堺風の頭部

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住民投票やると喧嘩になるのが体感的によくわかった

 いよいよ大阪市廃止の住民投票が迫ってるんだけれど、まー、つくづく、住民投票は喧嘩になりますね。

 私も若い頃には物を知らんかったから、「いちいち議会とかやらないで、ネットかなにかで議題ごとに賛成反対を直接投票できるようにしたらええんちゃう」と思ってたりもしたけど、実際そんなことしたらどうなるって。
 賛成反対で住民がふたつに分断されて、互いに対立する、あるいは相手がどっちかわからず、対立を恐れて警戒しながら人と話をせにゃならん事態になっちゃった。

 あ、こりゃ直接民主制はやったらあかんな、と、よくわかる。
 アテネの市民はずっと、様々な議題が出されるたびにこんな緊張に晒されるんだから、「やってられるか」と思ったんでしょうな。

 

 私はもう期日前で反対に入れてきたけれどもね。

 政令指定都市を廃止する、という類のないことをやろうというんだから、やりたいといってる維新の会がやるべき理由を提示して私を説得できたなら賛成してたけど、あいにく合理的と思える説明がなかった。
 理を尽くして説明してると受け取れたのは反対派の方だった。

 反対派の街宣車って、ほんとに理屈っぽいの。自民・共産・立憲・れいわ新選組に政党関係ない市民団体まで色々いるけど、どこのやつでも「これはこういう理由で問題があって市民には損になる」ってな調子で様々な問題を訴えてる。
 パっと聞いて間違ってるとも思われなかったし、そうなのか、と少し調べてみた件でも、なるほど仕組みからいってそういう懸念は生じるな、と理解できた。
 まあ「反対のひとはゆーてること難しいからようわからんわ」という人もあったけれどね。

 一方、維新の会の街宣車は、いつもの「成長を止めるな」とかのフレーズと共に賛成に投票しろといってるか、あるいは「反対派はデマを言ってる」と今ひとつ根拠らしいことも添えずに言い張ってるばかりで。
 やりたい側がこれじゃあかんでしょ。

 

 と、多分ここまで書いたところで、賛成派の人はブラウザバックして、もう読んでないと思う。
 私がまだ投票行ってないなら説得しようとかもあるかもだけど、もう遅いし。
 まだ読んでるとしたら、コメント欄かはてなブックマークに罵倒のひとつでも残したいかもしれない。

 

 大阪でひとと話しているときには、こういう対立が生じないか、いちいち気を使わなきゃならん状態になってた。
 この人は前に吉村褒めてたから賛成派の可能性が高い、無駄に揉めないように住民投票の話題を避けよう、とか。
 そしたら案の定、「大阪の自民党が嫌いやから賛成入れる」って。特に"大阪の"自民党を嫌ってるのって、維新の会が言ったこと信じてるだろうし、まあ、住民投票を話題にしなくて正解って。

 いや、反対の意見の人とこそ話し合ってこちらに引き込まなきゃ票が動かない……ってのはそうだけれども、そんな疲れることを直接やらせんでほしい。
 「よう知らんけど都構想ってええことなんちゃうの」とふわっと賛成してる人になら、「そういうもんやないですよ」とか話もしようがあるけど、「大阪自民が嫌いだから」とかでカテェ人なんて、ちょっと触れんでしょ。喧嘩になる。

 

 議会で都構想について議論するんであれば、例えば反対してるにしても、懸念事項を示して、それが計画に取り入れられて修正され、まあ妥協できる内容になったから賛成する、というようなことができる。そのために議会がある。
 まあ国会とかでも、ニュースで流れるのは、紛糾しまくって野党側が断固反対せざるを得なくなる騒ぎになってからのことが多いから、「野党は反対するだけ」みたいな妙な印象を持たれる。
 実際のところは、全会一致で決まったり、内閣や自民党が野党の意見に応じて修正して、野党も賛成に転じるようなマトモな議論を経ての議決が大半。

 しかしこの住民投票は、「これでやります。賛成か反対か」という最終的な二択になって突きつけられてるんだから、私ら市民が話し合いするったって、相手の賛否を修正するしかないの。そら喧嘩にもなるわ。

 

 そうならんように、議員という代理人を立てて、代表して議論してもらうんでしょ。
 みんながみんな、直接に対立の矢面に立たないように。
 また、そもそも二択を直接突きつけたりしないよう、議論が可能な人数に絞って、論を最適化していくべきなんでしょ。

 いや、議会制民主主義は良いな。そして直接民主制はあかんな。
 というか、5年前は私は大阪市民じゃなかったから参加してないんだけど、前からの大阪市民は、こうなるとわかっているのにまたやらされてるわけでしょ。うんざりするやろな……。