堺風の頭部

徘徊、カメラ、PC、その他。

最高獲得賞金のGI未勝利馬とか重賞未勝利馬とか

 ウマ娘になるのはスターホースばかりなので、GI未勝利というのは限られる。
 ゲームで、8月にエイシンフラッシュが実装されるまでに育成対象になった中で、GI未勝利というのはナイスネイチャハルウララくらい。

 マルゼンスキーもそうだという見方もあるけれどね。グレード制導入前の馬で、当時の朝日杯三歳ステークスは八大競走ではないからGI格といっていいかどうか。
 中央のGI未勝利、というならスマートファルコンも該当する。

 育成対象になってないなら、ユキノビジンツインターボメジロアルダンビコーペガサスマチカネタンホイザイクノディクタスも。

 

 

最も稼いだGI未勝利馬は?

 しかしナイスネイチャ、GI勝ってないとはいえ、8歳(当時の数え方では9歳)までずっとGI戦線でトップホースと戦い続けて入着を繰り返し、重賞も4勝。41戦7勝・2着6回・3着8回。
 netkeiba.comのカウントでは、獲得賞金6億1918万円という。

 この獲得賞金額は、上から86位にあたるらしい。
 セイウンスカイ(6億1028万・91位)、マーベラスサンデー(6億686万円・94位)、トウカイテイオー(6億470万円・95位)より上にいる。
 ちょっとカウントによってズレが出るみたいなんで、資料によっては上下するけど、まあいずれも同等の稼ぎだ。

 ここまで稼いでるとなると、GI未勝利馬の中で一番稼いでるのはナイスネイチャなのでは……? と思ってしまうんだけど、ここで意外な穴馬がいた。

 キョウトシチーが、56戦13勝の末6億2870万稼いで、GI未勝利馬として一番上に来ている。
 世代でいうとネイチャの3つ下、ナリタブライアンと同い年。でも菊花賞に一応出走した程度しか接点はない。
 4歳の夏から開眼してダートを連勝してオープン入り、そのままウインターステークスを勝った。その後は中央・地方のダート戦線で活躍……したんだけど、ちょうどホクトベガが同時に砂の女王に即位したので割を食ってしまいつつ、長く活躍。
 8歳にしてなお勝鞍を上げるような長い活躍の末、稼ぎに稼いで6億2870万。

 ただ、キョウトシチー東京大賞典を勝っていて、これは勝った96年時点でまだGIに格付けされていなかっただけ(翌年格付け)。大井競馬で南関東地方競馬を締めくくる大レースなのは変わりない。事実上のGIホースだ。
 また、中央競馬だけで稼いだ金額であれば、ナイスネイチャがトップになる。

 

 この2頭の次は何か、と、まあnetkeibaを目視で捜したから見落としがあるかもしれないけど、3位はバランスオブゲーム。6億1769万円稼いだ。

 もう少し新しい2001年生まれだから、タニノギムレットヒシミラクルの世代。
 7歳まで走って29戦8勝。無事是名馬は稼ぐ馬の条件だけど、この馬の場合は、G2はスパっと6つも勝っている。それがGIとなると3着2回が最高位。惨敗することも多い。
 その代わり、7歳でもさほど成績が落ちない、というか7歳でG2をふたつ勝った。なんか不思議な走り方する馬だ。GI苦手スキルついてる感じ。

 

 4位はダイワテキサス

 1993年生まれ、フサイチコンコルドの世代。やはり無事是名馬、8歳まで走って53戦11勝。スペシャルウィーク天皇賞秋とか、オペラオーが席巻してた秋古馬三冠なども走った。
 G2を2勝、G3を3勝。G1は有馬記念でオペラオーに3着したのが最高位、同年のジャパンカップ5着、最晩年の2001年、アグネスデジタル天皇賞秋5着が、GIの掲示板入着歴。

 

 5位にはメイショウバトラーが入った。牝馬ではトップになりそう。6億843万。

 2000年生まれ、アドマイヤグルーヴスティルインラブと同期。
 これはG2の勝鞍もないので、G2を勝てずに最も稼いだ競走馬ということになる。G3はなんと10勝。ちょっとすぐ数えられないけど、G3だけ10勝なんて他にいるのかな……。
 そして芝の小倉大賞典も、ダートのプロキオンSシリウスSなども勝ってるから、芝・ダート両方でG3勝ち。

 地方競馬でもかなり走ってるけど、もちろん地方GIも勝鞍なし。JBCマイルの2着が最高位。

 競走馬としては10歳まで走り続け、61戦14勝、2着12回・3着7回とこれまた無事是名馬。なかなか他に類例がなさそうな戦績を残していった。

 

 なお、ナイスネイチャの宿命のライバル、90年代イマイチトリオの一角、みんな大好きマチカネタンホイザは、5億720万。
 32戦8勝、2着2回・3着2回。意外と2・3着は少なかったけど、その代わり掲示板を外したのは7回だけ。GIでの最高着順は菊花賞の3着。G2を3勝、G3を1勝。
 走ってる間はかなり密度が高いローテーションで走ってたけど、6歳で引退している。8歳まで走っていれば……といいたいけど、6歳シーズンの秋は成績が振るわなくなっていたから、引退を伸ばしても苦しかったかなあ。

 

最も稼いだ重賞未勝利馬

 最も稼いだGI未勝利馬はキョウトシチーまたはナイスネイチャ、G2未勝利馬はメイショウバトラー
 では重賞未勝利で最も稼いだのは?

 

 ナイスネイチャマチカネタンホイザと並び称される90年代イマイチトリオの最後の一頭、ロイスアンドロイスは、重賞勝ちもなかった馬だった。

 これも凄まじく変な馬で、デビューして6戦を2-2-3-2-2-2という逆に難しいような成績で勝ち上がれず、それでもダービートライアルの青葉賞に出走して3着。この頃の青葉賞はオープン特別で、優先出走権も2着までしかもらえなかったんだけど、もう少しで未勝利馬のダービー出走になっちゃうところだった。(と思ったけど収得賞金ゼロだと出られないので、当時重賞でないから本賞金が加算されないと思われる青葉賞2着からの出走は不可かな)

 その後未勝利を勝つけど、次のラジオたんぱ賞で重賞初挑戦3着。
 500万条件に戻った夏競馬で22回、セントライト記念まで2着。優先出走権取れてしまって、ビワハヤヒデのいる菊花賞に出た。これは初めて掲示板を外した7着だったけど、4番人気だった。馬券買う方も判断に困るよな……。

 そして1500万条件を5着・2着とした後に、ようやく1着で2勝目。次にエプソムカップに挑んで8着、1500万下の自己条件に戻して1着で3勝目。

 いよいよオープン馬になって、ビワハヤヒデの待ち構えるオールカマーに挑戦してなんと3着。
 そのまま天皇賞秋にも挑んで、故障で沈んでしまったビワハヤヒデに先着して3着(勝ったのはネーハイシーザー)。このレースはネイチャ(7着)もタンホイザ(4着)もいたけど、両方に先着!
 さらにジャパンカップにも挑戦して3着!(勝ったのはマーベラスクラウン) ネイチャは8着、タンホイザは鼻血出して競走除外。

 その後は、大阪杯(当時G2)4着、富士ステークス3着、ジャパンカップ7着、有馬記念7着、AJCC 4着、日経賞8着、天皇賞11着のあと、腸捻転を起こして早々とこの世を去ってしまった。なんでそこだけ早いんだよ。

 確かに重賞ひとつも勝ってない、28戦3勝、主な勝鞍むらさき賞(1500万下)という馬だ。
 まー、6歳で引退してるからちょっと苦しいんだけど、重賞未勝利の最高獲得賞金の候補といったらこれかなあ、と思った。獲得賞金は2億1175万円。

 

 有名な「最強の一勝馬」といえばエタリオウで、これも当然に重賞未勝利馬ではあるけど、賞金が2億448万。ロイスアンドロイスには届いてない。

 重賞未勝利馬の最高獲得賞金は?

 

 これは、サウンズオブアースらしい。
 30戦2勝・2着8回・3着1回。4億6744万も稼いでしまった。

 ロイスアンドロイスは1500万条件は勝ったけど、サウンズオブアースは2勝しかしてないだけあって、未勝利戦と500万下のはなみずき賞しか勝っていない。
 GIは菊花賞有馬記念ジャパンカップ2着。G2も、神戸新聞杯京都大賞典日経賞と2着。
 重賞未勝利だけでなく、オープン戦未勝利の最高獲得賞金も、この馬が取ってしまうことになるな。

 

 その次は、カレンブーケドールになっちゃうけど現役馬だから、まだわからない。
 現時点で2勝、リステッド競走のスイートピーステークスを勝っただけで、4億5805万円稼いでいる。
 オークス秋華賞ジャパンカップ2着、天皇賞春3着。
 秋には天皇賞に出るから、これで掲示板に載るくらいでもうサウンズオブアースを追い抜いちゃうかな。ただし勝ってしまうとただのGI馬になってしまうぞ。

 

 その次だと、ミスタートウジンが出てくる。こりゃ懐かしいな。
 86年生まれの馬だけど、94年から競馬を見始めた私が知ってるってのは、まだ走ってたから。引退したの2000年だもんよ。14歳まで走ってる。
 99戦11勝。当時まだ重賞ではなかった、平安ステークスガーネットS武蔵野Sを勝っている。アンドロメダSや銀嶺Sも勝ってる。
 それで4億1821万円稼ぎ出した。

 サウンズオブアースやカレンブーケドールは、「GIを勝てる素質があるから、GIや前哨戦のG2のようなトップ級の馬が出るレースしか使わない、それで重賞未勝利になっているだけ」という感じ。
 ミスタートウジンは、勝てる可能性のあるレースにどんどん出て、99走も走った末に、オープン特別なら勝てたけど重賞はついに勝てなかった。

 

 次点はダイショウジェット。3億5059万円稼いだ。
 これは私は知らなかったけど、ミスタートウジンの後継者みたいな感じだなあ。78戦10勝。ポラリスSを2勝、欅S、オアシスSを勝った。中央重賞だとマーチSの2着があり、地方重賞の2着も何度か。

 走りに走って、11歳の冬、笠松競馬で競走中に故障。
 でも幸い予後不良にはならず治療できて、オーナーに引き取られて功労馬として余生を過ごしてるそう。

 

 で、ロイスアンドロイスが見つかるまで獲得賞金順に見ていこう……と思ったんだけど、2億円台だとかなりの数がいて、途中で挫折。

 コイントス、懐かしのシャコーグレイド(末期のレースは見てる)、フィエロビコーアルファートウショウシロッコダンシングサーパスで10位まで。
 強いレースだけ走ったケースも、ひたすら勝ち目のあるレースを走り続けたケースも、どっちもあるね。

 

 ただたくさん走れば稼げるってもんでもなく、中央競馬サラ系最多出走記録を持つハートランドヒリュは、127戦4勝で1億3308万。
 最後まで1000万条件だった馬としては稼いではいるけど、オープンで勝ち負けできるレベルを長く保ったミスタートウジンやダイショウジェットには及ばない。

 

最も稼いだ未勝利馬?

 未勝利馬で最も稼いだ馬も探ってみた。
 netkeiba.comだと、未勝利馬を検索条件に入れても、おそらく80年代半ばのグレード制導入以前の古い馬は、勝っていても未勝利扱いになっちゃってるみたい。山ほど関係ない馬が出てきちゃう。

 それでもどうにかリストを目視してみた限り、リバルドボーイが最上位にいるみたい。3481万円稼いでいた。
 中央の平地で3歳秋まで走って16戦2着3回・3着2回。
 それから障害入りして、23戦2着2回・3着6回。
 合計して、39戦未勝利、2着5回・3着8回。

 

 しかしJBISサーチでは、トニーファースト のほうが上だった。賞金3588万。
 こちらは未勝利馬の検索に特に変な動作はないから、見落としってことはないはず。

 netkeibaの方でトニーファーストを見ると、賞金は3402万になっていた。
 リバルドボーイの方はどっちでも同じ賞金額だけど、トニーファーストは地方競馬での賞金があって、これがズレの元になってるっぽい。

 こっちは良血で、父はトニービン、母系もリリーオブザナイル(アスワンの母)に辿れるし、母の父はノーザンテースト
 それが3歳夏に一番人気デビュー。が、惨敗。さらに未勝利戦を7回走って3着4回。
 未勝利戦がなくなって500万条件になって、20戦して2着3回3着3回。
 それから大井競馬に移って、16戦して2着2回・3着4回。
 合計して、44戦未勝利、2着5回・3着11回。

 

父馬が特徴的

 GI未勝利の獲得賞金トップ5は、いずれも父が地味な種牡馬なのが面白い。

 ナイスネイチャの父はナイスダンサー。産駒の中では、もちろんネイチャがぶっちぎりの獲得賞金トップ。
 キョウチシチーの父もサッカーボーイで、産駒には菊花賞ナリタトップロード、GI 3勝のヒシミラクル秋華賞ティコティコタックとGI馬が複数いるけど、キョウトシチーナリタトップロードに続く賞金2位。
 バランスオブゲームの父はフサイチコンコルドで、他の産駒でもっと稼いでるのは地方GIを7勝したブルーコンコルドだけ。バランスオブゲームの次が、エリザベス女王杯2年連続2着のオースミハルカなのもちょっと面白い。
 ダイワテキサスの父はトロメオなので、他に活躍したといえる馬はいない。
 メイショウバトラーの父はメイショウホムラで、トロメオナイスダンサーどころじゃなく本当にメイショウバトラーだけしか活躍していない。

 

 重賞未勝利馬の方は、必ずしもマイナー種牡馬でない。

 サウンズオブアースは、父ネオユニヴァースの産駒で2番めに稼いでる。他に活躍馬も多数いるのに、ちょっと笑える。
 カレンブーケドールとフィエロは父ディープインパクトコイントスは父サンデーサイレンストウショウシロッコの父アドマイヤベガもこっちかな。
 「大レースしか走らない」タイプは父も大種牡馬

 しかし「勝てる可能性のあるレースを走り続けた」タイプはマイナー種牡馬が出てくる。
 ミスタートウジンの父はジュニアス。たった5戦しかしてない父なんだけど、その子が14歳まで走るとは。他の活躍産駒はなし。
 ダイショウジェットの父は、クリプティックラスカル。聞いたことなかったけど、アメリカで23戦7勝でG3を3勝。やはり活躍馬はほかになし。
 シャコーグレイドは父ミスターシービー三冠馬とはいえGI馬の子は出せず、重賞未勝利のシャコーグレイドが稼ぎ頭。重賞馬ならメイショウビトリアヤマニングローバルがいる。
 ビコーアルファーは父リヴリア。リヴリア産駒は、GIを勝った稼ぎ頭のナリタタイシンこそ引退が早かったけど、他は無事是名馬タイプが多かった。マイヨジョンヌワコーチカコに続いて、ビコーアルファーは4位。

 ダンシングサーパスの父ダンシングブレーヴという取り合わせだけ例外かな。大種牡馬の父に、無事是名馬式に走り続けた子。

 

 GIを勝てない、重賞を勝てないという成績で、長く現役を続けて数多くのレースを使ったからこそ、多額の賞金を稼ぎ出した。
 良血だったら多少競走成績が微妙でも、繁殖で引きがあるかもしれない。だから底が割れるまでレースを使ってしまうより、繁殖に上げたほうが価値が高くなる。

 微妙な父馬の子だからこそ、現役のうちに稼ぐだけ稼いでくれ、ってな扱いをされてたのかもしれない。

 

 

 しかし未勝利馬だとまた話が違って、リバルドボーイは父アドマイヤベガ、トニーファーストは父トニービン
 購入価格が高かったから、障害や地方で少しでも取り返せることを期待して走らせ続けたんじゃないかな……。

 経済動物だなあ。