嗚呼古のハイエンドデジカメ、COOLPIX 5000である。
P5000じゃなくてね。
2001年当時、希望小売価格で15万円というプライスで現れた、華のニコンデジカメの最上位モデルだった。
2001年だと私はリアルタイムにはデジカメ見てなかった。その次あたりの5700が、私がリアルタイムで眺めた最初のハイエンドモデル。
といっても、発売前から延期を繰り返し、やっと出てたと思ったらトラブル多発。オート撮影は大暴れで、たまにヒットしたとき以外はあんまり良い画も出ない……と、なんだか評判が悪い。
確かに私の手元にきた個体もファームウェアがちょい古くて、ホットシューがあるのに内蔵ストロボと同時にしか発光できないなんて妙な仕様になっていた。ファームアップで直ったが。
ともあれ、実際に使ってみた。
さて、比較的最近まで1/1.8型センサーは残っていたのだけど、00年代前半にはそれより上のクラス向けに2/3型センサーがあった。
COOLPIX 5000も2/3型500万画素センサーを持つ。
そんなセンサーを使っているデジカメは、他にはミノルタDiMAGE 7、オリンパスE-20、ソニーDSC-E707といった大型モデルばかりで、その中ではCOOLPIX 5000は際立って小さいモデルだった。
まあ今のカード型デジカメに比べりゃ大きいが、ネオ一眼よりはずっと小さい。
そこにバリアングル液晶モニターと、当時かなり珍しかった広角28mm相当からのレンズを搭載してきている、なかなか渋い仕様。
でもって、補色フィルターだ。
最近は原色フィルターしかなくなってしまったが、当時は補色フィルターがあった。
原色フィルターは明快で、赤・青・緑それぞれを通すフィルターを通してセンサーに光を送り、色を再現する。
補色フィルターは、シアン(緑+青)・マゼンタ(赤+青)・イエロー(赤+緑)と緑を通すフィルターで受けて、それを演算処理してRGBの画像を作り出す。
補色フィルターの方が通してる光が多いから感度が高いが、しかし色再現性に劣る。
このカットは撮影時間がかなり遅くてしかも日陰だったが、まあ、地味な色合いというとそうかもしれない。
真っ赤とか鮮やかな紫とか、そういうものを撮ると変な色に転びがちだと予想される。
センサーが大きいこともあって、コンデジながらなかなかボケる。
しかしボケるのはいいけど、なにせ広角28mmと広いから、マクロでも背景に色々写り込んでしまう。写真がまとまりにくい……
……と思いきや、テレでも相当寄れる。
一眼レフだと、ズームレンズはテレ側のほうが寄れる(というか最短撮影距離が変わらない)のが普通だけど、コンパクトデジカメはワイドマクロが多い。
そこにテレマクロが効くレンズを載せてるというのは、やはりニコンのハイエンド、銀塩カメラを使いこなすハイアマ狙いなんだろうな。
コンデジでテレマクロだと、感度上げられないわレンズ暗いわでかなり使いづらくもなりがちだけど、COOLPIX 5000だとISO400が普通に使える画質。なんなら800にもできる。
換算85mm F4.9になってしまうが、日があたっていればなんとかなる。
ニコンのデジカメは当時からマクロに強い機種が多かったけど、銀塩だとどうしても難しいマクロをデジカメで積極的に推していってたのかもしれないなあ。
スイバルとか、この機種のバリアングル液晶もそのためかも。
ただ、操作系がかなり、悪くないんだけど理解できない人が多いかもしれない。
なんというか、オートフォーカス一眼レフカメラとか使ってた人には、まあ理解はできるような操作系ではある。
「FUNC.」「MODE」「露出補正」「AF/AE-L」「ストロボ」「AF」「記録画質」と十字キーがあり、さらにダイヤルがひとつあるので、これでほとんどの操作ができる。
ストロボボタン押しながらダイヤルでISO感度変更とか、ボタン・ダイヤルコンボでの操作もある。
で、ボタンとダイヤルで操作できることに関しては、メニューにない。
露出補正までメニューの奥底に突っ込むコンデジは多々あるけど、ここまでメニューから触らせない操作系のコンデジは珍しいと思う。
私が使う分にはこの操作系でいいんだけども、ボタンの配置とかが少々奇妙だ。
親指を置きたい場所にズームボタンがあるもんで、無意識に動かしてしまう。これはちょっと場所が悪いな。
しかもストロボ調光センサーもグリップそばの指がかかるような位置にあるとか、なんかツメの甘いところがある。
多分補色フィルターのCCDが苦手そうなカットだが、別にそこまででもないか。
比較的地味めな色合い。しかしこれ、カメラの設定としてはコントラスト強・彩度+1(最大)・シャープネス標準(強・標準・弱・なし)と目いっぱい派手になるようにしてるんだけども。
この記事は全カット、その派手に振った設定で撮影している。
この頃のコンデジは、広角端35mmが普通、38mmも珍しくないくらいで、小型センサーゆえの広角の弱さが出ていたけど、COOLPIX 5000は28mm。
それを理由として支持していた人もあるようだ。
多分2003~4年ごろから、リコーのCaplio G4 wideとかが現れてくるけど、2001年だと内に等しいくらいだったはず。(一応Kodakとかにあったが)
うーんやっぱり地味かな。
補色センサーは、原理的に緑の再現はいいと思うんだけど。
オート露出が結構暴れるともいわれているが、確かに、なんでこの露出になったのかな、という気はする。測距点重点測光とかしてるのかな。
全般的にちょっとアンダー目に感じるし、そのくせ黒は容赦なく真っ黒に潰してしまう感じがする。ダイナミックレンジ狭いか?
ちなみに液晶は、露出を確認できるほどきれいではなかった。バリアングルはいいけど、バリアングルできっちり向けないとフレーミングもやりづらいくらい。まあ時代が時代だから仕方ないが。
これは画面外すぐに太陽があったが、まるで影響を受けてない。逆光性能はかなりかも。
ISO400が十分使える、テレマクロが効く、バリアングルモニターというところで、マクロ使うとかなり気持ちがいいカメラだな、と感じられた。
と、このカメラの美点を見出した矢先、突然ストラップがほどけて手首から落下。コンクリート舗装の地面にガァン。
ぎゃー、と思って拾い上げてみて、電源を入れ直してみたが、システムエラーといって起動しなくなってしまった。
いや、手製のいい加減なストラップ使ってた私が悪い。
カメラ大事にできないやつがいい写真なんか撮れるわけないのだ。バカバカバカバカワシのバカ。
ちょっと自分がモノ落としがちなことは自覚していて、気をつけていたつもりだったけど、ストラップ解けるのはちょっと予定外だった。
この雑な手製ストラップ、αSweetにもつけてたんだけど、こっちはグリップ握りっぱなしになってること多かったからなあ。COOLPIX 5000はぶら下げてしまってることが多くて。
実は先日のCOOLPIX S10も、リュックのサイドポケットに入れてたら滑り落ちて壊してしまって。
まあ落とす私が悪いのだけど、なんでCOOLPIXばかり。そんなにしょっちゅうカメラ落としてるわけじゃないんだけどなあ……