コシナといえば、今ではすっかりフォクトレンダーやツァイスブランドの高級レンズを作るメーカーになったが、かつてはもっと毛色の違う会社だった。
私がフィルムの一眼レフや、デジタルでも*istDS2などを使っていた2000年代前半あたりまでは、COSINA自社銘の交換レンズがあった。
値段がとにかく安くて、シグマやタムロンよりさらに格下っぽい雰囲気の製品だった。カメラ屋より通販でないと買うのが難しい感じで。80年代のカメラ華やかなりし時代の商品が、いまだに細々売られているのかなと。
20mmF3.5の単焦点レンズなんてものを、確か1万円くらいの激安価格で出してたもんだから、一本購入して今でも持っている。
もう少し遡ると、コシナは一眼レフボディも作っていたらしい。
他社がもうフルマニュアル一眼レフなんか作らなくなってからも続けていて、ニコンFM10とかオリンパスOM2000といった、写真学生狙いの廉価品がコシナ製だったと聞く。
そんな調子で、なんだか私の視界にはずっと入り続けていた、不思議な存在感があるブランドだった。
それで、カメラ屋のジャンクワゴンにコシナレンズを見かけて、上のようなことを思い出した。
もともと安いコシナレンズの、しかもαマウントなんて捨て値にしかなりようがないから、買って試しても面白いな、と。
今日のAF28-200mm F3.5-5.6 MACROとは、ヤフオクで遭遇した。
というかシャレで1円入札したら落札されちゃって。送料840円もしたけど。
こういう高倍率ズームレンズはタムロンが有名だけれど、コシナの方が早くから28-200mmを出していたらしい。(よく読んでいるレトロカメラに強いサイトの記事)
もっとも、手元のこの28-200mmは、最短撮影距離が2.5mという目のくらむような遠さで、多分だけどこれが原因でただのイロモノ扱いだったんだと思う。
28mmで最短2.5mなんて、写ルンですより撮りづらいぞ。絞って被写界深度稼ぐにも、AF一眼レフだとピント合わないとシャッター切れんのだし。
MACROって書いてある? ああこれ……。
ズームリングを200mm以上に回すと、そのまま全群繰り出すような動きに変わって、近接撮影モードに切り替わる。
このときAF無効で、ピントリング回してもほとんどピントが変わらない。体ごと前後するか、ズームリングを回して繰り出し量を調整してピントを合わせる(すごいやりにくい)。
90年代の標準ズームなんかだと、テレ端だけピントリングの動きが大きくなってマクロできるやつがあったけど、そんな良いもんじゃない。
今回のレンズの個体としての状態だけど、前玉・後玉はきれい。
しかし前から2枚めあたりのレンズに少し曇りがあった。なんとなく掌紋っぽい汚れにも見えるので、もしかすると分解跡かも。
また、撮影中に気付いたが、絞り値をいくつに設定してもすべて開放でしか撮影されない。絞った設定にするほど露出がオーバーになる。
後で分解してみてわかったが、マウント部の絞りレバーから、レンズ内部の絞りへと動きを伝達するバーが外れていた。
しかしこのレバーを繋ぎ直してみたところ、今度は絞りの動きが著しく重くなっていて、まともに開閉できなくなった。もしかすると、絞りがダメになったからわざと伝達バーを外し、開放専用にして使われていたものかも。
実写
さて、最短2.5mというレンズなので、主に遠距離を撮影する場所を、と考え、関西空港の展望デッキに行ってみることにした。
広角端。絞りトラブルで1/3段ほど露出がオーバーしているが、それにしたってこのコントラストの低さったら。
スカイミュージアムで、広角端。
αSWEET DIGITALでの使用だから、43-300mmくらいの標準~大望遠ズームになっちゃう代わりに、周辺の流れとか光量落ちとかは目立たない。
また、APS-Cだと像倍率が上がるから、最短2.5mの寄れなさも、おそらくフィルムで使うよりはかなり緩和されていると思う。28mmの2.5mは遠いけど、43mmの2.5mならそこまでではない。
ただ中央あたりでも、等倍だとこの程度に眠い。絞りが動作していればもっとよくなるかもしれないけれど。
テレ端の最短近く。ISO1600で1/80秒だからちょっと手ブレもありそうだけど、まあ、シャープな描写をしてるとはいえない。絞ればある程度良くなりそうだけど。
あえて開放でソフトレンズ的に考えるのもアリか……?
こちらはズーム中域、130mm。このあたりだと意外にいいかも。
テラスに出て、テレ端で遠景。まあXGAまでリサイズするとあんまりわからんけど、想定していた程度には眠い。でも思ったほど酷くもないかもしれない。
昔PENTAXで使ってたTokina AT-X242AF(24-200mmF3.5-5.6)は、テレ端もっと辛かった記憶があるし。
ここからの屋外撮影は、元々αSWEET DIGITALの発色が地味すぎることがわかっていたので、カラーモードをLandscapeにして彩度・コントラストをやや高めている。
まあ開放でこれならテレ側は上々なんじゃないかなあ。
レンズは28-200mmのはずだが、Exifには210mmと書き込まれている。はて。
等倍でこんなの。80年代位に本に載ってる写真ってこんな感じのがあった気がするなあ。なんともアナログな写りしてる気がする。
あいにく風向きが逆で、頭越しに離陸していったのは最初のANAのみ。あとはタキシングしか撮影できず。
すごい使いにくいマクロ機能の、最大倍率あたり。大して高倍率ともいえないな……
そして模型飛行機全体を納めるために、すごい使いにくいズームリングによるピント合わせが必要、と。こりゃちょっと使う気にはなれんな。
花マクロもやってみたけど、眠いしまたコントラスト低いし、ことさらこれをマクロとして使う必要はないかな……
まあ、最短2.5mに悩まされない被写体を選んで関空に来たわけだから、案外普通に使えた。
ただまあ、単なる望遠レンズとして使ってた感じで、標準域で使ってたら最短に悩まされてただろうな。
デジタルで撮ってるのになんともアナログっぽい雰囲気が出てるような気もして、もしかするとこのレンズならではのものかもしれない。
ボディ側の癖かもしれないが、別にMinolta AF24-50mmF4あたりだとそんなアナログくさくなかったように思うし。
このレンズゆえのアナログっぽさなら、あえてこれを使ってみようというシーンも出てくるかなあ。