奈良の名城・多聞山城跡を見に行った。
αSweetにつける標準ズームとして、35-105mmじゃ使いづらいところ、24-50mmを見つけたのでその試写を。
それにしてもくそ寒い日であったなあ。私が寒さに弱かったら危なかった。寒さに強いフレンズなんだね。
JR奈良駅も降りるのは久々。
元々大和路線も桜井線も路面を走っていて街を分断していたから、高架工事が進められた。写真のこれは先代の駅舎で、今は観光案内所になっていた。
でもってJR駅のよくあるパターンで、ちょっと外れにあるからてくてく歩く。
目的地の多聞山城は、奈良公園まで行かずに北上する。
雪が降ったりやんだり。かなりの吹き降りだったから、中島みゆきの「吹雪」を口ずさみながら歩く。まああの歌でいう「雪」は別のものの暗喩だけれど。
通りすがりの聖武天皇佐保山南陵にもお参り。前にも来たことあるけれど。
多聞山城はこのあたりまで含んでたともいうが、まあ戦国時代だと天皇陵でも城にしちゃってるケースはある。高屋城とか。
佐保川。若草山の北から回り込んできている。これが多聞山城の外堀になってるっぽい。
そこにかかってる若草橋というのを渡って北へ。
でもって、奈良市立若草中学校があるあたりが多聞山城。さすがに学校敷地に入るわけにも行かないが、門外に案内板が立っていた。
松永久秀が、三好長慶の家臣として大和制圧を進めているときに、山城方面への押さえになるこの場所に築城した。1559年に起工して、瓦葺きに白壁、多聞櫓と後に呼ばれるようになるスタイルの櫓、天守閣のような四階櫓など、近代城郭の魁となった城。
そういえば「信長協奏曲」では松永久秀もタイムスリップしてきた未来人になってるけど、こういう先進性からイメージしたもんだろうかな。
名城といっていい部類なのだけど、信長が早々と取り壊しを命じてしまって、今はなにも残っていない。安土城や二条城に建物が、筒井城に石材が運ばれていったらしい。
まあ、なにもないからといってオルタナ天守を建ててしまう清州城式がいいか、看板一つで存在した事実だけを伝えるか、まあ奈良なら後者かなあ。
佐保川から東にまっすぐ行くと、東大寺の轉害門にぶつかる。東大寺に奈良天平時代から残る唯一の遺構。奈良だなあ。
東大寺には北側から入った。
途中で道端に「犬の糞 不潔です!」と看板があったが、その周りが一面鹿の糞だらけだった。奈良だなあ。
知足院。塔頭だから、神社でいうと摂社みたいなものか。
ごく僅かな間しか本堂は開かれない。東大寺の端の端、観光客もほぼこない。白壁も剥がれてしまって、何かと古いままの感じがかえって乙な趣がある。足るを知る、という寺だし。
なんか京都で傷んだお寺があったらいたたまれないけれど、奈良だと歴史を感じる。奈良だな。
正倉院の近くを通りかかったら、平日は外は見られるというので。
ほんとに外見るだけだけど。古織様みたいに蘭奢待削りに入ったりするわけにもいかない。
凛々しく写った若鹿。
ほうぼうの灯籠が苔むしていて趣深いが、赤い花のようなものをつけてるのがあった。が、花じゃないなこれ。
二月堂。
二月堂の休憩所で見かけた湯釜。
いつもながら写真に収めにくい手向山八幡宮。
菅公腰掛石。
若草山前、まだ子鹿かな。少年法が適用されるうちに犯罪しておこうとか考える年頃?
まだ子供だろうにこれだけ寄らせる警戒心のなさよ。
しかしカメラ目線では撮らせない。基本的に奈良公園の鹿は、鹿せんべいよこさない男には冷淡。若い女性をつけ回したりは結構するんだが。
コケっぷりのよさ。
春日神社。それにしてもαSweet、ちょっと不思議な露出のとりかたをする。評価測光というか、白飛び・黒つぶれによる破綻を最小化するように収めようとしてるんかな。まああんまり考えずに撮影できていいけど。
関西ではおなじみの銘柄多数。升平というのは知らないが、奈良の酒かな。
奈良公園には「鹿苑」という施設がある。公園での放し飼いに耐えない鹿を保護収容する施設。
交通事故は年140件。治る怪我なら復帰するけど、治らなければずっとここで過ごす。
また、公園を飛び出して畑を荒らしたり、あまりにも気性が荒くて人を攻撃するようなのは、やはりここに隔離される。口に輪ゴムかけられたり、なんかヤスで突かれたとか、そんな人の手による怪我もあるらしいし、それで人を怖がるようになる例もあるだろうし。
出産前後の雌や、発情期の雄なども一時収容。
まあ、病院と鑑別所を兼ねたようなところだろうか。
で、公園にいるなんかスレた鹿と違って、ここの鹿はなんだろう、寂しいのだろうか、私の姿を見ると一斉に立ち上がって近づいてくる。
どんぐりが置かれていて、それをあげていいというのでワンカップだけもらった。何らかの理由で隔離された鹿だから、餌やりもこういうパイプ越し。まあフェンス越しにどんぐりつまんだ指なんか出したら噛まれるけど。
公園の鹿は、鹿せんべいの屋台に近づく人を包囲し、買って振り返った途端に頭突き食らわして奪い取り、なくなったら何の愛想もなく解散するような連中だけど、こっちのはなんか、ちょっと浅ましいくらい餌のパイプに突撃する。
なくなっても、まだ何かくれると思ってるのか、人が来るのが珍しいから面白いのか、こっちを見ている。
もちろん、ちゃんとプロが世話をしている保護施設だから、扱いは公園の放し飼いより良いはずだけど、退屈なんだろうかな。来客はいかにも少なそうだった。
奈良公園は3度も行ったら、鹿どもが結構小賢しくて傲慢なことに気付いてしまうのだけど、そう思ってしまってから寄るといい場所だ。
今日のカメラとレンズ
今日のカメラは、再びαSweet DIGITAL。
特に新しい知見はないけれど、突然露出補正が-2.0になって、そのくせ半押しするとファインダー表示は+-0に戻る、実写は2段暗い、なんて誤動作がたまに。鹿苑の写真がそうなったから補正してごまかしたけど、発現条件わからんから困る……
今日のレンズは24-50mm F4。
APS-Cのデジタルで使っても36-75mm F4通しの実に無難に使える標準ズームになる。
F4通しといっても、ズーミングしてワイドに寄ると、設定が開放でも若干絞りが閉まるタイプ。PENTAXのFA28-70mmF4とか、DA17-70mmF4とかもそう。
後期型だけど、元々α7000とともに設計された87年くらいのレンズで、特に設計の刷新などはない。
最短0.35mで、寄れなくて困るというほどではない。35-105mmF3.5-4.5は寄れないからなあ。
写してみると、案外破綻ない。
600万画素だから、少々解像力不足でもさほど影響しない。周囲切り落としてるおかげか、さほど歪曲や流れなども見えない。
軽いし、ほんと全然困らんレンズだなあ。
まあ、ボケは良くはないかな。開放だとボケのふちがはっきり出るし、絞ってたら七角形。
24mmスタートの安い標準ズームってPENTAXにはない(存在はするけどありふれてはいなかった)から、10年前なら欲しかったレンズだなあ。