堺風の頭部

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トウカイテイオーとダービーで走ったでかいやつ

 9日にウマ娘のSeason 2一斉放送がAbema TVでやってたんだけど、1話のトウカイテイオーのダービー。

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 実際のレースはこうだった。

 

 ウマ娘のダービー、スタート後の第一コーナーあたりで、

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 2番手にいるの、なんかでっかい

 

 

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 このカットは特に顕著にでかいように見える。
 上体が起きた走り方には見えるけど、やけに腰を落として走ってるようにも見えるから、やはり体格が他と違うでかさに思える。

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 第4コーナー回って、でかいのが外にヨレてテイオーが回避する。ここだと別に極端に大きくはないけど。

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 直線では8番手くらい。多分そのへんでゴールインするんだろうと思う。ここでは大柄に描かれてるようではないけど。

 

 ウマ娘のレースは実際のレースにかなり忠実とはいうものの、トウカイテイオーのダービーはフルゲートが20頭で、ウマ娘の方は18頭だったりで、ちょっと違う。

 実際のレースでスタートから2番手あたりを追走して、コーナー回ってテイオーを外に押し出す馬はというと、ホクセイシプレーだった。

 

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 実際のトウカイテイオーが8枠20番(単枠指定)、ホクセイシプレーが7枠18番だった。2人減ってるから、この並びは自然なところ。
 別にこのカットではそこまで大きくはない……というか正直カットごとに体格が変動してる印象もあるんだけれど、とはいえテイオーよりははっきり大柄だ。

 実物のトウカイテイオーは460kgあって、平均的な馬格。ウマ娘でなぜか小さくなっちゃってる。
 むしろホクセイシプレーは444kgと小柄な馬だった。もし体格差そのままウマ娘にしていたら、ゲートで顎が隠れるようなちっこいウマ娘になってそう。

 

 そうすると問題なのが、ホクセイシプレーがトウカイテイオーを押し出すシーン。
 あのテイオーより小さいウマ娘の幅寄せだと、ちょっと小さすぎて弱い。

 なので、ウマ娘ホクセイシプレーは大きくしたい。

 

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 ここで実際のレース映像を見直してみると、序盤、逃げるアフターミー(442kg)の後に、シンホリスキー(518kg)が続いている。そこにホクセイシプレー(444kg)が外から食らいつく形になった。
 この時、小さい二頭に並ばれたシンホリスキーが巨大に見える。

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 このでっかいウマ娘の位置にいるのは、ホクセイシプレーよりはシンホリスキーの方に見える。このあからさまにでかい体格も、実際のシンホリスキーそっくり。

 

 そういうわけで、ホクセイシプレーのレース運びに、シンホリスキーの体格を重ねることで、テイオーへのチャージにも説得力を持たせた……というのが、あのウマ娘なのかと思われる。

 

 

ダービーを走ったでっかいの

 ところで、あのでっかいウマ娘の体格はシンホリスキー由来っぽいけど、それとは別に、あのダービーにはもう一頭、本当にでっかいのが出走していた。

 

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 ワンモアライブ。546kg
 これでもある程度絞っていて、558kgだったレースもある。
 2歳のデビュー戦から550kgあって、引退までおよそ550kg前後で走ってたという、デビュー前に成長期が終わってるような馬だった。5月1日生まれらしいから早生まれでもないのに。

 でかいといえばヒシアケボノだけど、2月生まれなのに3歳春~夏はまだ成長期途中だったみたいで、まだ530kgくらい。
 夏にやっと勝ち上がるとともに、みっちりレースを使われながらどんどん巨大化し、560kgでスプリンターズステークスを突き抜ける。出走最大馬体重は582kg。

 

 546kgはダービーの時期にしては破格にでかいと思うのだけど、ダービー出走馬の最大馬体重ってどれくらいだっただろうか。
 各年ダービーの、最も馬体重の大きかった馬をリストアップしてみよう。

 

 まー、あんまりでかい馬はダービーで強い感じではないかな……とは思う。
 最もでかい馬が勝ったのは、アイネスフウジンメイショウサムソンだけ。それも514kgと502kgだから、身長180cmみたいな「常識の範囲の大柄」という感じ。

 

大型ダービー出走馬三傑

サツキオアシス 548kg

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 netkeiba.comで馬体重を追える86年以降のダービーで、最大馬体重で出走していたのは、1989年サツキオアシスだったようだ。548kg。デ、デケエッ……!

 レース展開は「後方ママ」というやつで、映像にもあんまり写っていない。最後方集団の内ラチ沿いでチラっと写る5番がそう。

 

 サツキオアシスは、青葉賞1番人気4着からダービーに出て、その後は重賞に挑んでも勝てないけど自己条件ならきっちり勝って、オープンまで上がってみせた。
 勝利時最大馬体重566kg、出走最大馬体重580kgと、ヒシアケボノとほぼ同レベル(GI優勝560kg、出走最大582kg)の超大型馬だった。

 

ワンモアライブ 546kg

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 546kgでも2位に甘んじることになったワンモアライブだけど、やはりレース映像では内ラチ沿いの先行グループを追走しているのもあって、雄大な馬格が見えるシーンがある。

 デビューしばらくはダートでなかなか勝ちきれなかったけど、勝ったら自己条件も連勝。芝に変えて毎日杯で重賞挑戦で4着。皐月賞は出られなかったものの、若草ステークスを勝って堂々とダービーに出走。決して悪いレースでもなく6着に健闘。次に中スポ賞を3着したのが最後の健闘で、その後は残念ながら見せ場なし。

 馬体重は前述の通り、デビュー以来安定して550kg前後という、2歳で成長期が終わってた馬だった。

 父はヨドヒーローという、淀牧場の自己生産に使われてたマイナー種牡馬
 その父はガーサントという、1961年に吉田善哉氏が輸入して大成功を収め、社台の最初の柱になった大種牡馬
 これほどの種牡馬だったのに、活躍馬が牝馬に偏っていたことと、国産種牡馬不遇の時代に阻まれて後継種牡馬がほとんどなかった。菊花賞天皇賞を勝ったニットエイトでさえ、九州での供用でさっぱりに終わった。
 ところが、阪神3歳ステークス2着が精一杯に終わったヨドヒーローが後継種牡馬として意外と頑張って、ワンモアライブの他にも、ダートで活躍して種牡馬入りもしたアスコットエイトが出た。

 

ジーティーボス 546kg

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 ワンモアライブと並ぶ2位タイの546kgジーティーボス

 ダービーでは結果的に10着に沈むとはいえ、先行馬総崩れの中でかなり頑張って、最後の直線で一瞬先頭に立って見せた。
 向こう正面で、先頭グループから6馬身離されたところに15番ジーティーボスと9番マイネルブライアンが並んで写るんだけど、この小さく見えるマイネルブライアンが500kgある。そんなバカな……。

 デビュー時530kgくらいだったのが、2歳の12月にいきなり+20kg巨大化して、そのまま550kg台で走る馬に。共同通信杯を548kgで2着。
 古馬になってからは560kgを超えて、メトロポリタンステークスを562kgで逃げ切ったのが最大馬体重での勝利。出走最大馬体重は570kg

 

ベルシャザール 542kg

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 三傑といいつつ四頭目になるけど、542kgだったベルシャザール
 この年は530kgデボネアもいた。そしてきれいな映像で、あからさまにでっかい7番と11番が混じってるダービーが見られる。
 ベルシャザールは3着に入ってるから、540kg超のスーパー大型馬では最高の着順。引き離された3着ではあるけど、3着争いはかなり根性ある粘りでナカヤマナイトを差し返し、クレスコグランドの追い込みを凌いだ。

 その後はダート転向に成功して、ジャパンカップダートも制して最優秀ダート馬にもなってみせた。ヒシアケボノと並んで最強のでかいやつ。
 体重はデビュー時542kgで国内最後のフェブラリーSが540kgと、デビュー前に成長期終わってたタイプ。


 成績とキングカメハメハ産駒というのもあって種牡馬入り、それなりの人気で産駒も送り出している。

 そうすると、巨大さを受け継ぐ子を期待したいところ。
 巨大馬って故障が怖いから、でかい種牡馬には小柄な肌馬、あるいはその逆でバランスを取ろうとすることが多いらしいけど、えてしてそういう意図に反してでかい子ができたりする。ゴールドシップとか。

 そう思って見ると、やっぱり居る。580kg以上で走ってるナリタフォルテ。母オースミリンドは最終的に460kg台くらいの、牝馬にしては平均よりやや大きいくらいの体格だったけど、ばっちり父よりでかい子を産んじゃったな。
 昨秋引退したブルベアカーキも、父に劣らぬ550kg級の馬格で、地方を勝ちまくった後に中央に戻って障害入り。いやその馬格で障害は怖すぎるような……。

 そうかと思えば、あんなでかい父親から300kg台でレース走ったことすらあるような小型馬のサプライズレターなんてのもいる。