だけれど、正月休み用の長大記事である。

 

 風呂もない限界アパートから、URに引っ越しすることができた。

 

URってお高いんでしょ?

 UR賃貸に引っ越す、といったら、「お高いんでしょ?」といわれるし、私もそう思っていた。
 が、住宅供給公社だった時代に建てた大規模団地なんかが築50年くらいになって、4万円台くらいまで下がっている。交通の便が悪いとかも色々あるけれども。

 私も収入が高いわけじゃないから公営住宅とかを探すべきかと思ったけど、なんかどれもこれも微妙な感じで。
 公営住宅でも、「古くて交通の便が悪い団地なら4万円台」というのはURと変わりない感じだった。

 

 ただURの場合、月収の1/4以下の家賃のとこしか貸してくれない。
 安いところなら5万円弱くらいからあるんだけど、それでも月20万の月収はいる。時給1250円の派遣さんでやっと足りるくらいか。
 賞与が出るならそれを含めて、多分副業があればそれも含めて、年収の1/12に均した金額で計算される。

 幸いまあ、私もそれくらいの収入は得られるようになった。

 

 で、これは狙ってやるもんじゃないんだけれど。

 URの団地で5万円くらいのところは、昭和40年代に日本住宅公団が立てたオールドスクールな団地、ということは今は高齢の方がよく住んでることもあって、悲しいことだけれど孤独死されて事故物件になるケースも出てしまう。

 そういうところは、一定期間は家賃が半額とかにされている。
 で、入居時の収入の審査は、その半額になった家賃に対して4倍の月収、という基準になる。

 その場合、入居時の敷金として家賃2ヶ月分を求められるのも、当然半額になる。(ただし翌年家賃が戻るときに、敷金を追納することになる)
 イニシャルで敷金+家賃・共益費最大1ヶ月分(入居日からの日割り)を納めなきゃいけないので、その金額も大きく下がる。

 

 こんなこと知ったのは、「事故物件教えて」とかこっちから言ったわけじゃなくて、本当にたまたまだった。
 入居したいといったら「こういう物件もある」といって教えてくれた。
 しかもそれが、諸々の条件が極めて好ましい部屋で、他の空いてる部屋のどれと比べても事故物件であること以外は完全に優れてたの。

 特殊清掃が入ったらしかったので、一応内見はしたんだけど、特に問題も感じなかった。壁紙も畳も新しくなっていて、どこがそうだったかも全くわからなかった。

 

5万円の団地で選ぶ

 でまあ、URの団地の中から、何を見て選んだか、というと。

 

 安いところは築年数が古いので、設備は古い。私の入ったところは昭和40年代の建築で、改修はしてるけど完全にやりきってるわけではない。
 流石に給湯器は多分全部ついてるんだけど、洗濯機を置く防水パンがあったりなかったりしていた。その場合は排水は浴室に流してくれ、とのこと。
 流石にそれは困るけど、事故物件はちゃんとパンついてた。

 エアコン用の電源がついてないとか、そういう部屋もある。事故物件はついてた。

 

 また、団地の規模が大きい場合は、団地の中で駅から近い遠いができてしまう。
 今回引っ越す団地も、Googleマップで歩行距離を測ったら、駅までの歩行距離が最大1km以上違ったりした。

 当然、駅から近いとなかなか空かない、空いたらすぐ入る、となっちゃう。
 事故物件は駅近だった。

 

 それから、やはり古い時代の防音性能だろうから、隣の部屋には気を使う。
 となると角部屋がいいが、一棟の両端しかなく数が限られる。

 しかしよく見ると、2部屋ずつつなげて間に階段を通す、という構造になってる建物があって、これは地図とか間取り図をよくみるとわかる。

 同じ団地の中で、通常のまっすぐ連なった棟と、こういう実質全部角部屋のところが混在してたりもする。
 事故物件もそれだった。

 

 つまるところ、事故物件でなくたってここにしたような部屋だった。

 

新居について

 大阪から奈良に来たわけだけど、大阪からの脱出は重要だった。
 松井や吉村に税金とられて、あんな物理的に建てられるのかすら怪しいカジノに使われるのが心底嫌だった。
 あいつら、コロナ対策とかでも大阪市大阪府からはなかなか支出せず、道路の白線は消え、公園は草だらけ、街路樹や公園の樹木は切り倒しまくり、必要な支出すら削ってるのが目に見える。
 そうまでしても、万博とカジノにかかる費用が足らずに増税すると言い出すのが目に見えてるからな。こんな税金払いたくない自治体が他にあるか。

 

 旧居は風呂もなかったわけだけど、風呂がないということは給湯器もないし、ちょっと水を使うようなことをする場所もなかった。
 入浴するのは銭湯。まあ浪速区の南端だったから、銭湯がたくさんある西成区に10分も歩かずにたどり着けたけれど、雨でも寒くても風呂のためだけに家出て歩かなきゃいけない。夏なんか戻ってきたら汗かいてて困る。
 入浴料も、大阪市内は420円、2022年には490円に上がった。毎日入れば月額15000円とかになる。まあスポーツジムを契約してもっぱらシャワー借りに行くとか、そういう節約はしていたけれど。
 給湯器がないから、冬は凍りつくほど冷たい水で、ぜんぜん効かない洗剤で皿洗いだから、自炊も苦痛が増す。
 洗濯機じゃ洗いにくいものを洗うとか、ホコリ少ないところでスマホの保護フィルム貼りたいとか、そういうちょっとした用事ができる場所もない。

 日経が「若者に風呂なし物件が人気」とか寝言みたいな記事を出していたけれど、風呂があることでどれだけやれることが増えてるかと。
 実際、コロナ発症したらどうしようってかなり本気で心配してたからな。冬に冷水で体拭くくらいしか、自宅内で衛生を維持する手段がない。

 そういうわけで、私は引っ越してすぐ、ひとりなのに風呂沸かして1時間くらい長湯したり、もってきた食器をきれいにお湯で洗い直したり、給湯器の喜びを噛み締めていた。

 

 旧宅ではありあわせの座卓にデスクトップPCを広げて使っていたけれど、IKEAの安物だけれどゲーミングデスクとチェアを買った。
 しかしIKEAの安物は、組み立ててる段階で「これ肘掛けまで構造になってるから省略したら背もたれ折れるな」とかわかっちゃってすごい。

 

 それから、Softbank Air
 大阪市内ではとにかく不安定で、いきなり通信が止まって数分沈黙、戻ることもあるけどターミナルを再起動するまでダメな場合もある、もう「こんなもん金取っていい水準じゃない」というくらい酷かったのが、転居先の奈良の外れでは、かなり安定している。
 大阪市内でのクソさ加減、あれはやはりユーザーが多すぎたせいなのかなあ。

 で、「残債払ってでも乗り換えようか」と光回線を引く相談をしてたんだけど、いざSoftbank Airを持ってきてみると安定している。
 Softbank Airって解約の違約金はなくなってるから、残債って端末代の残り。それが4万円。解約したら何も使えなくなるものに4万円払う感じがして、すごい嫌。

 ただ、大阪市内でも使い始めの数カ月はよかったのに、だんだん酷くなっていった覚えがあるので、こっちでも悪化していくようなら、そのときは処断しよう。

 

うまくいってないときに近くにいた人のこと

 2023年は、まあ、健康で文化的な生活ができそうだ。

 

 2012年に派遣切りに遭い、それから10年も、ひたすらろくでもない目に遭い続けた。実に10年も、よってたかって人生をボロボロにされていた感じがする。

 2021年の晩秋に就職した今の会社は、私のスキルを高く評価してくれて、私自身もやりがいある仕事を楽しくできてて、もちろん生活をまともにできるくらいの待遇ももらえている。
 上司も私を気に入ってくれてるし、こちらから見てもすごく人の使い方がいいと思える。同僚も穏やかで、職場でパワハラなんかも起こらない。会社も、非正規あがりの正社員が大勢いるし、会社都合で解雇したこともないらしい。

 まあ私は発達障害で、できる仕事とできない仕事でパフォーマンスが数倍違ってしまうんだけど、今の仕事じゃできることをやってるのはある。
 にしても、できることをできると評価してもらえないとか、できることをやらせてるのに相応の報酬を寄越さないこともざらにある。

 

 私がボロボロになってたこの10年、そんなことばっかりであった。
 厳しい境遇を跳ね返して大きな成功を収めた人が、貧しかった時期に支えてくれた人を無下にする……なんて、よくドラマで見かける悪い人の行動だけれど、しかし、自分が10年の苦労を幸運にも脱出できてみると、さて。
 その10年、私を苦しめてたのはなんだったのか。

 

 ウェブサイト管理の仕事をくれてた人は、あちらのトラブルやコロナ禍やらでどんどん支払いを減らしてくるのを、まあ事情が事情だからと引き受けてたら最終的にタダになって、挙げ句、タダのホームページつきといって店ごと他人に売ってて、私は知らない間に知らない人のためにタダ働きしていた。

 

 東京に来て事業を手伝え、といってきた高校時代の友人は、「罪に問われて受ける処罰が利益より小さいんだったら、犯罪になる行為でもやるべき」と平気で言い放つ狂人で、仕事と称して大小の不法行為をやらせようとするのを断って連日怒鳴り合いをするようなことになった。
 結局そいつは、40も過ぎて大学生を騙して不倫して、バレて奥さんと揉めて殴り、5歳の娘を殴って怪我させ、私を含めた周囲の人間を騙して脅して金を奪って逃げた。今どうしているかわからない。
 こいつが殴って金を奪って逃げた奥さんというのが、上のサイト管理の仕事くれてた人なの。だから、トラブルの事情がわかってて、金払えなんて言えなかった。

 

 現場仕事を手伝ってくれと声をかけてくれた人は、忙しい時期となれば月2日しか休みなく夜勤も早朝勤務も何度も入れてこき使って、払ったのは19万だったか。
 暇な時期となれば月10日も仕事なく、5万円もない金額を渡された月もあった。
 給料は定めなく、あちらの売上の都合で勝手に決める。もちろん保険も年金も自腹。
 いつ呼ばれるかもわからず、その日の仕事の終りに「次は明日」「明後日」、仕事がなければ「あったら呼ぶわ」で数日後に「明日来い」。こっちは予定も立てられない。イギリスで問題になってるゼロ時間雇用ってやつよ。
 確かに現場仕事なんてASDの私じゃあまりよくは働けないけれど、それにしても人間ひとり雇うのに最低限必要な待遇をしてない。

 

 「いっしょにこんなん作ろうぜ」とモノを作る話を持ってきた人は、製造業者を紹介して極めて大まかなアイディアを一方的に喋っただけで、私がアイディアの具体化、設計、デザイン、CAD製図して製品原版をつくり、おじいちゃんがボロボロの10年モノのPCで亀のように制御ソフトにデータ入れるのをサポートして、と大量の仕事をこつこつやってたら、何も手伝わず(能力もなく)「できたらお前が売りにいけ、儲けは折半」と言い出し、そして上の仕事で月28日働かされて忙殺されて手が止まってたら「暇人のくせに遅い、仕事しろ」などと抜かしやがったので、その日に縁を切ってそれっきり。

 

 救貧とか労働運動をやってる団体に、生活苦の相談に行ったら、確かに親身になって相談には乗ってくれたから、あまりにも酷い扱いばかり受けている中ではありがたく思えて関係ができていったのだけど。

 無職のうちは時間はあったから、あれこれ活動を手伝ってくれといわれれば顔をだしていた。
 けれど、就職してからもお構いなしに呼び出しがかかる。平日仕事、仕事が終わってから団体の作業、土日には会議だなんだと団体に呼び出され、全く休みなく働いてる状態で、過労で偏頭痛が出た。
 流石に無理だ、休みは休ませてくれと断った。
 しかしまったくお構いなしに、週末潰して参加しろ参加しろ参加しろと毎週欠かさず呼び出しをかけてくる。一ヶ月続けられて、強く抗議してようやく止めた。

 他にも仕事中に電話してくるとか、何をするにも二、三日前にいきなり呼び出してきて休日潰せと平気でいってくるとか、どうも今の会社員の生活を全然想像できない感じであった。私が障害あって独身で風呂もない部屋で一人暮らしだ、つってるのに、それで行動を変える様子もない。
 それで社会問題や労働問題の何を解決できるつもりでいるんだろう、とすっかり白けてしまっている。

 

 こんな調子で、困窮していた10年間に関わった人って、困窮しているから近寄ってきて、困窮しているからつまらない奴と見下して、見下してるから不当に安くこきつかっていい、という態度で私に関わってたようなところがある。
 明らかにそういう人もあれば、無自覚にそういう人もあるけど、何にしてもタダかタダ同然で使われてばかりだった。
 酷いのは、困窮する前から付き合いがあるのに、困窮してから態度を変えたやつもいる。

 そして私の方も、困窮してると自己評価が下がって、酷い扱いでも分相応かと思い込んでしまったりもする。
 何の報酬もなく労働させられてるとかなら怒れるけど、異常な低賃金だけど一応給料は払われてる仕事、とかは不当だと突っぱねることができなくなる。

 

 まともな生活を得られたときに初めて、自分を困窮させていたのは誰だったのか見えてくる。
 だから、あの時代に関わっていた奴らを切り捨てる。

 傍目に不義理に見えるかもしれないし、困窮させていた当人が「目をかけてやったのに恩知らずが」と思っているかもしれないが、知るか。