どこのカメラメーカーにも、どうも評判の良くないレンズというのはある。
ミノルタの80-200mm F4.5-5.6のズームレンズは、どうも評判が良くないのだ。とにかく写りが悪いと。
元を辿ればα-3700iという、αシリーズ第二世代の最下級モデルのボディとキットで売られていた望遠ズームらしい。まあ、言ってみれば安レンズの中の安レンズ。さすがに写りに期待するクラスではない。
そんなに酷いというならどんなものかなあ、と思っていたら、ジャンク品が500円で売っていた。
スペックなど
スペックはまあ商品名そのまま、80-200mm F4.5-5.6の暗いズームだ。
昔からダブルズームキットの望遠側にされるようなスペック。
最短撮影距離1.5mと、ちょっと遠い。
特徴としては、至って小型軽量。
PENTAXのDA50-200mmF4-5.6も相当に小さい望遠ズームだが、比べるとほぼ同等のコンパクトさ。
強いて言えばDA50-200mmのほうがやや細いが、こちらはAPS-C専用だ。
重量も、DA50-200mmが255g、Xi 80-200mmが300gという。
元々、当時としては超小型軽量のAF一眼レフだったα-3700iと合わせるために開発されたレンズなので、レンズも小型軽量に、というコンセプトがあったんだろう。
超初心者向けボディと合わせるものなので、レンズキャップの代わりにレンズバリアが内蔵されている。手動だったけど。
今回のXi ZOOMの方は、次世代モデルのα xiシリーズの仕様にリニューアルされている。
レンズバリアがなくなったり、マウントがプラにされてたりという変更もあるんだけど、もっと大きな変更がある。
パワーズーム・パワーフォーカスになっている。
このズームリングっぽいのを回すと、電動でズーミングする。
リングを手前に引いて動かすと、マニュアルのパワーフォーカスができる。
側面にはMZ / AZというスイッチがあるけれども、これは多分第3世代α xiシリーズの売りだったオートズームの切り替え、だと思う。
状況をカメラが判断して、勝手に適切なフレーミングができるようにズームを動かしてくれるんですって。
αSweet Digitalにつけても、ちゃんとパワーズーム・パワーフォーカスともに作動する。なおスイッチはAZの方で動く。MZじゃ動かない。
このレンズは手動でズーミングする手段がないので、パワーズーム非対応といわれたら困るところだった。
で、パワーズーム使いやすいの? と問われれば、うーん……。
一応アナログに入力できて、少し回せばゆっくり、大きく回せば速くズーミングはする。ただ、ゆっくり回して動き始めるまで少し遊びがあり、微調整はやっぱりやりづらい。まあズーミングはそこまで精密にできなくていいけど。
パワーフォーカスに関しては絶望的水準の酷さだけど、αはAFで使うカメラだし。
実写
まずごく普通に写ってるカット。80mm・F11。
実はこれでもピクセル等倍で見たりすると、結構頼りない感がなくもない。αSweet Digitalだから600万画素なんだけども。
こちらテレ端の開放F5.6。
このレンズはアレだ、ボケがすんごい汚いのだ。強烈に二線ボケしてるらしい、実にうるさいボケ方をしている。
これもテレ端200mmの開放F5.6。
少しピントを外れたところが、芯が残ったままで周りがボヤっと霞む変なボケも出るな。縮小すると気になりにくいんだけれど。
広角端80mmの開放F5.6。やっぱり芯が残ったようなボケが出る。
広角端はそれなりに解像感あるけれど、テレ端開放だと中央部でもこんな感じ。
ピクセル等倍ではあるけれど、600万画素だからな……
このレンズ、とにかくボケると汚くなるから、ボケさせないのがベターっぽい。
しかし80-200mmなんて望遠ズームを、ボケさせないというのも逆に難しい。特にテレ端。
絞って被写界深度を稼げるくらい、明るく晴れた日に使いたいところか。
しかしまあ、解像度の不足は、L版プリント程度じゃ困らないだろう。
ボケが汚いなんてことを気にするような層が使うレンズでもないようにも思う。
そもそもの相方たるα-3700iが、とにかく小型軽量が売りで、オートフォーカスでプログラムオート露出のみという超初心者向けカメラだった。
あれに合わせる望遠ズームなら、とにかく小型軽量なことが大事。運動会とか学芸会で子供をアップで写せればよいと。
「とにかく小さい望遠ズーム」というコンセプトを、しかも低価格で実現しなきゃならなかった、当時のミノルタの中の人も大変だったろうと思う。