JRおおさか東線が全通して、今まで大阪市内の鉄道空白地だった旭区・都島区の北部あたりにも鉄道で行けるようになった。
でもって、新たに鉄道で行けるようになった城北公園へ、ちょっと行ってみることにした。
そろそろ花見もできるシーズンだし。今年東京の桜は早いらしいが、大阪はそうでもなく、まだ咲き始めから五分咲き程度かなあ。
今日は先日500円で救出してきた、サイバーショットDSC-H7を持ち出すことにした。
DSC-H7は、ライカ判換算31-465mmの15倍ズームと豪勢なブツなので、まずひとつ鉄道写真っぽいやつ。
ただ私はあんまり車輌のことを知らないので、撮影するにしても勘所がよくわからん。良い写真ではなかろう。
城北公園通駅を下りてみると、なんだか与謝蕪村を推している。
駅の西側出口も「蕪村口」。駅西の商店街は、元々は大東商店街といっていたのが、今は蕪村商店街となっている。
しきりに鉦? を叩くような音がしていたが、地車を出す祭りをやっていた。
毎年この時期なのか、それとも、おおさか東線全通祝と幟を立てていたから、それにかこつけて臨時にやってるものだったのか。
地車はそのまま、今回の目的地である城北公園に入っていった。
あまり桜の時期に祭りは多くないように思うので、桜と地車の取り合わせは珍しいかな。少なくともだんじりが秋祭りになる泉州だと見ないな。
城北公園は、名所とされるほど大量の桜があるわけじゃないけれど、花見をするには十分に桜がある。
交通の便もあってか、さほど混雑もせず、かといって閑散としているほどでもなく、日曜日でもゆっくり花見ができそうなスポットだった。
おおさか東線を利用できて、駅から10分ほど歩くことを厭わなければ、なかなかの穴場になりそう。
で、カメラのほうだ。
DSC-H7の広角端31mmというのは中途半端なようにも思えるんだけど、PENTAXユーザーなら定番のDA21mmF3.2 Limitedとよく似た画角。意外と馴染みやすい。
マクロ性能もそこそこ高くて、広角端最短4cmというのは別にどうでもいいけど、465mmのテレ端でも1.2mまで寄れる。
一眼レフの望遠ズームと同等くらいの接写能力がある。ハーフマクロくらいにはなると思ってよい。
実焦点距離も78mmあってF4.5だから、ボケも使った撮影ができる。
が、しかし2007年のカメラには違いないので、今時のカメラの感覚で使うと歩留まりが非常に悪かった。テレ端の近接撮影なんて、3割も成功していない。
まずセンサーが1/2.5型800万画素CCDだけあって、高感度性能が厳しい。そのため、感度オートで使うと、465mmもあるテレ端でもISO100のまま1/125秒まで粘ってしまう。それで被写体ブレが出る。今日は天気が悪かったこともあり、動物の写真は全滅した。
手ぶれ補正もそこそこ効いてるとは思うんだけど、きっちり止まりきらないことも多い。
AFも結構外すみたいで、中抜けして背景にピントが合ってるとかならわかるけど、どこにも合ってなかったりもする。それで警告なしにシャッター切れるからまた困る。
でもって、液晶モニターも11万画素(EVFだともっと少ないと思われる)と高解像度ではないから、小さなブレやピンボケは判別しかねる。帰ってPCで見て、「ほとんど全滅やん」と。
よって、古式に則った操作というか、望遠を使いまくるなら感度はISO400などに手動設定して、手ぶれ補正は過信せず、逐一再生で拡大してブレ・ピンボケを確認する、というような運用が求められる。
あるいは快晴の日専用。
ピントが合ってて手ブレもしてなければ、Carl Zeiss Vario Tesserを名乗るだけあって、なかなかいい写りのレンズなんだけどな。800万画素なら等倍鑑賞に耐えるくらい。
それから操作性がなー。撮影中にこれだけ困惑するカメラは久しぶりだよ……。
カメラメーカーが作った普通のカメラの流儀と、全然噛み合わない操作系になっている。
右手の複合ボタンは、中央が押しボタン・その外が十字キー・さらに外周がダイヤルになってる。これはまあ、コンパクトデジカメでよく使われるやつ。
十字キーは、上がDISP、右がストロボモード、左がマクロモード、下がセルフタイマー。
で、「●セッテイ」って何のことかわからない。
中央ボタンを押すと、「●ケッテイ」とトグルする。まずその言葉の意味がわからん。
「●セッテイ」の状態でダイヤルを回すと、上の写真で「F4.5」の上にある▽が移動する。つまり、設定項目を切り替える。左から順にISO感度・シャッタースピード・絞り・露出補正・測光モードが選択できる。
しかし、ここでは十字キーで項目選択ができてよさそうなのに、ダイヤルしか使えない。十字キーを押しても、右はストロボモード、左はマクロモードの切り替えのまま。画面表示で左右にカーソルを動かすのに、十字キーがそうならない。なんでだよ。
設定したい項目に▽を移動させて中央ボタンを押して「●ケッテイ」にすると、ダイヤルが絞りや感度などの設定値変更になる。ここでもやはり十字キーは効かない。
どういう動作か理解したけど、やはり「●セッテイ」「●ケッテイ」の用語がわからない。ピンとこないし、そもそも適切な用語じゃなかろう。
なので、画面に「●セッテイ」または「●ケッテイ」と表示されていても、今ダイヤルを回すとどうなるのか、直感的にわからない。
2007年ならもうコニカミノルタのカメラ技術者も入ってきてると思うんだけど、「このインターフェースはダメ」というてくれんかったのかなあ。
レンズ交換式カメラを一通り使いこなせるくらいの人だと、ちょっと耐えられないインターフェースだ。
こんなのでは、「絞り優先オートモードで、絞り値と露出補正を頻繁に行う」という当然のことができない。やってられない。
この酷いインターフェースに、「EVFと背面液晶の切り替えが完全手動」というのが加わる。まあ自動切り替えのアイセンサーにコストがかかるから、ある程度は仕方ないっちゃ仕方ないが。
EVFで撮影してると、もう露出補正する気もしない。
そもそも、これくらいグリップがしっかりした大型のボディなのに、背面親指側にズームボタン置いてるのもよくない。
大きいボディだったら、背面右上には親指でボディをしっかり支えるためのサムレストがあるべきで、ズームレバーは人差し指側にほしい。
というわけで、インターフェースはもう最悪の部類。
プログラムオートでしか使えないようなシンプルなコンパクトデジカメだったら、操作性なんて何だっていい。
けれど、これP/A/S/Mフルモードで使えて、望遠マクロでボケを活かした撮影なんかも可能な仕様のカメラだからな。そういうカメラが、できることをスムーズにできないインターフェースなのはダメ。
2007年ならSONYがデジカメはじめて10年以上経ってるのになあ……
ちなみに一芸があって、ストロボの操作が妙に細かくできる。
コンパクトデジカメだとスローシンクロモードすらない場合もあるというのに、こいつは先幕・後幕シンクロまで指定できる。しかも光量補正も±2.0EVまでできちゃう。
その一芸を使える機会はあるだろうか。