先月末からサービスインした、英雄*戦姫WWをちょっと触っている。
PCゲームからPS3/Vitaへの移植もあって、それで今回オンライン化という流れらしいけど、旧作の方は私は知らなかった。
FGOの「実在の英雄をキャラクター化する」というネタが世間様に大ウケしてるけれど、FGOに参加しそこねた私には、その感覚ってどういうもんなのかなあ、というとこで興味を。
艦これ・城プロとかの擬人化ものには結構馴染んでるんだけど、実在の偉人を萌えキャラ化するやつは、なんとなく触れずに過ごしていた。避けてるつもりでもないんだけど。
キャラの人選について
とりあえず序盤に突っ込める限りを尽くして阿弖流為を鍛えている。
あのような腑抜けでは戦場ではまっさきに死んでおる……捨て おけ!
こういうゲームだから、まずどのあたりの偉人を持ち出してくるかが気になる。
英雄戦姫は旧作があったおかげか、あるいはオンライン化にあたって時間をかけたか、出だしからなかなかよくキャラが揃っているように見える。
日本人におなじみの日本史からは、信長やヒミコなど誰でも知ってるビッグネームが並ぶ。ゲーム的にもシナリオの最初がジパング編で、すぐ顔出しがある。
ちょっとひねった人選がされてるのは、山田長政、大黒屋光太夫、愛洲移香斎あたりかな。(ただ人物の出身地とゲーム中の所属は異なり、大黒屋はロシア所属)
それと大航海時代の船乗りも多く入ってる。コロンブスやマゼランはもちろん、グレイス・オマリーとか王直も入ってるのが渋い。
アーサー王物語からもかなり出ていて、実在にこだわってるわけではないらしい。
一方、これら以外の人選については、場所も時代もまとまりなく散発的に出てる感じ。
モンゴル関係者がフビライにマルコ・ポーロとプラノ・カルピニが取り巻いてる3人組だけ、など。
中国も、知名度のある人物を整理分類して出せると思うが、なんだか散漫な人選。劉邦がいても項羽はおらず、呂布は居ても劉備はいない。それで始皇帝の下に呂布と孫子をつけてるのは、えらくざっくりしてるなあと思う。
このへんの、充実してるけど不思議と偏った感じ、なんでなんだろな。
過去作のシナリオの影響とかもあるかと思ったが、円卓の騎士はそれっぽいけど大航海時代の船乗りは旧作では特に目立たない。
今作のシナリオが、この先大航海時代編に入っていくとかだろうか。
ただ、ゲームは「マップ上の都市を攻略していく」という進行なので、そこからは船乗りばかり大勢出てくる展開が想像しづらい。
大航海時代編があるなら、京都より堺だし邪馬台より長崎、マラッカとかバタヴィア、ゴアやカリカットがありそうなものだ。
西にマップを移動すると、なんとアフリカにまったく何もない。大航海時代はアフリカ開拓から始まるというのに……。
この船乗りだらけの人選はなんなのか、謎は解けなかった。
単に作った人が好きなだけ、ということなら、それは私は大いに支持するけどね。
実在の人物ネタ ≠ 擬人化
人間でないものを擬人化して萌えキャラにするのは、まあ、慣れもあるけど、受け入れやすい。
例えば、重巡洋艦古鷹が擬人化されるとして。
萌えキャラとしてどんなキャラ付けがされていても、かなり受け入れられる幅は広いように思う。それこそ金髪縦ロールとか星条旗ビキニでなく、日本人に見えればひとまずよかろうと思う。
そこに史実ネタ、高松宮に愛されたとか、ミスした青葉を庇うように沈んでいったとかを味付けとして加えていけば、「なるほど古鷹か」と思わせられる。
しかし実在の人物となると、その人物が持つイメージに縛られてあまり幅が出し難いように思う。張飛といわれたら蛇矛を持った考えが浅そうなパワーキャラでないと落ち着かない。
あえて外すというのもあるけど、外してもやっぱり張飛だな、と思わせるには色々工夫がいる。物語を通じて描ければいいけど、ガチャゲーのような登場人物数が膨れ上がるものでは厳しい。
英雄戦姫WWを見ると、フビライがイケメンバリタチ百合ハーレム王になっていた。悪いというほどでもないけど、なんで? とは思う。
フビライだと、張飛や信長のような「普通こうだろう」と思うようなイメージはない。けれど、全く何のイメージも持てないほど知らない人物でもない。
こうなると、何が出てきても違和感持ってしまう気がする。さじ加減が難しい。
それでいて、フビライがモンゴル高原の支配者になってるから、「フビライなら本拠地は中国に移して元朝を興すイメージでは?」といったケチはついてしまう。
ゲーム的に中国には始皇帝が居るから、フビライはモンゴルに置かざるを得ない。だったらフビライよりチンギス・ハーンを使うほうがよかった。ただチンギス・ハーンは下手に扱うと炎上するし、周りにボロクルとかジェベとかを置いても分かる人が少ないとかもあるかな。
などと事情を考えてしまうが、まあ、こういうのは出てきたキャラを素直に楽しめてないがゆえに起こる余計な考えでもある。
人間関係は大丈夫なのか
例えば御城プロジェクトでも、かつての城主が争っていた城の間では、関係が悪いかのような描写がある。島原の乱で天草四郎が籠もった原城と政府側の島原城だったら、そりゃ険悪になろう。
けれども、揉めてたのは城を治めていた人同士のことであって、城は城だ。そこでワンクッション入る。ゲーム内の表現でも、受け手の方でも、まあ深刻でなくても受け入れられる。
けれど、本人そのまま萌えキャラ化だとそうもいかない。
コルテスやピサロと、モンテズマとかワイナ・カパックを同じところに置いたら殺し合いが始まらんか。
またピサロがなぜか「ムーチョですわ」と謎言語を操るキャラ。インカ帝国に対する悪質極まりない虐殺のイメージはどこへ持っていけばいいのだろう。
アステカ帝国の版図を最大まで広げた偉大なモンテズマ(2世)は、けものフレンズにそのまま登場できそうなどうぶつ系純粋ロリキャラ。(このキャラ付けは今時古臭いオリエンタリズムじゃないかというのはさておき)
コルテスに信仰をつけこまれ、踏みにじられ、果てはコルテスの部下による虐殺に怒ったアステカの人々の暴動を止めようとして、石を投げられて殺されてしまう、悲惨過ぎる末路をこのキャラに重ねるのしんどい。
偉人萌えキャラ化最大手のFGOを知らないのだけど、あれは「実在の人物のイメージがきつすぎる」とか「この人とこの人は一緒に置いたらやばい」といったところはどう処理してんのかな。
ゲーム内容について
ゲームは、敵味方それぞれ3x3のマスに、最大6ユニットまでを配置できる戦闘でもって進行していく。
ユニットも、近接・中距離・遠隔の戦闘ユニットに回復などのサポートユニットもある。。
まあ、ある程度の戦略性はあるのでプレイヤースキルで介入できる余地もあるけど、3x3の小さいフィールドでは、腕ひとつで突破していけるほど戦略の自由度もない気がする。
ゲーム性は高くなくても、フラワーナイトガールみたいに、ユニット育成と編成だけすませたらオートですごいスピードで進行させるのを眺めてるというのも、それはそれで気持ちはよい。キャラ育成自体に一定の楽しさはあるしね。
英雄戦姫WWもオートがあり、似たような楽しみ方は一応できる。
ただ、1プレイが重い感じも。
特にストーリーモード、1回のプレイに5~6回の戦闘があるとかがザラで。オートですっとばせるのは戦闘だけで、その合間に操作しなきゃいけない部分も多い。
同じDMMの中にも、ゲーム性で勝負してる千年戦争アイギスとか御城プロジェクトあたりのタワーディフェンスがあり、あるいはフラワーナイトガールみたいなガチャと育成に集中できるような軽いゲームもある。
英雄戦姫WWは、後発にしてはなんか中間的で半端な印象はあるかな。
ストーリーについて
まだ全部読んだわけじゃないんだけれど、世界中の時代を問わない英雄が一同に会してる舞台設定が、自由なようで足かせな気もする。
ジパング編でも、坂本龍馬、伊達政宗、織田信長、伊能忠敬、源義経と弁慶、ヒミコとヤマトタケル、安倍晴明といった人物が出てくるけれども、これじゃもう共通点が「日本人」しかない。
史実ネタを引っ張ろうにも、その人物単体のエピソードしか引っ張れない。
結果、偉人の名前のキャラが、大まかに元ネタの人物っぽい雰囲気くらいはあるけれど、さほどらしさを見せられるシーンもなく、ただ戦ったり合流したりしてるだけ……といった印象になっちゃったように思われた。
大きなステージの単位を、「日本・戦国時代編」とか「中国・元朝成立編」とか「アメリカ・コンキスタドール侵略編」とか場所と時代両方を絞った上で人選していったほうが、同時代人の人間関係も、その人物らしさもしっかり出せる説得力のあるストーリーを作れた気もする。