堺風の頭部

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Zenfone Zoomで撮ってみた

 2016年の頭に、ASUSからZenfone Zoomというカメラが出たんですね。

www.asus.com

 これがまあ希代のイロモノと申しますか、3倍ズームレンズ搭載のカメラを積んでるんです。
 焦点距離の違うレンズを積んだカメラユニットをふたつ搭載したスマホが「ズーム」と誤った自称をしているんじゃなくて、Zenfone Zoomはほんとにズーム。
 デュアルカメラならデュアルカメラと名乗るべき。
 ズームを名乗るべきなのはZenfone Zoomだけ。ちなみに後継機のZenfone Zoom Sはデュアルカメラな。

 時期的にそろそろ在庫やら放出されて安く買えるようで、私も修理上がり品らしいのを安く買えた。
 「スマホは1万円台の安いSIMフリーを1年くらいで乗り換える」と決めているので、ちょうど前のを買って1年くらい経って、1万円でこんなのあったら買うよねっていう。

 

 スマホとしては2年前のミドルハイ(あるいは3年前のハイエンド)というくらいのもんなので、とにかくカメラを見てみよう。

 

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 センサーは1300万画素で、多分裏面照射型CMOSかな。

 レンズは、ライカ判換算で28-84mm F2.8-4.7の3倍ズーム。光学手ぶれ補正まである。
 なんとHOYA製だと銘が入っている。ということは事実上PENTAXレンズといっていい(よくない)。

 屈曲光学系レンズで、カメラを起動してもレンズが飛び出したりはしない。カメラ部分が若干膨らんでいるが、まあこれは仕方ないだろう。
 別に、ポケットに出し入れするときに引っかかるほど極端な出っ張りではない。 写真の通りでTPUシェルをつけてるけど、それでも別に引っかからない。

 (ミュシャステッカーはつかない。堺のアルフォンス・ミュシャ館で買える)

 

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 とりあえず適当に撮ってみる。

 望遠端で近接撮影すると、わずかながらボケが出る。といってもまあ、コンデジよりもボケが小さい感じにも見えるが。センサーは1/3.2型とかなのかなあ。

 ホワイトバランスは黄色に転んでるかな。でもって、彩度がめっちゃ高い。

 

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 そこそこ寄れるのも嬉しい。
 特に、レンズを望遠側にしても最短撮影距離がさほど伸びない。多少遠距離からマクロ撮影ができるので、花など写すときには便利。

 ただ、マクロだとシビアにピント合わせが必要なんだけど、AFはバッチリ決まるというほど優秀ではないなあ。
 スマホなら画面が大きいとはいえ、やっぱり確認しきれない。タッチAFを使っても、思っていたのと違うところに合焦していることが多々。

 

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 こういう明暗差の大きいカットになると、勝手に判断して「HDRモード使うといいよ」とサジェストしてくる。
 標準カメラアプリは、そういう点は優秀だ。

 しかしながら、正直いえば、露出制御とかのカメラ的な制御はかなり頼りないかなあ。ここは、そこらへんの日本製コンパクトデジカメとはかなり違う。
 大きいのは、ワイド端でもテレ端でも、マクロであろうと、ちょっと暗いとすぐシャッタースピードがオートで1/15秒になっちゃう。
 センサーは裏面照射型CMOSでそこそこ増感にも耐えるはずなんだから、ワイドなら1/30秒、テレなら1/100秒くらいを維持してどんどん増感してほしいところ。

 レンズに絞りは入ってないみたいだけど、シャッタースピードと感度でプログラムオートを実現している。
 カメラアプリのモードをマニュアルにすると、シャッター速度優先オートと、感度優先オードが使える。どっちもマニュアルにもできる。露出補正も別途あるし、MFまでできちゃう。
 しかし、カメラアプリを起動すると必ずオートモードで、ワンタップしないとマニュアルモードにならない。(マニュアルモード内の、露出補正やシャッター速度などの設定値は記憶する)

 

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 一番きつい難点は、1秒をゆうに超えるくらい長いレリーズタイムラグだ。

 わざわざシャッターボタンを、それもデジカメ同様の半押しでAF・AEロックを行って押し切ってシャッターが落ちるちゃんとしたボタンをつけてるのに、押し切ってから撮影されるまで1秒遅れる。
 何かの間違いかと思うくらいの遅さ。

 変な手ぶれも誘発する。押しっぱなしたら1秒遅れて猛然と連写し始める。
 これもうちょっとどうにかならんかったかなあ。

 

 オートフォーカスが、どうもレーザー測距をやるらしいんだけど全然早くなくて、動くモノを捕まえられる水準でもない。

 

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 まあでも、カメラを目当てにわざわざZenfone Zoomを今から選ぼうというからには、設定なんか自分でやれるべきだ。

 色が派手すぎる? ちゃんと彩度設定があるから-0.5にした。
 シャッター速度が遅い? 手動で1/125秒にした。
 ピントが怪しい? 合うまで撮り直した。

 かなりのところまで手動設定できるカメラアプリだから、結果が気に入らなければ自分でやればいいのだ。

 

 レリーズタイムラグは我慢。

 

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 デジタル補正かもしれないが、歪曲収差や周辺減光などは特に気にならない。
 ズームのどこでも、センサーに対して十分な解像力は持っていて、ブレやピンボケがなければ十分よく映っている。

 また、ノイズリダクション処理があまり強くかからないようで、塗り絵みたいにならない。
 空がザラザラしたりしがちだけど、私はこっちの方がいいな。

 

 オートの若干の頼りなさを人がサポートしてやれば、かなり良く答えてくれるカメラだと思う。

 

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 これは室内撮影で、ISO598になっている。
 等倍で切り出してみたが、ノイズ潰しすぎない感じ。これくらいがいい。

 

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 露出はちょっとオーバーかな、と思ってたけど、彩度が高すぎるので露出オーバーに見えていたっぽい。
 彩度設定を-0.5にしたら、露出は特に補正しない程度がいいようだ。-0.6EVくらいがいいかな、と思ったけど、ちょいアンダーだ。

 黒猫にタッチでAFしにいってそのままAEロックされて、それでもアンダーとは思わなかったが。

 

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 Choo-Choo-Trainだ。ZOOだ。

 

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 28-84mmのズームレンズ、Exifによると実焦点距離は3.8-11.4mmのようだ。
 ということは、センサーサイズは1/3型か。「1/2.3型のコンデジよりボケない」という私の読みはなかなか当たっていたな。

 

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 まあソフト面に欠点はありつつも、ちゃんとコンパクトデジカメ水準で写すことができる、28-85mmの扱いやすいレンジの標準ズームを積んだカメラを、スマホとして常時持ち歩けるのは強いな。

 

 スマホとしては、SoCがIntel Atom Z3580。2.33GHzの4コア。
 2015年当時にZenfone 2が「スペックモンスター」と自称して積んできたのがこれ。2016年頭でも十分パワーはある。

 ただ、Intel系はAndroidだと少々挙動が怪しくなるもので、細かいところが怪しい。
 待ち時間を示す回転矢印がノーウェイトで高速回転したり、ToDoアプリが経過日数を拾えなかったりとか、タイマー周りが頼りないのかな?
 相性が出て動かないアプリとかも出るので、初心者向けとはいえないな。

 メモリーは4GBあるし、ストレージも32/64/128GBのバリエーション。私のは32GBだけど、まあひとまず十分。

 対応バンドは、国内向けだけあってdocomoのバンドを3G/LTEともほぼカバー。LTEのバンド21が抜けてるだけ。

 ディスプレイは5.5型フルHD。さらに画面外にボタンがあるタイプなので、全面使える。
 曲面ガラスではない。

 ちょっと前のハイパワー機だけあって、電池の持ちは良いとは言いがたいかな。まあ劣化もありそうだけど。
 モバイルバッテリーは必須な感じだ。カメラ使うとかなり豪快に電池が減るし。

 

 正直ちょっと、「スマホとして若干挙動が怪しくても自分でなんとかできて、かつカメラを細かく手動設定して遊びたい」という層はニッチだと思うんだけども、そのニッチに対してはぴったりすぎて代わりがない。

 そのニッチに生息する人間として、使い倒してやろうと思う。