堺風の頭部

徘徊、カメラ、PC、その他。

関西関東徘徊比べ

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 私も去年まで関東にいて、まあ、気持ちはわかるところもあり、そうでもないところもあり。

 神社や寺の創建からの古さとかで比べてしまうと、まあ平均的に関西のほうが古い。仕方ない。古墳時代とか奈良時代とかは、権力の集中度が大きかった時代だけに、今の遺産で見ても巨大だったりもするし。

 東京は人が多すぎるのは否めないなあ。どこいっても混んでて、果てしなく都心部が続くようなあの感じ、正直、大阪出身といっても和泉国の田舎者には息苦しかった。

 まあ、和泉国の田舎者から見ると、京都だって十分人が多すぎて商売ッ気ありすぎると思うけどな。

 

 関東にいた時にやってみた観光について、少し思い出してみよう。

 

なんやいうても現代の活気はいいよね

 東京にいて、住んでた場所は千葉県にほど近い江戸川区だったけど、まー、人が多い。人が多いから商売も成り立って、駅前商店街が壊滅していない。

 大阪和泉国で、もう駅前商店街が機能してるのって岸和田駅堺東駅前だけじゃないかな。関東だと元気にやってるところのほうが多くて驚く。船橋津田沼みたいな、巨大な商業ビルに集積する形の駅前も、関西じゃ郊外には思い当たらない。

 都心部で山手線と大阪環状線を比べてもぜんぜん違う。大阪駅はともかく、天王寺駅京橋駅くらいの賑やかさが、山手線にはほとんど全駅にある。

 その上、大阪で駅前の都心部を開発してたら「珍しいな」と思うけど、東京なんかどこ行っても何かやってる感じ。これじゃ、東西の都市部の活気はどんどん差がつく一方なんだろうなあ。

 

 歴史に依らない現代的な見どころなら、やっぱり人が多いと断然強い。

 USJ東京ディズニーランドに並び立ったのは最近のこと。お台場にガンダムは立っても、大阪南港にザクが立ったりしない。

 美術館・博物館の類もやっぱり東京に多いし、ミニシアター系の映画をやる映画館も多い。

 秋葉原でマニアックなものを探しても、やっぱり日本橋より強い。ちょっと高い気はしたけれど。

 

 まあ、何にでも人が流れ込むから、見るのもしんどいし、人の多さゆえに変容することもあるから、痛し痒しではあるけれど。

 上野のアメ横って、人が来すぎたがために、神戸のモトコー商店街のようにはならなかったんだろうし。

 関西に育ったせいで、モトコーみたいな怪しさが好きになるのだろうか。ああいう怪しい雰囲気って、私の短い在住期間では、せいぜい秋葉原のラジオデパートくらいにしか見つけられず。

 

単に坂東武者をあんまり知らんよね

 先日、今更ながら和田竜の「のぼうの城」を読み終えて、しまった忍城跡行きそびれたまま帰ってきちゃった、と悔やんでいる。

 城めぐりはもともと好きだし、大体どこも人が多すぎないのもいい。 

 さすがに東京都下の城は皇居になってるか都市に埋まってしまったから、行くならある程度郊外になる。すると人もそんなに多すぎない。

 

 ただ、忍城の成田氏といわれても、なかなかピンとこない。花の慶次の小田原攻めの章で、「親が子を裏切り子が親を裏切る」とまで書かれた親子だよな、としか。

 前橋城にも行ったけど、誰の城かよく知らない。ここは結果的に、何の気なしに買ったレトルト赤城牛カレーがものすごい美味くて、すべての印象がこれに上書きされてしまった。

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 宇都宮城も、やっぱり宇都宮氏にイメージがない。国府台城、千葉城、師戸城、臼井城、川越城と行ったけど、行くまでは何も知らないような城ばかり。

 小田原城はさすがに別格、あと大多喜城本多忠勝の城というくらいしか、知って行ったところはないな。行ってから現地で知るのも楽しいんだけれど。

 

 関西の大名だと、信長・秀吉とダイレクトに関わるから、大きくなくても目立つ。ころころ裏切りながらうまく立ち回ったことでは、成田氏と松永久秀は近いところがあると思うけど、どうしても久秀のほうが身近に思う。

 北関東あたりに生まれ育ったら、戦国時代を信長・秀吉に注目する関西人と違って、もっと北条・武田・上杉の坂東三国志を注目するようになるのだろうか。大阪生まれの私が三好長慶に馴染むように、房総や習志野に生まれれば里見氏に馴染むだろうか。

 城に関しては、城主や歴史を知らないと面白さが減退する感じはある。そして近くに住んでるとやっぱり、自然に頭に入ってくる。引っ越したばかりの土地は、そこが不利だ。

 

泉州人が足を伸ばすのは当然

 私の生まれ育った和泉国というのは、堺を別にすれば、関西では抜群に見るもののない虚ろな土地だ。

 城も岸和田城くらい。一応秀吉が紀州征伐の途中にちょっと使った程度。戦国期の城主も小出秀政と知名度は低い。だんじり祭り? あれ江戸時代中期からだし、外にまでアピールする大きな祭りというようになったの戦後だ。

 泉大津市から岬町にかけて、近畿でも飛び抜けてつまらん土地が広がっている。

 

 東京から観光といって、宇都宮や前橋や行田市忍城)のような遠くまで行っていたのも、何かを見に行くには遠くまで足を伸ばすのが当たり前、という土地に育った感覚のせいかも。

 人が多いと辛くなるのも、もちろん田舎育ちのせいだ。大阪府生まれだから都会の人だなんて思うなかれ。

 

歴史に依拠しすぎるのも

 関西でたまにやっちゃうミスが、歴史を活かそうとしすぎて、その歴史が世間から興味を持たれていないから伝わらない、というやつ。(関西でなくてもあるかもしれないが)

 

なにわの海の時空館 - Wikipedia

 なにわの海の時空館、というのがあった。

 ウィキペだとさらっと書いてるのだけど、ここの凄い展示は菱垣廻船だった。江戸時代の技術を再現して建造し、実際に進水させてきちんと機能する船として完成させた逸品。

 江戸時代に、灘の酒とか上方物をどんどん運んでモノと文化を伝えていった菱垣廻船、商都大阪としても重要なものだし、ちゃんと説明すりゃ面白いもんだったと思う。

 でもまあ、戦国時代や幕末に向けられるような熱い目線が菱垣廻船に向けられているわけではない。ならば、向けさせねばならなかったけど、うまくいかなかった。

 場所が非常に悪くて来る人も少なく、赤字垂れ流して、最後は橋下徹に罵られながら潰された。

 瞬間的な経済性だけで何でも潰そうとする態度は、大阪をつまらなくしてしまったと思うけれど、しかしあの菱垣廻船も、「歴史的に面白いはずだから」で突っ走ってしまった感じは否めないなあ。もったいない……

 

奈良はちょっと不思議

 まあ、これをいうと怒られるかもしれないけれど、奈良県って、別に天平文化に興味ある人が多くないからさほど混雑しないのでは、という感じもある。みんな万葉集読んでないよね、と。

 戦国時代にも目立てず、幕末にもこれといったことはない。

 だからもう、県をあげてあまり世間の興味がない時代をアピールしてるような土地にも思える。

 

 正直奈良時代についてよく知らないから、知っている歴史を具体的に見よう、という感じでの観光になりにくいように思う。

 あの新撰組が斬り込んだ寺田屋を見に行こうとか、ちょっと好きなら知ってる歴史を確認するような観光が、京都や大阪ならできる。でも奈良でそれはやりづらい。無教養といわれるとしかたないけれど。

 

 それでも、行くと面白いから不思議なものだ。

 この日本の都を、ばっさり放棄して他所に移し、その後1300年に渡ってただの田舎として寝かせておく。そんな真似のしようもないことをした結果が奈良だから、どうしたって他所とは違う雰囲気があるんだろうか。