堺風の頭部

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大阪市存続に決まって

 11月1日23時ごろに、大阪市廃止・特別区設置の住民投票は反対多数で確定が出た。

 終わってみるともう、ただただ安心、ほっとしたというばかり。
 正直に言えば松井市長も吉村知事も嫌いなんだけど、「負けたあいつらの悔しがってる顔を見たろ」とか全然思わんかった。なんというか、そんなんどうでもいいくらい、ほっとした。

 

 まあ、住民投票はどうしても住民を分断してしまう、というのは投票直前に実感を持って書いたけど、終わって、しかも現状を維持する側の判断に決着したわけだから、住民投票で生じた対立も原状復帰にしていきたいね。
 私の周りで見てきた反対派の人は、まさか勝ったのに乗じて賛成派にマウンティング取りに行くようなしょうもない人がいるようには見えんけど。

 

 言ってなかったけれど、ちょっと関わりもあって、ほんの少しだけど反対の街宣手伝ったりもしたの。
 街宣してチラシ配ったりしたところで、誰もいちいち聞いたり受け取ったりしないだろうと思ってたら、それが案外そうでもなくって。
 通行人の1割、ひょっとすると2割くらいチラシ受け取られてて、思ったよりも受け取られてる。その場で読んで内容について話しかけてくる人もあったくらいで。

 私は選挙は手伝ったことないから、街宣の様子を聴衆として眺めてるくらいしか知らないけど、選挙ではあんなにチラシ捌けたりしてなかったと思う。そりゃ有名な人が演説してる時なら捌けるかもだけど。

 まあきれいごとをいうようだけれど、普段の選挙以上に、ちゃんと情報を集めて判断しようとした人が、ずっと多かったんじゃないかな。
 少ないサンプルでの印象論ではあるけれど、現場でそう感じたな。

 

 そういうので決まった結果だし、よそから見てて意外だったり不服だったりする結果でも、この結果を侮辱したりはせんといてほしいね。
 まあこれは私が勝った側に立ってたから、言いやすいことではあるけれど、

 ちょっとその、よその県の有名な元政治家が「負けた維新カッコワルイ」みたいな調子でツイートしてるのも見かけたけれど、それもちょっと、大阪の反対派のノリとは全然違う。
 そんなことのために争ってたわけじゃないし、こんな僅差でずっとやきもきしながらやってたのがようやく終わって、ほっとしてるそのときに、横からそんなん言われても息が合わん。

 それとその、松井市長も任期終えたら引退、吉村知事も自分が都構想をもう一度とはいわない、とおよそ潔くしているところで、不正があったとか陰謀論住民投票の結果を攻撃したりしても、賛成派の応援にも慰めにもならんでしょ。当事者の代表が潔くしてるのが台無しになるよ。

 

皆さんそれぞれよくやって

 自民党はさすがに組織も強いのか、街で見かける反対派のポスターも自民党のが一番多かったし、またセンスも良かったな。

  池川友一さんは共産党の議員さんなんだけど、それが褒めるくらい。そりゃ今回は味方だから言いやすいとはいえ、私もこれは良いと思った。
 真ん中の記号みたいなやつは澪標(みおつくし)っていう、明治以来の大阪の市章ね。水都大阪のシンボル。

 小耳に挟んだだけだけど、今回は自民党の本部はほとんど助けてくれなくて、大阪府連だけで頑張ってたらしいからなあ。
 去年の選挙のときは、安倍総理の写真に「住民投票は何回もやるもんじゃない!」っていうコピーのポスターを出してたものだけど、菅総理は維新と仲がいいといわれてるのもあってか、総理や大臣の写真とかも見覚えがなかったな。

  まあこのツイートは冗談半分ではあるけど、住民投票はほんとに住民を分断するのが実感されたから、「何回もやるもんじゃない!」とは私も言いたい。安倍前総理と意見が100%一致したよ。

 

 立憲民主党も社民共産と歩調をあわせる形で、特に尾辻かな子さんは阿倍野・平野・東住吉・生野区の大阪2区選出で、あの反対派がぜひ伸ばしたい地域でよく動いてくれてた。
 堺の森山浩行さんの街宣車走ってるの見かけたりもしたから、大阪市外からも来てくれてたんだろな。 

 ちょっと社民党はあまり街頭で見つけられず、投票当日午後の天王寺駅前が初めてとめぐり合わせが悪かった。
 しかし社民党、ちょうど立憲と合流するかしないかで分裂騒ぎになってるときだったから、それでも来てくれたんだからありがたいもので。

 れいわ新選組も、長いこと山本太郎本人が大阪にいてくれて、例のスタイルの街頭で丁寧に説明する街宣を続けてくれていた。
 今回は、ちゃんと意見を聞いて考えて投票する有権者が多かったと思うから、効いてたろうと思う。

 共産党はさすがに地道な運動をやれるから、直接ひとりひとり働きかけるような運動まで丁寧にやってて、派手なアピールで動く層とは違うところをどんどん動かしてたように思う。
 山中智子市議とかたつみコータローさんも、いろんな討論会で活躍して。

 さらにReal Osakaとかの政党関係でない団体もできて活動してたり、ひとりで自作ビラ作って訴えてたなんて人もいたとかで。

 

 私が何もかも見てるわけでもないし、そもそも私が偉そうに論評する立場でもないけれど、それぞれのやり方があって、良い結果を出したんだなあと思う。

 あと、正直在阪マスコミは、これ大丈夫なのかと思うことが多いれど、今度の毎日新聞は骨があったなあ。取材して書く、恫喝されても引かない。

 

公明党創価学会

 創価学会の信者さんが、今回ばかりはどっちに入れるか困ってるって話がよく聞かれて、なんというか気の毒だったなあ。
 やっぱり創価学会って、宗教ではあるけど生活互助団体のような面もあるから、根本的に維新のカジノIRとか万博誘致とかに喜んで賛同できる人たちじゃないはずで。
 公明党も、前回は強硬な反対派だった。それが今回は賛成だという。
 山口那津男代表が大阪入りして賛成アピールしてたのも、釘を差しに来たというか、学会員からすると「わかってるな、造反するなよ」といわれてる感じだったとかで。

 それでも結局、公明党支持層がほぼ賛否半々くらいになっちゃったって。
 賛成した人にも悩んだ人多いだろうし、反対した人にも思い切った人が多いだろうと思う。信者さんの間で賛否割れて揉めたりもしてるだろうしなあ。
 ただでさえ住民投票は住民を分断してしまうのに、創価学会の人はそれが酷くなってるだろうから、コミュニティに禍根残ってないとは思えない。

 さらに投票後に「次の衆院選議席を維新が公明に譲るから、公明党が賛成に回って選挙前に住民投票をやるという取引だった」なんてまで飛び出しちゃって。
 公明党の党益のために、コロナ禍の中で住民投票強行、それで学会員さんが割れてコミュニティが傷ついたって、公明党が誰のための政党かわからんなるな。
(まあ、橋下徹のいうことだから、住民投票で結果的に助けにならなかった公明党を制裁するためにこんなこと暴露したのかもしれんけど)

 公明党だけのことなら、下手な取引で自滅したってだけだけど、学会員さんはそれで生活に悪影響あるでしょ。
 ほんとに気の毒だし、公明党はどうフォローするんだろう。

 

30~40代の賛成多数のこと

 前回は高齢になるほど反対多数で、シルバーデモクラシーだなんだといわれたらしいんだけど、今回はどうも、30~40代だけに賛成が多めで、18~20代の若者は賛成多数にはならず拮抗、っていう話。

 3~40代、やっぱり就職氷河期世代なのかな。私ももろにそうだ。

 氷河期に就職市場に放り出された時、公務員が無茶苦茶な狭き門になって、我々を弾き出した既得権益者に見えるというのも、まあ気持ちとしてわからんわけではない。
 今役所にいったら、窓口にいてるのは派遣さんだらけだけどな。

 で、公務員を叩く橋下徹喝采を浴びせたのも、まあ、そうなるのもわかるといえばわかる。
 私はそういうことしようともしたいとも思わなくなってるけど、何がきっかけで、なぜそうなったのか、ちょっと思い出せない。
 別に公務員が痛めつけられたって私の得にならん、ってのはそうだけど、それは今そう思ってるだけで、そう気付いて変われたとかではない。

 

 もう中年になっちゃった私らの世代と、今の20代までの若者と、全然違うメンタリティで生きてるんだろうね。
 まあ住民投票の傾向だけで見るのは無茶だけど、下手すりゃ「私らの世代だけだ特異」という可能性もある。

 あんなクソみたいな時代が再来せず、私らだけが特異で終わってくれる方がいいと思うし、20代は私らのように歪まずに生きていられるなら、そうあってほしいよ。

 

これから

  まあ、これで今、大阪市廃止・特別区設置に関する仕事は終了あるいは停止できるわけだから、そっちに回してた府市の職員さんはコロナ対策や経済対策に当たれるようにしてほしい。
 大阪市は予算あるはずなのに、コロナ対策への支出が他の大都市に比べても少なかったりしてるの、それも都構想のために予算をプールしてたもんだと思うから、もう出してええでしょうし。

 次のことというか、目の前にあることしてくれればそれで。