堺風の頭部

徘徊、カメラ、PC、その他。

12月15日は世界オタクデー(スペイン語圏の風習?)

 ツイッターのトレンドを見ると、世間の前時代的な愚劣さに絶望し、「今すぐ愚民どもに叡智を授けてみせろ!」と衛星を地球に落とそうと企てたりしそうな私である。
 そういう繊細さんのためのライフハックとして、地域設定を言葉のわからない外国にしておく、という小技が知られている。

 なので、私はトレンド地域をコロンビアに設定していた。スペイン語が流れてきてもよくわからない。

 でもハッシュタグだと英語で流れてることも多い。(それすら不快な場合はもう旧ソ連キリル文字言語圏とか、アフリカとかにするとよかろうと思う)

 

 で、12月16日早朝、#otakuday というハッシュタグが流れていた。

 へー、そんな風習があったのか、と眺めてみると、なぜかスペイン語らしいツイートばかり。#FelizDiaDelOtaku、訳すとHappy Otaku Dayみたいなスペイン語タグもある。
 日本語で「世界オタクデ―」などとぐぐってみても、ほとんど情報がない。

 なんだろうこれは。

 

World / Intl. Otaku Day?

 Facebookに、World Otaku Dayのコミュニティがある。
 2014年にまで投稿が遡れた。

 Googleで「"otaku day" 2014」で検索すると、Anime News Networkの記事がヒットした。
 が、これはInternational Otaku Dayで、8月の第3土曜日が指定されている。別物?

 

 Stack Exchangeうぃきぺ)という質問サイトに、「正式なオタクデ―はあるのか?」という質問がなげられていた。
 こちらは12月15日のWorld Otaku Day、8月のIntl. Otaku Dayの両方に言及があった。

 この質問・解答自体が2013年でリンク先などが死んでいるのだけど、とりあえず信用するとすると。

 8月のIntl. Otaku Dayの方は、Anime News Networkが取り上げている。
 Stack ExchangeではANNが仕掛けたんじゃないかと見ているようだけど、ANN自体には第二回からの記事しか見当たらなかった。ANNが主導してやってるなら第一回からありそうにも思うが、どうなんだろう。
 2011年8月20日に第一回があったはずだが、それがどういう形だったかは不明。

 12月のWorld Otaku Dayは、2010年7月14日にtumblrに投稿されたのが見つかった最古のものらしい。
 現在はリンク切れだけど、URLから推測すると、kaganeというユーザーが、all otakus listen up(聞け、すべてのオタクよ!)というタイトルで投稿したらしい。

 

 ANNがその後Intl. Otaku Dayをどうしたのか、多分2014年の第四回を最後に取り扱わなくなったらしい。おそらくANNが作ったらしいFBやTwitterのアカウントも消えている。

World Otaku Day、2015年ごろに英語圏で広まる?

 World Otaku Dayは、2015年以降にも情報がある。

 2015年には、上記のような見解を示したAnimoというSNSの投稿があった。
 これによると、手首に「^w^」と書くことをもって自分はオタクだと表明するようだ。
 ^w^は、カワイイな顔(二次元でいう猫口だろう)を示す顔文字らしい
 これはTwitterだとハッシュタグと認識されないので、#uwu#owoと変えて使われるようになり、またイラストに限らず使われるように意味が広がってきているようだ。

 さらに、「アニメを少なくとも6話観る」「読んだことないマンガを少なくとも2巻読む」という運動内容が示されている。
 できれば作品を買ったり、作家をサポートしようと。(日本人だとマンガくらいすぐ買えるけど、海外の運動なので、マンガやDVDを買うのが難しいとか、Fantia的な直接サポートサイトの人気が高いといった事情あり)
 そしてこの運動を広めよう、とのこと。

 で、ちらっと見える Otaku Pride という文字列。
 Black PrideとかRainbow Prideとか、マイノリティが差別に抵抗する運動を行う時によく使われるスローガンだけれど。
 World Otaku Dayにそういうオタク差別への抵抗運動だという面があるのだろうか。
 ただまあ、このAnimo投稿は、見た感じ若いというか幼い感じの無邪気なもので、そんなに運動っぽさはないようにも見える。
 日本人オタクの間にも「我々は差別されてる」という認識・見解があるし、肯定してよさそうなシーンもあるし、そうでもないシーンもあるけれど、海外ではどうなんだろう。海外でOtakuやることがどういうことなのかまでは、私にはよくわからない。

 

 別のBlogに、2015年には「世界オタクデ―って本当?」と実在を確認する記事が、翌年翌々年まで世界オタクデ―を取り扱う記事を出している。
 2016年に@WorldOtakuDayツイッターアカウントができていたりも。

 ただ、見つかっているのは個人に依るSNSやBlog記事くらいの規模で、どれほどのムーブメントだったのかはよくわからないのが正直なところ。リアルタイムでTwitterなど追えていれば、なにかわかったかもしれないが。
 2018年くらいになると情報がかなり減ってしまう。

 2020年にTwitterで見られた #otakuday の書き込みの大部分がスペイン語で、英語はかなり少数だった。すでにフェードアウトしているようにも見える。

 

スペイン語圏へ

 で、今回私がたまたまTwitterで見かけた #otakuday、そしてスペイン語の Dia Del Otakuについてなのだけど、こちらはわりと話がシンプルそうだ。

 2011年11月23日に、Facebookに「15 de diciembre !!! DIA DEL OTAKU.」というコミュニティが開設されていて、これが21800人ほどのフォロアーを持つ大きさに育っており、2020年現在もそこそこの頻度で投稿がある。(なぜか当日に投稿なかったけど)
 12月15日という日付は、上記の英語圏でのWorld Otaku Dayと一致しているから、おそらく同じ起源だろう。

 おそらく、英語圏Otakuたちが飽きちゃった後も、スペイン語圏のOtakuたちはまだ12月15日を飽きずに祝っているらしい。

 

 Twitterの #otakuday に12月15日ごろに投稿しているアカウントを見ると、居住地を公開しているアカウントは、どれも南米在住らしかった。多分スペイン本国より南米での流行らしい。

 なかなかスペイン語に翻訳されて南米に流通するオタクコンテンツも多くないと思うし、それでもOtakuをやろうというAmigo, Amigaが2万人。
 そしてコロンビアのトレンドに上がるくらいに盛り上がったところで、わざわざコロンビアのトレンドをチェックしていた私の目に止まった、と。

 日本で特に「オタクの日」が制定されるような動きもないようだし、少なくとも9年前にはすでに祝っていた南米のOtakuたちに敬意を表して、オタクの日は12月15日ってことでいいんじゃなかろうか。

 スペイン語WikipediaOtakuのページにも、オタクの日が12月15日だと言及がある。

 

おまけ:ブラジルのオタクデ―

 MEGABRASILの記事によると、ブラジルでは5月25日がオタクデ―だとAmazonブラジルが言い出しているらしい。
 ただしこれはスター・ウォーズの公開日基準で、また「スター・ウォーズ関連書籍の売上を基準に、オタクな都市を決める」というお遊びも並列されている。

 オタクといってもアニメ・マンガ系とは別ラインのもののようだ。
 また、スター・ウォーズを基準にするとスター・トレックファンからの反発も予想されるので、争いに巻き込まれないようにしたい。