堺風の頭部

徘徊、カメラ、PC、その他。

アニメの作画崩壊のこと

 もはや部屋にテレビを持たぬ私だけれども、dアニメストアは契約しとるのでアニメは見ている。

 それで、「つぐもも」の7話を再生してみたら、なんか冒頭からちょっと、絵が頼りない。別に「作画崩壊」なんていうほどではないのだが。
 このキャラはこの体格でよかったっけ、とか、パースがおかしいのか実際これくらいの身長なのか、とか、絵が悪いのか自分の認識が狂ってるのか確証持てなくなってくる感じが。

 

 とはいえ、別に騒ぐほどでもないし、特に誰も騒いでないのだが、ちょっとアニメの作画の話でも書いてblogを更新しようと思う。

 私は(年齢の割にちょっと遅いが)、アニメ見始めたのが2000年、まさにシスタープリンセスから入ったアニキであるからして、シスプリに比べりゃ、っていう感覚がある。
 シスプリより酷い、となるともう、「MUSASHI -GUN道-」みたいな何らかの事情で制作が破綻したようなもんになるからなあ。

 

 シスプリから入った私に、作画崩壊なんてもんがダメージを与えることは稀にしかない。
 それに、私(というか周囲のひとたち)の性格の悪さのおかげで、よほどのものでも素直に怒らずに済むようなところもある。

 例えば「魔法先生ネギま!」、いくつかあるけど最初にやったやつ、ありゃ絵の水準は相当に低かった。
 私はアニメ化以前から「ネギま!」には注目して、連載を追ってblog書いて大いに楽しんでいたから、あの品質はかなりズッコケるものがあった。
 一体なぜこんな品質なのか。天下の講談社がかなり儲けてるコンテンツであろうネギまに対して、なんでこんなに貧乏くさい出来でGOサイン出しちゃったんだろう。
 「タニマチ(講談社)のマネーはどこに消えたんだ」「製作開始前から屋形船で宴会やって飲み尽くしたか」「目ン玉飛び出る金銭感覚で金網も作画も崩壊か」と邪推のマグマが噴出し、友人らと邪推して盛り上がるのが楽しくなってしまった。
 キャラソンCD「声のクラスメイトシリーズ」の連続リリースなんて商売ッ気たっぷりのお祭りも楽しかったし、そのクオリティがまた貧乏臭く微妙なのも「マネーはどうした」と面白がってたし、シリーズ後半に突然作曲木根尚登なんてのが飛び出してクオリティ跳ね上がったのも笑って見ていた。
 そういうタチ悪い面白がり方してblogで暴れてたら、アニメライターの人に怒られて「記事削除しろ」と圧力かけられたりもしたけれど、まあ。

 

 こんな奴を、作画崩壊くらいのことで怒らせようというのは難しい。

 最初がシスプリ、というのはやっぱり幸運だった。
 いきなり底辺を見た、というのもあるんだけども、その場のノリに飛び乗ることができていれば、ダメだろうが破綻していようが面白くなる、というのを知ることができた。ネギまは、シスプリの頃にやったことをまたやっただけだ。
 世代でない人たちにシスプリウニメを見せたところで、「絶望的な作画に頭が沸いたような設定、無内容でチープなストーリーの何一つ褒めようがないクソアニメ」としか見えないと思うし、実際それは否定しようがない。
 今のアニメキャラを見慣れた目で12人の妹を見ても、みんな頭がおかしくて萌えることすら難しいと思う。

 だけど、私の世代はあれに熱狂した。事実だからしかたない。
 あれは、あの時代に、高校大学くらいの若造として、シスプリに遭遇したから享受できた熱狂だった。ゆえに私たちはアニキであり、お兄ちゃまであり、兄くんであったのだ。

 

 作画の話であった。
 つぐももの7話はまあ、ちょっと不安になりはしたけど、その程度だ。やっぱり、ウニメでいきなり底辺を見たことによる耐性は強い。
 それに、不安な感じだったのは序盤の方だった。
 終盤のセクハラ神経衰弱のあたりでは、(いささか止め絵が多かった気はするが)きっちりした作画になっていて、力の入れどころのコントロールはできてる感じだった。
 こういうのは、大きな問題ではない。

 

 私の知ってる中で、本当に作画が崩壊してたアニメって、「夏色キセキ」だと思う。

 いやねー、私このアニメ好きだったの。
 丸出しの萌えキャラにしてしまわずに、爽やかなエピソードを通して愛すべきキャラクター四人と関係性を作り上げてた。実にきれいな作品だと今でも思ってる。
 ただ、ちょっと内容的にも私の気に入り方からしても、作画のまずさを笑って済ませる方には持って行き難かったな。

 夏色キセキは、作画水準のコントロールができてなかった。
 ランダムにまずいカットが出てきちゃってて、引きのカットなのにずいぶん綺麗に描いてると思ったら、顔のアップが崩れたりとか。
 色々あったけど綺麗に話が収まった、というその回のラストシーンで、ヒロイン四人並んでるのを横にパンするカットが、止め絵の決めカットだというのにずっこけるくらい酷かったり。
 こういう作画の悪さはキツいものがあった。内容を気に入ってたからなおのことで。

 まあ、重ねて言うけど内容はいいのだ。DVDなら多分直されてるから、今見るなら問題ないと思う。むしろ勧めるくらいだ。

 

 作画の悪さが鑑賞に差し支える、って、私は夏色キセキ以外には心当たりがない。

 まあ、私は主食が萌えアニメとかB級エロコメなもんで、そういうのだと作画やばくても笑い事にしてしまえるから、選択が偏ってるのは大いにあるけれど。
 ストーリーもので作画をやらかしたらまずいのは作る方もわかってるだろうし、特に最近、やらかすくらいなら落とすアニメが増えたし。

 「作画に良し悪しのゆらぎがあるけどコントロールはできている」という状態から、「コントロール以前に全面的に悪い」という状態までの中間に、「良し悪しがゆらいでコントロールされていない」があるわけだけど、その幅は案外狭いかも。
 いや、単に私が他に見覚えないこと以上の根拠はないけれど。

 「面白いのに作画が」と残念がるには、作画に目をつぶっても面白いと思える内容だってことだけど、年食うとどうしても、面白いと思えるものの幅が狭くなってるとは思わざるをえない。
 はたして、良くない作画の向こうにある面白さを見抜けるような目が、今後の私に残ってるかどうか。