堺風の頭部

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桃の天然水はもうないんだ

mubouan.hatenablog.com

 前回、大阪の100円売り自販機のパチモン……いや、草の根メーカーのたくましい商魂がちょっと間違った方にドリフトしている素敵飲料を紹介し、パクリ元……いや、インスパイア元、パロディ元たる飲み物と飲み比べてみた。

 そんな私の前に、また新たなパチモン……いや、草の根メーカーの……いやこれもういいやめんどくさい、パチモンが現れたのだった。

 

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 「いちごの天然水」「もものおいしい天然水」である。

 

 で、前回の記事のパターンに従えば、飲み比べレポートをやりたいところだ。

 まあ、「いちごの天然水」については、明らかにパクリ元だろうと思わせるような商品が思いつかない。単にニアウォーター系飲料をいちご味に仕立てて、一般名詞かのように「天然水」とやっただけだろう。

 「もものおいしい天然水」の方は、明らかに「桃の天然水」が元ネタだ。「おいしい」と単語を加えてるあたりが実に。いちごの方にもつけてりゃまだしもなのに。

 

 が、2019年現在、もう桃の天然水は買えないようだ。

 サントリーのサイトに「桃の天然水」の商品情報はあるんだけれど、さっぱり売っていない。
 サントリーの自販機を注意してチェックしても見当たらない。セブン&アイ系列の店頭で売ってるとも聞いたが、セブンイレブン3店、イトーヨーカドー1店をチェックしてもなし。オムニ7ですら検索にヒットしてこない。

 もう、買えないのだろう。

 

 20年前、華原朋美の「ヒューヒュー」で一世を風靡した「桃の天然水」。
 あのとき、ほとんど社会現象のように売れまくった。
 比較的薄味で見た目も水の「ニアウォーター」というジャンルを切り拓いた製品でもあった。
 糖分が少ないと思い込んで一日に何リットルも飲みまくる若い子が増えて、ペットボトル症候群が問題にされたりもした。 

 元々販売していたJTが、飲料事業を手放したのが2015年。
 コーヒーの「Roots」や緑茶の「辻利」といっしょに、有力ブランドだった「桃の天然水」はサントリーに渡った。
 だが、桃の天然水は令和には渡ってこなかった。この名前はもう、平成という琥珀に閉じ込めて、昭和生まれの心の中に遺しておこう。

 

 そういうわけで、今回は飲み比べなし。

 

 で、この「もものおいしい天然水」だが、正式には「フェリーチェ 潤うもものおいしい天然水」であるそうだ。
 販売は富永貿易株式会社というところで、URLも書いてあった。堂々とこんな商品扱ってるってネットで公開しとるやんけ。

 ちなみに富永貿易は、「神戸居留地」という一見洒落た感じのブランドで、激安缶飲料・ペットボトル飲料を売ってるところだ。40円とかで売ってるLASコーラとか、あれ。

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 で、飲んでみたのだが、やっぱりニアウォーターらしい味というか。
 私の舌では、それこそ桃の天然水ブームの頃から「別に味薄くない。十分甘い」と感じるんだけども、まあ、普通の味だ。合成甘味料の後味がかなり残るのが気になるくらい。

 

 桃天はもう買えないが、同じピーチフレーバーのニアウォーター系飲料には、コカ・コーラい・ろ・は・す もも」がある。
 あれは桃味の再現度が高く、「甘みが足りなくて酸味が主張するイマイチ美味しくない桃」そっくりな味になっている。再現度には感心するけど美味いかというと首をかしげる味だ(500ccを飲み切るにはこの程度の甘さがベターとも思うが)。
 あの頑張りすぎて何か間違えた感じの「いろはす」に比べると、「潤うもものおいしい天然水」はベーシックな味付けと言えるだろう。

 まあ、正直私はそもそもニアウォーターが好きではないので、美味しいか不味いかの判断は避けておく。 

  

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 「潤ういちごの天然水」の方も飲んでみた。
 甘っ……というのが口に入れた瞬間の印象。見た目は水なのに、わざとらしいまでのいちご香料の匂いと甘み。
 果たしてこれは、香料の香りで甘いと勘違いしているのか、本当に甘ったるいのか。

 やはりまあ、私はニアウォーターは苦手だな、と確認するばかりだった。

 

 桃天已死 何天次立 歲在令和 天下不景気。