堺風の頭部

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Finepix 2900Z

 私が古いデジカメをジャンクで買ってきて遊ぶようになったのは、多分2010年くらいからかと思う。
 Finepix 2900Zは、その頃には結構見かけるものだったんだけど、特にピンとくることもなくスルーしていた。
 あとになって、絞り優先オートやマニュアル露出ができたり、ホットシューまで備えていると気がついて、どんなもんだろうと思った頃には、さすがに古すぎてあまり見かけなくなった。

 発売は1999年半ばで、フジの中ではハイエンド。
 他社と比べても、まあ頂点に近い機種だろうと思う。ニコン COOLPIX 950、オリンパスC-2000Z、リコーRDC-5000、その辺がライバル。大体10万円くらいの価格帯か。
 上となると、ソニーのDSC-D700/770、オリンパスC-2500L、それからニコンD1くらいだろうか。

 

Finepix 2900Zのスペックなど 

 センサーは1/2型230万画素で、記録は1800×1200の3:2になる。
 後にコンパクトデジカメのセンサーは、アスペクト比がどれも4:3に収斂していったように思うんだけど、200万画素世代は3:2の横長があり、150万画素世代は5:4の縦長があった。
 この横長センサーを使ってたのは、他にリコーRDC-5000があったな。フィルムも3:2だから、古くからのカメラマンにはフレーミングの感覚が合うんだろう。

 まだ補色フィルターと原色フィルターがあった時代だが、これは原色。

 感度はISO125で固定とのこと。操作できる項目はなかった。

 

 レンズは、換算35-105mm F3.3-5.0の3倍ズーム。
 センサーが大型なせいだろうか、レンズも大きめな割にはちょっと暗い。
 でもオリンパスC-2000Zは同じ1/2型センサーでも35-105mmF2.0-2.8と、一眼レフの高級標準ズーム以上の明るさ。もっと大きいこちらが廉価ズーム級なのは、どこから来た差だろうか。

 レンズ前に保護フィルターがビルトインされているのだが、残念ながらコーティングに細かい擦り傷が多数。
 そのまま撮影して、やはり逆光でフレアが出まくっていたのだけど、あとでレンズの前の方をひねってみたら外せた。後ほど再試写かな。

 また、保護フィルターを止めていたパーツを外してみると、中の鏡筒にネジが切ってあるのが見える。手元に合うものがないけど、27mmより僅かに大きい。30mmだったら多少汎用品があるが。

 

 操作系はやはり昔のフジの、オートモードとマニュアルモードがあるやつ。

 洗練されてはいないけれど、まあ理解はできる感じ。操作ボタンも多数あり、メニューから操作も、ショートカット的に直接操作する(シフトボタンというのがあり、それを押しながらで画質設定などをすぐ変更できる)ことも両方できる。
 もう少し時代が下がってこなれてくると、コスト下げるためにボタンを削りまくって、露出補正すらメニューに埋まってたりする。

 

 電源は、NP-80という、いかにもリチウムイオン電池のセルが入ってますよ、という感じのやつ。互換品もよくある。

 しかし手元のやつは劣化が激しい。
 ACアダプターが汎用丸ピンコネクターで電圧も5V。PSP用充電ケーブルなんか使って、USBモバイルバッテリーから供給してやれば動作する。バッテリーの充電もできちゃう。

 

 メディアは、もちろんこの頃だからスマートメディア
 128MBも問題なくいけるそうだ。(本体側の制限で、8MBまでとか16MBまでの機種が、オリンパスにはいくつかある。フジは多分なかったと思うんだけれど)

 また、当時の小容量メディアを上手く使えるように、撮影後にポストビューが出て、それを保存するかどうかを一枚一枚決定する。速写性もへったくれもないが、当時はそれが合理的だった。

 

実写

 とりあえず泉佐野丘陵緑地で。

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 フレアっぽいのは保護フィルターの傷のせい、だと思う。

 

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 順光でこんな写り。はてブロだと横1024pxにリサイズされていると思うが、正直等倍でもそれほどカリっとした写りには見えなかった。(シャープネス設定はデフォルト)

 

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 テレ端。テレのほうがちょっとシャープかもしれない。

 

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 液晶ファインダーは屋外ではほとんど見えない(当時はその程度の液晶が普通)ので、光学ファインダーでもっぱら撮影。
 光学ファインダーもちょっと癖があり、かなりシビアに真ん中からまっすぐ覗かないと影が出る。広角端でレンズの鏡筒が写っちゃうのはまあ、ご愛嬌ということで。

 ちょっと色がアンバーに寄ってる感じがあり、冬とはいえなんだか夕方っぽい。正午ごろなんだけど。

 

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 しなびかけたスイセンに接写を仕掛けてみた。

 マクロ最短25cmと残念な感じのスペックなのだけど、テレ端の方が寄れる、多分バリフォーカルレンズじゃなくズームレンズがついてるタイプ。
 1/2型の大きめのセンサーもあり、テレマクロとなればそこそこボケてくれる。

 ただマクロのAFがかなり頼りなくて、目一杯近寄るならMF使うほうがいい。まあMFで正確なピントを取れるほど詳細な液晶でもないけれど。
 AFができてなくても、できてるような顔するのが困ったものだ。相当大きく外れないとAF失敗してると自白しない。

 

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 内蔵ストロボを炊いて接写してみたが、なぜこんな似たようなものを似たような距離で撮ってこんなに露出違うかな。

 ストロボ自体は、まず手動でポップアップしない限りは発光禁止で、オートポップアップもしない。その点はまったく好ましい。

 

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 空なんかは得意らしい。すっきり写る。

 しかし木の葉とかが妙に潰れた感じに写るのはなんだろうな。ノイズリダクションかけたような写りに見えるが、この時代のデジカメはそんな処理できるほどプロセッサーのパワーがないはずだけど。

 

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 露出を取るのが上手くて、どのカットもほんとにただシャッター押してるだけなんだけど、まあ納得できる範囲の露出を弾いてくる。

 

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 日根野天満宮こと、総福寺天満宮というところに来てみた。
 古い集落の隙間にちょろっとある小さな神社に過ぎず、しかもこんな小さなお社ひとつ、大鳥居すらなく、敷地は児童公園だったり地域の集会場が建てられてたり。

 

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 しかしこのちっぽけなお社が、国の重要文化財。1576年(天正四年)ごろに建立されたもの。

 まあ、泉佐野市の観光案内などには載ってはいるものの、ほんとにただこれだけしかなく、桃山様式の神社建築に関する造詣がある人でないと何がすごいかさっぱりわからんと思うのだけども。私もほとんどわからん。

 

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 天満宮なので牛もいるよ。

 

 

外部ストロボ撮影

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 せっかくホットシューもあるのだから、外部ストロボも試してみた。

  GN20の固定発光ストロボをホットシューに載せて、天井バウンス。テレ端、MFにして最短撮影距離くらい。絞りF4設定(F5.0になると思う)、シャッタースピードは1/500。
 この通り、ちゃんと写った。当たり前っちゃそうだけど。

 絞ってもF8まで(テレ端だとF10か)だから、ストロボを直射するなら、発光量を調節できるやつでないとダメかな。天井バウンスは、単にたまたま光量が合うことを祈るしかない。

 一眼レフのようにフォーカルプレーンシャッターではないので、全速同調できる。
 そのへんの安いストロボでも、昼間から1/500秒の高速シンクロで使えるというのは、活躍の場もあるかもしれない。

 

 

まとめ

 正直オリンパスC-2000Zはもっと写りが良かった気がする。
 同じセンサーと思われるリコーRDC-5000は、まあ大体これくらいの写りだったように記憶しているので、もしかするとこのセンサーがこれくらいなのかもしれない。

 

 USB駆動できてしまうことと、ホットシューが使えることを活かした運用を……とか、わざわざ敢えてやってみるのが楽しみか。