前の記事で、日本郵便のサイトで郵便番号一覧を使ったのだけど、データをCSVでまとめてダウンロードできるページも発見。
読み仮名データの促音・拗音を小書きで表記するもの - zip圧縮形式 日本郵便
データがあれば、あれこれいじってみたくなるというもの。
郵便番号は、大まかにいって、市町村の中の町名に対してひとつくらい割り当てられている。
大阪府だと、田尻町や忠岡町のような面積の小さい自治体だと、郵便番号も6つとか10程度しか割り当てられていない。
しかし、枚方市や高槻市だと200前後も割り当てられている。
郵便番号はどこに多くてどこに少ないか。
また、人口や面積と相関関係などは見られるか。
集計の基準など
データは市区町村ごと。
政令市は区ごとに別とした。政令市全体のデータも、単純な絶対数の比較などには含めているが、平均値の計算などからは除外。
集めたのは、割り当てられた郵便番号の数、人口、面積。
郵便番号データは、日本郵便のサイトから。
しかしこのデータは、2014年3月31日より前のもので、それ以後は更新ごとに出てる差分を自分で適用せねばならんようだ。
めんどくさいので、差分は適用していない。2014年3月30日時点のデータ、ということで。
人口・面積データは、国土交通省のデータを当たろうとしたが、国交相のサイトからではPDFしか出ておらず、整理するだけで嫌になりそうだった。
ので、「今日は悠々日……」から、整理してくれているデータを参照させてもらった。2014年10月1日付の自治体構成を参照したが、宮城県の富谷町が富谷市になっているだけの差だった。
上のデータでは、政令指定都市の人口・面積が区ごとに分けられていなかった。
ので、「ランキングサイト rank-J」から各政令市の人口・面積データをいただいた。
郵便番号数と人口・面積の相関
全国の自治体に割り当てられた郵便番号の数と、人口とで散布図にしてみたが、相関見えず。 pic.twitter.com/421g1Y6n09
— 無謀庵件 (@Mubouan) 2018年4月15日
面積とでもさっぱり。 pic.twitter.com/MRMuEtf306
— 無謀庵件 (@Mubouan) 2018年4月15日
Twitterにグラフを載せたけど、まあ、相関性がよくない。
人口が多いのに郵便番号がやけに少ない、あるいは逆、面積に対してもそういうところが多い。
まあ、人口や面積を基準に町名を定めたわけではない、ということかな。
郵便番号の数が多い/少ない市区町村
郵便番号が少ない市区町村は、「その市区町村すべてがひとつの郵便番号」というところが全国で22あった。
多いのは離島部で、東京都の利島・神津島・御蔵島・青ヶ島、新潟県の粟島浦村(粟島)、大分県の姫島村、沖縄県の渡名喜村。
香川県の直島町は、直島諸島といわれる複数の島になる。有人島が3つあるようなのだけど、郵便番号ひとつじゃ不便ではなかろうか。
また、長野県だけで実に11村が郵便番号ひとつ。南相木村、北相木村、南箕輪村、宮田村、平谷村、根羽村、売木村、泰阜村、王滝村、山形村、松川村。
ほか、新潟県の粟島浦村、山梨県の鳴沢村、岡山県の新庄村、高知県の田野町が郵便番号ひとつ。
多い方は、というと、実に4903件の郵便番号を持つ京都市がぶっちぎり。
- 京都府京都市 4903
- 愛知県名古屋市 1889
- 富山県富山市 1147
- 新潟県新潟市 992
- 大阪府大阪市 966
- 神奈川県横浜市 937
- 岐阜県岐阜市 836
- 兵庫県神戸市 824
- 北海道札幌市 823
- 東京都港区 816
東京23区の合計でさえ3104件なので、京都市の強烈さが見える。
京都の特に洛中は、「通りを挟んで両側1ブロックがひとつの町」くらいで町名をつけちゃうらしく、そこにいちいち郵便番号がつく。上京区・中京区・下京区だけで2500くらいある。
東京23区は、港区・新宿区・千代田区・中央区は多いが、それ以外はむしろ少ないくらい。
港区などでは、高層ビルの各フロアに郵便番号が振られたりするので、縦に増える。全国のヒルズの総本山があるくらいだからな。
政令市以外でランクインしているのは、富山市と岐阜市。
名古屋も含めて、中京・北陸は郵便番号が多いかもしれない。
ちなみに福井市528、金沢市557なので、どちらもかなり多め。
他の政令市では、さいたま市223、岡山市578、熊本市435、広島市454、堺市340、静岡市585、仙台市477、千葉市275、川崎市252、相模原市125、浜松市479、福岡市386、北九州市706。
11位が新潟県上越市753、次が北九州市になる。
14・15・16・18位に京都市上京区・伏見区・下京区・中京区が現れるので、京都市はヤバい。
郵便番号の数に対して人口が多い/少ない市区町村
まず、人口を郵便番号の数で割って、ひとつの郵便番号がカバーしている人の数を見ていこう。
なお、全市区町村の郵便番号数の平均は66件、中央値は36件。
人口の平均は66,948人、中央値は29,764人。
人口÷郵便番号数の平均は1404、中央値は775。
では、人口が多い割に郵便番号が少ないとこ。
- 東京都荒川区 207,067人 / 8件 = 25883.4
- 東京都中野区 319,270人 / 20件 = 15963.5
- 東京都三鷹市 188,023人 / 12件 = 15668.6
- 東京都練馬区 722,710人 / 47件 = 15376.8
- 東京都杉並区 557,731人 / 37件 = 15073.8
- 長野県上伊那郡南箕輪村 14,997人 / 1件 = 14997.0
- 東京都世田谷区 898,754人 / 62件 = 14496.0
- 東京都葛飾区 442,607人 / 32件 = 13831.5
- 東京都江戸川区 678,497人 / 52件 = 13048.0
- 埼玉県蕨市 71,472人 / 6件 = 11912.0
これはぶっちぎりのトップが東京都荒川区で、人口207,067に対して郵便番号がわずか8つ。ひとつの番号あたり25,883人もカバーしている。
ここまで少ないと、郵便物の仕分けに問題が出たりせんのかなあ。
先述の通り、東京は一部を除けば郵便番号が少なめの傾向があり、その上で集中した人口がこの有様を生んでいる。
蕨市は日本一面積の狭い市でもあり、郵便番号が少ないために上位に来た。
そして、郵便番号1件の南箕輪村がランクイン。村とはいっても長野県で最も人口の多い村で、しかも増えている。
逆に、郵便番号が多いのに人口が少ないところは。
- 宮城県刈田郡七ヶ宿町 1,505人 / 107件 = 14.1
- 高知県土佐郡大川村 367人 / 18件 20.4
- 奈良県吉野郡野迫川村 467人 / 15件 = 31.1
- 山梨県北都留郡丹波山村 592人 / 15件 = 39.5
- 山梨県南巨摩郡早川町 1,088人 / 22件 = 49.5
- 奈良県吉野郡川上村 1,389人 / 28件 = 49.6
- 福島県南会津郡檜枝岐村 616人 / 11件 = 56.0
- 奈良県吉野郡黒滝村 733人 / 13件 = 56.4
- 奈良県吉野郡天川村 1,377人 / 24件 = 57.4
- 北海道足寄郡陸別町 2,505人 / 43件 = 58.3
人口の割に郵便番号が多めのところとなると、かつて複数の集落があったけど過疎化して、町名と郵便番号だけが残った……というような雰囲気を感じてしまう。
ぶっちぎりでトップをいく七ヶ宿町は、郵便番号ひとつあたりわずか14人。都心のように単身世帯が多くはないだろうから、世帯数も少なそうだ。
どういうわけか、とにかく郵便番号が多い。地図で見える限りは、人がひとりも住んでいそうにない地名も散見される(熊沢道など)。
もともと、奥羽要所を結ぶ重要な街道が通っていて、7つの宿場町があったことから「七ヶ宿町」と名付けられたとのことで、古い歴史ゆえの何かはあるのかも。
また、町の東部にダム湖ができているが、これによって水没した集落もあるようだ。
ぐぐって見つかったサイトでは、渡瀬・原・追見の3つの地区がダムに沈んだとのこと。かつて郵便番号がどうなっていたかは不明だけど、今はいずれもリストにない。(他のところの細かさから見て、ダムのエリアに3つしか郵便番号がなかったとも思いづらいが)
郵便番号の数に対して面積が広い/狭い市区町村
続いて、面積を郵便番号の数で割って、ひとつの郵便番号がカバーしている広さを見る。
なお、全市区町村の郵便番号数の平均は66件、中央値は36件。
面積の平均は196.61k㎡、中央値は105.82k㎡。
面積÷郵便番号数の平均は6.70k㎡、中央値は2.66k㎡。
広い割に郵便番号が少ないところから。
- 長野県木曽郡王滝村 310.82k㎡ / 1件 = 310.82
- 北海道中川郡音威子府村 275.63k㎡ / 3件 = 91.88
- 長野県下伊那郡根羽村 89.97k㎡ / 1件 = 89.97
- 山梨県南都留郡鳴沢村 89.58k㎡ / 1件 = 89.58
- 宮崎県東臼杵郡椎葉村 537.29k㎡ / 6件 = 89.55
- 岩手県気仙郡住田町 334.84k㎡ / 4件 = 83.71
- 長野県下伊那郡大鹿村 248.28k㎡ / 3件 = 82.76
- 長野県下伊那郡平谷村 77.37k㎡ / 1件 = 77.37
- 北海道河東郡上士幌町 694.23k㎡ / 9件 = 77.14
- 岩手県岩手郡葛巻町 434.96k㎡ / 6件 = 72.49
広大な北海道が強いかなあと思ったら、長野の王滝村がぶっちぎりのトップに立った。
北海道・東北勢は面積の広さを武器に、長野・山梨あたりは郵便番号の少なさを武器に争うように見える。
王滝村はこれだけ広大なのに郵便番号ひとつ。御岳湖から道が続いているエリア以外は人が居なくて、郵便番号もつけなかったかな。
面積に対して郵便番号が多いところは。
- 京都府京都市上京区 7.11k㎡ / 660件 = 0.0108
- 京都府京都市下京区 6.82k㎡ / 601件 = 0.0113
- 京都府京都市中京区 7.38k㎡ / 557件 = 0.0132
- 東京都千代田区 11.66k㎡ / 485件 = 0.0240
- 東京都港区 20.37k㎡ / 816件 = 0.0250
- 東京都新宿区 18.22k㎡ / 696件 = 0.0262
- 京都府京都市東山区 7.46k㎡ / 214件 = 0.0349
- 神奈川県横浜市西区 7.04k㎡ / 195件 = 0.0361
- 大阪府大阪市中央区 8.87k㎡ / 218件 = 0.0407
- 愛知県名古屋市中村区 16.31k㎡ / 382件 = 0.0427
さすがの京都がぶっちぎり。洛中の郵便番号密度の高さは日本一。
ひとつの郵便番号のカバーエリアが0.01k㎡。平均してわずか100メートル四方くらいしか抑えていない。
京都の碁盤を崩すような大きな施設なら住所もひとつかなー、と思わせて、必ずしもそうでもなかった。
さすがに上京区京都御苑は、完全に京都御苑だけに専有されているようだ。天皇さんは不可侵。道挟んで向かいに住んでても、住所は京都御苑にはならない。
中京区二条城町もほぼ二条城だけだが、地下鉄二条城前駅側に少しだけ張り出している。もしや人が住んでいるか、と思ったが、駅施設や駐車場以外はなさそうだ。将軍さんも不可侵。
北野天満宮は上京区にあるが、上京区馬喰町から北野天満宮は少しはみ出すし、また馬喰町も北野天満宮から少しはみ出している。梅園あたりは観音寺門前町にあたり、北側の文子天満宮あたりは北町(御前通)になる。菅原道真公と同じ住所になら住める。
西本願寺は、ほぼ下京区門前町にあたるが、北側にちょっとだけ張り出している。もっとも張り出し部分も西本願寺関係の建物っぽいが。逆に西側は大宮二丁目・大宮三丁目が少し食い込んでいる。
東本願寺は、大部分が下京区常葉町にあたるが、南側が少しだけ中居町、北側が下柳町(全域が東本願寺内)、烏丸二丁目(町家カフェ一軒と国道24号と東本願寺境内だけ)、乾町(下京総合福祉センターと飛び地で東本願寺境内だけ)となっている。
親鸞上人と同じ住所は可能ということで、さすがに親鸞上人は偉ぶらないなあ。
東京の千代田区・港区・新宿区は、ビルのフロアごとに郵便番号を振る、つまり縦に伸ばすタイプ。
横浜市西区も、郵便番号の大半をみなとみらいのビルが占めている。
大阪市中央区は、普通の町名も多いし、大阪ビジネスパークのオフィスビルのフロア別郵便番号も多い。
名古屋市中村区は、多くが名古屋駅のビルのフロアが取っているようだ。
まとめ
地図で遊び始めるとキリがない。