堺風の頭部

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WAVE 1/144テムジンとアクリジョン試し塗り

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 手描き感いっぱいの雑な塗装だけれど、年末からWAVEの1/144 テムジン(初代バーチャロン)を作っていた。

 同居する家族が病気持ちで、あまりシンナー臭を撒き散らすのが憚られるので、無臭の塗料を探していた。
 クレオスの水性ホビーカラーとかタミヤアクリルあたりなら大丈夫と思うんだけど、あれ乾くの遅いし、上に何も重ねて塗れないから不便なのよね。

 で、クレオスのアクリジョンを試した。

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 しっかし、「小さいキットを簡単に組んで、慣れない塗料の実験だー」と思ったら、キットがきつい。

 どうもクリアランスというものをまるで考えずにCAD引いたようなキットで、スナップフィットといいつつ、万力で締めないと入らないくらい硬い。
 仕方ないからダボやらピンやら切り飛ばしまくり、とにかく噛み合う力を殺しまくってパーツを合わせていく。切っても切っても、思いがけないところに噛み合いがあってパーツが入らない、という事態が頻発して、いささかやり過ぎの設計だ。
 まあ、私は合せ目を消すためにも接着するから、スナップフィットを捨てて接着するのは別にいいし、ガンプラでも毎回やる。

 しかし、ポリキャップを挟んで組み立てるパーツとなると、今度はポリキャップが反発してパーツが締まらない。
 正直金型の精度もいまいちでバリだらけなのに、クリアランスゼロな図面ではそりゃ誤差も出る。
 結局1ミリ近いような隙間ができるパーツもあり、必死でパテ埋めパテ埋め。

 さっと組んでざっと塗料の試し塗りだ、と思ってたのに時間かかって大変であった。

 

 でまあ、塗ってみたアクリジョン。

 買う前から聞いてた話だけど、やっぱり隠蔽力の弱さがきつい。
 ラッカー塗料などでも透けがちな黄色なんか、もうまったく隠れない。10回重ねてもまったくスケスケムラだらけというような有様で、私にゃ使いようがわからなかった。

 ただ、白い下地にグランプリホワイトを塗る分には、多少の隠蔽はできるようだ。
 7回ほど重ねたら、筆ムラも落ち着いてくるし、パーツの隙間を埋めたラッカーパテのグレーも隠蔽できていた。
 まあ、ラッカー塗料でも、単なるホワイトより薄いグレー(ライトエアクラフトグレーとか)を使えばぐっと楽になるから、それはアクリジョンでも効く。

 意外なのは、ゴールドやシルバーがいまひとつ隠蔽しない。
 アクリジョンの中ではマシな方ではあるけど、ラッカー系のシルバーなんて下地色に使えるくらい強力に隠蔽するのに比べれば、さっぱり。

 軍艦色とかブラックくらいになれば流石に十分隠蔽力はあるので、濃い系の色は大丈夫。
 しかしラッカーなら隠蔽力が高いカーキ系の色も、アクリジョンだと黄色に近い透けっぷりになった。クリームイエローを買ってみていたけど、色自体はアフリカ戦線の戦車みたいなのに透けまくって。

 

 メリットとしては、乾燥はまあまあ早いし、固まってしまえば塗膜が強力。
 塗膜自体は頑丈だけど、プラへの食いつきが悪くてパリっと剥がれる、なんて塗料もあるが、アクリジョンはそれもない。

 本当に臭いが少ないのも期待通り。ここは文句なかった。

 それから、何度も重ね塗りするからついつい長時間筆に塗料を食わせたままにしてしまうけど、筆で固まり始めるときつい。バリバリになるし水にも溶けない。
 一応ツールウォッシュは持っておいたほうがよさそうだ。

 

 ただまあ、なんかアクリジョン、売り場行っても置いてないことがちらほらあったりして、いまいち売れなかった商品という扱いなのかもしれない。
 出てから2~3年くらいは経ってたと思うし、それで店頭にないなら、うん。

 

 無臭に近くて使いやすいといえば、ファレホも近頃人気が高まってきた。

www.volks.co.jp

 私は結構早いうちから使い始めてたけど、実際良い塗料ではある。

 

 こっちはアクリジョンの難点である隠蔽力に関して、ラッカー塗料以上に強力だから、すごく塗りやすい。

 しかし乾燥後の塗膜に関してはちょっと微妙というか、乾くのが遅いのか、なんだろう。
 筆でもう一度重ね塗りできる程度まで乾くのは早いけど、塗膜に手で触れても大丈夫なくらい定着するまでが長い。
 艦艇キットをざーっと筆で半分塗って、乾いたつもりで塗ったところを持ってもう半分を塗ってたら、塗膜が指に転写されてたりする。

 まあ、できるだけ手で触れないように塗装せにゃいかん、というだけではあるけれど。

 それから、エナメルシンナーにも負けるもんだから、いわゆるスミ入れがやりづらい。少しなら耐える、って感じではあるんだけれど、難しい。

 

 特に混用して不味いものではないと思うので、濃い色はアクリジョン、明るい色はファレホ、くらいで使い分けかなあ。