堺風の頭部

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岸田さんのウィスキー

 自民党新総裁たる岸田文雄さんの議員宿舎にあるウィスキーがちらっとテレビに写って、「庶民が買えないようなのが並んでる」という声があったので、どんなもんかと興味があって検索してみた。

 

 

www.youtube.com

 そうすると、Youtubeで日テレNEWSの映像が見つかった。2020年8月だから1年ほど前で、最近の映像ではないけれど、まさか1年で飲む酒のグレードが大幅に変わったとは思えないので、とりあえずこれで。

 

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日テレNEWSより

 で、2:40秒前後に酒の並ぶ棚が写ってる。
 この量はなかなか多い。ただまあ、好きな人ならこれくらいなら異常ってほどじゃないでしょう。立場的に貰い物もあるだろうし。

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日テレNEWSより

 で、私がわかるウィスキーをチェックしてみると、なるほど高い酒も見える。

 まずよく見える山崎25年。希望小売価格12万5000円。でも通販なんかだと130万円とか気の狂ったような値段がついてるなあ。

 その右隣はバランタインの30年。ちょっと現行のラベルと違う気もするけど、旧ラベルかな。これはまあブレンデッドウィスキーでもあり、希望小売価格8万円とはいえ、実売は3万円ほどみたい。

 その右はラフロイグ10年で、5000円ちょっとだから庶民でもたまに思い切って買っちゃうくらいの価格帯
 10月6日訂正:カスクストレングスっぽい、とツイッターで指摘頂いて、たしかによくみると10年カスクストレングスの旧ボトルっぽいです。終売品ですが、売ってる当時の値段で6500円くらいだったようで、幸い話の趣旨に影響はないと思いますが。

 その右はサントリー響21年。これもブレンデッドウィスキーだから山崎ほどの値段じゃなくて、希望小売価格25000円。ただこれもプレミアがついて10万円くらいふっかけてるみたい。

 その右に竹鶴21年。年数と品質の割に15000円の希望小売価格でリーズナブルだったけど、ウィスキーブームで原酒払底で終売になり、今買うとなるとやっぱりプレミア価格で7万円とか。

 全般的な話として、日本製ウィスキーはここ数年の需要増大でひどい供給不足が続いていて、高価格帯の長期熟成品は全然数が足りず、普及価格帯も多くの銘柄が終売になってしまうような状態。
 ウィスキーは急に増産できるものでもなく、年単位で熟成が必要というのもあって、なかなか今の状態の解決が難しい。

 

 で、ちょっと隠すような感じで後列にも酒が並んでいる。

 奥左から、Dの文字が見えてるやつはこれデュワーズ・ホワイトラベルだろうから、1000円ちょっとの安酒。

 それと重なるように見えてるニッカ宮城峡も、縦書きなのが気になる。おそらく年数表記なしの普及版かと思う。年数表記があるやつは早くに終売になっていて、その頃は横書きだった。これもプレミア価格だったこともあるけど、今は落ち着いて5000円程度。

 真ん中へんの奥に白州が見えてるけど、これは何年モノかわからない。一番下のクラスなら1万円弱くらい。

 右手の黒い箱も、見覚えある気がするけどなんだったかな。私が見覚えあるなら無茶な高級品ではないとは思うけど……

 

 で。
 このウィスキーラインナップから、相手が政治家で少々いじったところで反論されないのをいいことに好き勝手プロファイリングすると、なかなかリアルな酒呑み像が見えるように思う。

 山崎25年、ショットグラス1~2杯くらいしか取れないような微妙な残り方してるの、これが実に味わい深い。「これは美味い……でももうなくなる……しかしまた買うといっても値段が……」と葛藤して、飲み干せずにこんな半端な量を残してしまってるのが見える。
 ウィスキーってガブガブ飲むような酒ではないから、そういう葛藤が起きてしまうのは、好きな人なら大いに気持ちがわかるんじゃなかろうか。減れば減るほど飲むのが惜しくなるあの感覚。
 岸田さんは自民党きっての酒豪らしくて、多分ウィスキーをガブガブ飲むようなこともやればできてしまうだろうけど、そんな飲み方してたらこんな残し方しない。マトモな飲み方というのもわかってるんでしょう。
 この少量の超高級酒をついつい最前列に置いて眺められるようにしてしまうあたり、ともすれば貧乏くさいと言われかねないけれど、ウィスキー好きのリアルを感じる。私からすれば好感度上がる。

 

 なかなか庶民に買えないのは、この中だと響21年と竹鶴21年、バランタイン30年あたりとして、いずれもちゃんと封を切って飲み始めてるのも良いな。
 多分まあ、立場的にこういうものを贈られることもあるんだと思うけど、ウィスキーが好きでありながら竹鶴21年をもらって飲まずに飾ってたら嘘だと思う。
 あるいは、開けることすらできないほどもったいなく思えてしまうのは、さすがに貧乏性がすぎる、とも思う。

 まあ、もし岸田さん自身が150万円のプレミア価格で山崎25年を買って飲んでたりするなら、金の使い方に疑問を感じて評価が下がるけれど、まあそこまでは瓶見ただけじゃわからない。
 普通の価格で買えたとか、買収や賄賂とかではないまっとうな機会に贈られたものだったら特に文句はない。

 

 でもって、5~6000円程度のラフロイグ10年と宮城峡が、手の届きやすい位置にある。多分普段飲むのはこのへんなんだと思う。
 これくらいのクラスのウィスキーなら常飲してても、ちょっとゆとりある庶民くらいのものだと思う。

 デュワーズ・ホワイトラベルなんて明確に安酒といえるものもあるけれど、ウィスキーは安くても口に合うやつがあったりするもので、別におかしくはない。

 

 何らかの口利きをする見返りとして山崎25年をもらってた、とか、そういう事実がないのであれば、この棚はごくマトモなウィスキー好きに見える。
 まー山崎25年を貰えるなり買えるなりした、というのは庶民にはなかなか縁遠いのはそうだけど。しかし総理大臣になるというひとにそこまで完全な庶民性までは求めない。

 ちゃんと減ってるし、なんだか気持ちがわかるような減り方をしてるあたり、見栄で高級品を置いてるとか、酒豪キャラを作ってるとか、そういう嘘くささがない。本当に酒好きだろうと思う。
 置いてるのも、高級品はあるけどマニアックなものではなさそうで、病的にこだわってるかのような極端さも見た感じはなさそう。明らかに特殊なレア物とか、みるからにヴィンテージなオールドボトルとか、樽で置いてるとか、そういうマニアものじゃない。

 

 ということで、私の勝手なプロファイリングによれば岸田さんはまっとうな酒好きに思われた。特に微妙に残してる山崎25年はポイントが高い。私は好感度ちょっと上げたかな。

 今後、もらってはいけない酒をもらってしまって贈収賄に問われるとか、飲みすぎてトラブルを起こすとか、そういうことがあれば大幅に好感度マイナスにせざるを得ないけれど、くれぐれもそれはないようにしてもらいたいな。