しばらくぶりにヘッドホンを買った。
VictorのHA-S400なる2000円もしないような安物だけどね。
「カーボンナノチューブ振動板」とか大層なこというから最近のモデルなのかと思ったら、2012年発売なのか。
持ち運びに便利な折り畳めるタイプで、あまりにもポップすぎないデザインで、くらいで探してたら目に止まった。
PioneerにもSONYにも似たようなのがあったけど、過去の経験から、Victorの音は大体私好みでハズレがない。
それに、2000円とかの安物をまとめるのが上手で、安いからダメってのが少ない(オーディオテクニカはある程度コストかけないとダメなイメージ)。
HA-S400ちょっとレビュー
意外といいなと思うのは、2000円弱という値段の割には外装がしっかりしてるなと。
折りたたみ機構で複数のヒンジや回転軸があるんだけど、案外ガタが少ない。
デザインも、形状のアウトラインが整ってて、真横から見るときれいな4分音符型になるとか、なかなかいい感じに思う。おじさんには若作りではあるが、ギリセーフとしておこう。別にスーツ姿で使うわけじゃなし。
掛けてみると、私には少々耳を押さえる圧が強めかな、という感じはある。
あるのだが、私は人並み外れたでか頭であって、Araiのバイク用ヘルメットのXLサイズを試着しようとしたら入らなかった有様だ。BMIも普通の範囲だから肥満で入らないんじゃなくて、頭蓋骨がでかい。
なので、通常の頭の持ち主には、しっかり耳を塞ぐ程度の圧、というくらいかと思う。
結構密閉感も高めで、外部の音をかなり抑える。(頭がでかいから強く密着してそうなってるかもしれないが)
といってもまあ、今時はみんなカナルイヤホンを使うから、もっと強烈に遮音されるのが当たり前かもしれないな。
そのかわり、カナルイヤホンでよくある、ケーブルが擦れるタッチノイズがザリザリと大きく聴こえたりもしない。
ケーブルはそこそこ太さがあって、硬い。スマホにつなぐと結構気になるかな。
音質は、というと。
最初、いつも持ち歩いてるZenfone Zoomに挿して中島みゆきを流してみたんだけど、やたらと低音過多だった。間違えてイコライザーがかかってるんじゃないかとも思ったが、どこを見てもオフ。
どうも、Zenfone Zoomが低音をブーストしたような音を出してるようだ。
ただまあ、外で音楽を聞く分には低音が強いほうが外音に負けにくいんで、そういう調整なのかもしれない。実際電車の中で聞いてる分には悪くなかった。
改めて、自宅でPCにつなぐ。
別に全然良い再生環境ではなく、RATOCのREX-UHPA1からの出音。まあ入門機だけどマザーボードの端子に直挿しよりはずっと良かろうと思う。
すると、相変わらずVictorらしい(と私が思ってる)音が出てきて安心した。
解像感が高いとか繊細な音とかじゃなくて、低音が多めでちょっとおおらかな感じの、それでいて曇った感じではない、暖色系の音というかね。
私はこっち系のが好きでね。VictorでなければアメリカのKOSSとかGradoとか好きなのだ。家用の一番いいヘッドホンもAlessandro Music Series 2(どう見てもGrado製)で、昔はSporta Proとかthe Plugとか愛用したもんだ。
逆に、音の繊細なタイプはあんまり好みじゃなくて、国産だとPioneerが、海外だとSENNHEISERが寒々しく聴こえてどうにも合わなかった。
2000円しない価格帯でこの音質だったら、流石にVictorは上手くまとめるな、と思う。今ならこれくらい当たり前かもしれないけど、昔の安いヘッドホンなんて聞けたもんじゃなかったからなあ。
しかし、やっぱり高級ヘッドホンとは埋めがたい差があり、歌手の息遣いまで聞こえるとか、ハイハットの振動まで目に浮かんでくるとか、そんな音じゃないな。CDの録音が悪いのが気にならないし、良くてもわからない程度。
低音多めの音は、外で使ってもノイズに負けにくくていい。アクション映画観るとかゲームやるとかにもいいかもしれないな。
昔話
それでまあ、あとは年寄りの昔話タイムである。
どうせこんなblog読んでる人は暇があるだろうから付き合いなさい。
私が以前ヘッドホンに凝ったのは、それこそ00年代の始めくらいだ。
オーディオテクニカのATH-AD7っていう、当時の実売で15000円くらいだったかな。それを思い切って買ってみて、ああ安いPC用スピーカーとは違う世界だと感心して。
aiwaの……ってもう若い子はaiwaって知らないかもしれないが、HP-X121ってヘッドホンが安いのに音がいいなんて話題になったりもしたっけ。
HP-X121は2000円で買えたんだけど、当時の2000円のヘッドホンってほんとに音悪くってねえ。ローパスフィルター通してるのかよってくらい高音がない、低音はハウジングごとビビってんのかってくらい荒くて量だけ多い、みたいな。
そんな中で、かなり派手でアメリカンな音だったけど、気持ちよく音楽聞けるヘッドホンだったの。
当時もウォークマン(及び類似品)はテープもCDもMDも現役で、外で音楽を聞くのは珍しいことではなかったので、外用のヘッドホン(イヤホン)も探した。
あの頃は、外で使うタイプのイヤホンもいろんなバリエーションがあってね。
カナル型じゃない、耳に入るところが平たいタイプのやつが、当時としてはスタンダードだった。SONYのMDR-E888っていう高級モデルがあって、いつか買いたいなー、でもイヤホンに1万円(当時ぶっちぎりに高かった)かー、と迷って結局買わず。
カナルと平たいタイプの中間みたいなのもソニーが出してて、MDR-ED238っていうんだけど、これが音も装着感も好みで良かった。
今でも微かに残ってる耳にクリップでひっかけるタイプも、当時はVictorのHP-AL500なんていう大型高音質モデル(耳にひっかけるのに)、それがさらにオープンエアータイプになったHP-AL700とか激しいモデルがあったよ。確かに音がよかった。
その下のHP-AL93もなかなか良い音してて、この辺から私のVictorへの信頼が始まったな。
もう滅亡したっぽいけど、ネックバンドタイプとかいわれた、耳クリップタイプをそのまま首の後にアームを伸ばして接続したようなのもあった。SONYだとMDR-G62とか。
当時もう滅亡してたけど、バンドが下にくるオーディオテクニカのATH-U9なんてのもあった。
こういうのがあったのって、髪にヘッドバンドが当たって凹むのが嫌がられてたんよね。かといってイヤホン型だと音も物足りないし。
で、今ヘッドホン売り場で圧倒的多数を占めてるカナル型、あの耳に突っ込むタイプ、あれも元祖が出たのって2000年頃だった。SONYのMDR-EX70ってやつ。
私はどうしてもあの耳が塞がれる不快感が耐えられなくって、いくつか試したけど全くダメなまま今に至り、カナル型に制圧された売り場に行ってもしようがなくって、もうヘッドホン趣味を諦めたのだけど。
しかし、MDR-EX70発売後、すぐに他社も後追いしてどんどんカナル型が増えていったかというと、それほどでもなかった。
当時は、「完全に耳をふさいで外の音をシャットアウトしたまま歩くのは危ない」とかの意見もあったし、今や少数派になった装着感を嫌がる人も多かった。
何年か遅れて、ソニーがEX70の次のモデルを出した後くらいになってやっと、aiwaとかPanasonicの後追いモデルが発売された、くらいだったかな。さらにもうちょっと遅れて出てきたPioneerのを買ってみたけど、まあ全くダメだった。
(KOSSのthe PlugはMDR-EX70より前からあったかもしれないけど、あれちょっと構造が違うので別としよう)
でもま、あの小さなイヤホンサイズでしっかり低音を出せるのはこれしかない、と各社とも判断したんだろうなあ。
スマートフォンが普及するにつれて、わざわざ専用の音楽プレイヤーを持ち歩かない人でも外でイヤホンを使う需要ができて、ヘッドホン市場が急拡大すると共にカナル型がばーんと広まっていった感じ。そしてカナル型以外が軒並み敗退していった。
まあ小さいのには変えられんよな。装着感は……私以外はみんな慣れたんだろうと思う。私は未だに慣れんが。
良い音のCD
そういえば、CDが売れなくて配信ばかりになったというけど、最近は「どこの配信サイトの音質がいい」とかの話になってんのかな。高級ヘッドホン買わなくなって、そんなこともわからなくなってしまった。
CDの頃だと、「アニソン関係だとビクターレコード(現フライングドッグ)が頭一つ抜けてる」とか「クラシックはPHILIPSのがいい」とかそんな話だった。
私は中島みゆきの信者なのだけど、音質だけでいえば90年くらいのやつがよくって、「歌でしか言えない」が高音質版だと思う。収録曲も傑作揃いで、これを自分が持ってる一番いい再生環境で聞くのが楽しみだった。
ここ最近のアルバムはなんか、急に音悪くなっちゃったなあ……。
- アーティスト: 中島みゆき
- 出版社/メーカー: ヤマハミュージックコミュニケーションズ
- 発売日: 2001/05/23
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 36回
- この商品を含むブログ (17件) を見る
それから、BETTA FLASHのミニアルバムがすごくいい音で録音されてるCDでねえ。
90年代にゲーセンに通った世代ならわかると思うんだけど、ZUNTATAのTAMAYOが独立して結成した音楽ユニットだよ。
だから買ったんだけど、聞いてみたらすごく澄んだ音のCDで、良いヘッドホンで聞くのが気持ち良かった。
それと、アニメ「ナイトウィザード」のEDだった「Erinyes」もシングルが出てる。こっちも良好な音と思う。
ゲームのBGMの頃から変わらない中二病っぽい楽曲がたまらんね。アニメ見てないけど。
- アーティスト: BETTA FLASH,TAMAYO
- 出版社/メーカー: Five Records
- 発売日: 2007/11/21
- メディア: CD
- クリック: 12回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
私が知ってる一番音質が酷いCDは、「STRIKE WITCHES 〜わたしにできること〜/ブックマーク ア・ヘッド」だったけど、あれ多分機材トラブルかなんかだと思う。そのまま出荷すんなとは思うけど。
しかしCDの頃にちょっと音質悪いなあと思ってた楽曲が、ハイレゾ配信になって録音し直されてきれいな音になってたりもするとか。追いきれないな……