先日購入したTHETA Vなのだけど、やっぱり従来のカメラの常識が通用するものじゃないところも多く、なかなか使い方に迷う。
そんなときにはメーカーに聞こう、ということで、リコーイメージングスクエア大阪でやってるTHETAのフォトスクールを受講してきたのだった。
(終了して時間が経つとページが消えると思うが、リンクはここ)
THETAは、カメラ好きなら気になるブツだと思うんだけど、カメラに詳しいと使い方の難しさも想像できてしまって二の足を踏む、というパターンも結構ありそう。
リコーイメージングスクエアのTHETAスクールは貸出もあるから、買う前にしっかり試してみたいという人でもOK。(ただAndroidかiPhoneの、古すぎないスマホが必要)
以前一眼レフでの風景写真スクールを受けたときの記事はこちら。
スクール概要
講師は木村琢磨先生。Twitterもあり。
もともと広告写真から、今はフリーで一般のカメラはもちろん、ドローンとかTHETAなど変化球のカメラも駆使して様々な写真を撮っている。
一眼レフのスクールだと撮影する場所に現地集合する形だったりするけど、THETAは特殊なので、まずスクエア大阪で座学。
それから近くの毛馬桜之宮公園に移動して撮影会。
またスクエア大阪に戻って講評会、という流れ。
Bi Rodのこと
木村さんは、Bi Rodという7.5mの超ロング一脚を駆使して、THETAをますます異世界的な使い方をしている。
今回は木村さんのとスクエア大阪に用意された分と合わせて2本のBi Rodがあった。
7.5mって、木の上までTHETAを突き出せるような長さだ。
当然、視点を7.5mの高さに上げることもできるんだけど、横方向に突き出して7.5m離すこともできる(要腕力)。直接足を踏み入れられないところに視点を置けるのは大きいな。
THETAとBi Rodを組み合わせると、THETAと自分の距離が非常に遠くなるので、自分の映り込みがかなり小さく、服装とかでうまく隠すと迷彩できたりもする。
Bi Rodは、7.5mのもので5段伸縮になっている。6本をつなぎ合わせる形。
で、各段が外れるようになっている。長さを犠牲にしても荷物を軽くしたいときなど、一部外して持っていくこともできるようだ。
カーボンモデルとグラスファイバーモデルがあって、値段が倍ほど違う。カーボンは56800円、グラスファイバーは23100円。
グラスファイバーの方が重い(総重量は200gの差とはいえ、7.5mに伸ばすとテコの原理で大きな差になりそう)、また剛性もカーボンの方が高いと思う。
スクールで見たカーボン版でも、伸ばすと自重でしなるのが見てわかる。
木村さんの撮影した、Bi Rodを用いた様々なアイディアの写真を見ると、私も一本欲しくなることを禁じ得ない。今の私の懐具合には厳しいが。
実践
やっぱり有料の講座のことを何でもかんでも書くのも変だから、私が撮ったカットを通して、私が解釈したことを書いていこう。
やっぱりTHETAって、従来の常識と大きく外れた撮影が求められるカメラだ。
360°画像を2次元の写真に落とし込むときにも、THETA+の処理を思い切って、常識に囚われないでやるのが、面白い写真を生むポイントだと。
そういうわけで、今回私は小道具を持ち込んだ。
ダイソーで買ってきた鏡を、THETAの画面に写し込んでみる手を考えた。
が、なかなか難しい。
単に鏡の上にTHETAを立ててみたら、鏡のサイズが足りなくて単に足元に四角く鏡があるだけになってしまった。その手でいくなら相当巨大なカメラがいる。
では、寝かせる形で鏡の上に、レンズ間近まで接近させたらどうかと。そうすると、鏡に大きく写ったTHETAが写る。
やるべきなのは、THETAのレンズ際に、本体に対して垂直かそれ以上の角度で鏡を置くことだ。そうしたのが上のカット。
むずい。まだまだ研究の余地があるな。
小道具その2。ブロック型に凹凸をつけられたガラス瓶に、THETAを突っ込んで撮影。
THETAにはフィルターを付けるすべがないんだけど、もしそれでも光学フィルター的なものがほしければ、こうやって筒か半球でレンズを覆うしかない。
木村さんも同じようなことをやったことがあるそうで、スターバックスで入手した桜の花びらが舞い散る柄のタンブラーを使ったとのこと。なるほど柄物のグラスか。
THETAを上空に持ち上げれば鳥の視点になるし、木の上に置けばリスの視点になる。しげみに突っ込めば猫の視点。
というわけで、排水管の中に突っ込んでネズミの視点。
ドブネズミみたいに美しくなりたい。
木村さんの写真に、一直線の長い道路橋のど真ん中でBi Rodを立てて撮ったカットがあり、それをヒントに。
芝生をまっすぐ切り取った通路があったので、それの上にTHETAを差し出して撮影してみた。
すごい写真ってんじゃないけれど、真直な線がよく目を引く。THETAの写真は下手するとすごく散漫になるので、こういうキャッチする要素を付けておくのは大事かもしれん。
THETAは人が行けない場所に視点を置けるカメラなわけで、大川沿いの柵の隙間から手を出し、自撮り棒を下に伸ばして水面近くに。
THETAだと屋外で撮影する限り基本的には太陽が入ってしまう。
場所が良ければ目を引くポイントにもなるけれど、ただ単に白飛びした巨大物になってしまうこともあるから取扱い注意だ。
空も、あまりにもピーカンすぎると単調になったりもするから、ちょっと雲があるくらいが好ましいと。
たわばさんの「ピーカン不許可」の教え、あれは「ポートレートにピーカンだと髪や鼻の影がどぎつく落ちるから」という説と、「(特にモノクロで)雲がないと空が平板になるから」説があるけど、THETA的には後者かなあ。
このカット、当初は水滴がついた蓮の葉を主役にするつもりで、ベタ寄せして撮ってみた。
だけどスマホで確認したら、ちょうど他の蓮の葉を下から逆光で見上げるようなアングルがよかったので、太陽の位置を調整しながら再撮影。木に重ねつつ、ハスの隙間を通すいいポジション。
THETA+での処理も、色を思い切って緑に転ばしてみたりとか。
自分的には本日一番のカットに仕上がったと思う。画面右手がちょっと曖昧ではあるけど。
一箇所で四つ股になってる木 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
このカットは、生の360°画像をつけておこう。
見事に一箇所から四股に広がってからまた上に伸びてる、THETAで撮ってくれといわんばかりの木だった。
これを、
ストレートで処理するとこうじゃろ。
この集中線みたいになる感じ好きなのよね。私はストレート多用派。
下に向いてリトルプラネットで処理するとこうじゃろ。
リトルプラネットは、「ボールから人やビルが生えてる」という感じの典型的なやつになってもつまらんなー、と思っちゃうのだけど、これは全然違う印象で使えたと思う。
フラット処理でさえ面白くなるってのは、さすがに珍しい。それだけ見事なTHETA向けの被写体。
ちなみに場所は、藤田邸跡庭園の門から出て、ちょい左手あたりに見えてるやつだったと思う。
もうひとつ、「太陽の処理を気遣ってみよう」という教えを踏まえてみたやつ。
さっきの四股とは別の木ね。
基本的に木の股のところで撮るのは映えやすい。ただ、ミニ三脚で股に立てるという形よりは、横から自撮り棒差し込んで撮るほうがいいと思う。
自分は幹に寄り添って、股の分枝に隠れればいいし。
なんだこれ、という感じだけれど、2本の鉄柱で立てられている街灯があったので、その隙間にTHETA突っ込んで撮影、それをリトルプラネットで処理した。はず。
ん? と思わせることはできるカットかと思う。
なんか巻き尺が地面にぐちゃっと置かれていたので、それにベタ寄せして撮影。それからリトルプラネットで処理。
リトルプラネットは平面に広がってるものを撮る時にも使える感じ。ただし大きく歪むから、こういう元々ぐちゃっとしたモノが合う。
と、いろいろ撮影してからスクエア大阪に帰還。
しばらくTHETA+をみんなしていじって現像タイム。(この時間が30分そこそこかかるのがTHETAセミナー独特の姿であろう)
やはり他の方の写真にも「おお」と思わせるものが多数あった。
そもそも被写体に選ぶものが違うし、被写体へのTHETAの寄せ方も違う(距離が少し違ったり、置き位置が少し違ったりすると全然変わる)、THETA+で2Dに落とし込む処理もまた違う、と、個人差がすごく出る。
いわゆる普通のカメラを使ってる人だと、やっぱりその作法に引っ張られる部分も出てるように思う。私もその感じはあるな。
普段カメラを使わない人だと、我々カメラ好きとはまるで違う発想で撮影できるかもしれない。
THETAに興味はあれどまだ買ってない人も、買ってはみたけどなんか難しくて眠ってしまってる人(けっこういるらしい)も、一度行ってみるとTHETAの面白さを確認できるセミナーだと思うよ。
おまけ:スクールからの帰り道
THETAって手ブレが出にくいので、案外夜でも適当に撮影できちゃう。
橋の下の鉄骨を、リトルプラネットでやると複数のリングが重なったみたいになる。
中の島公園から天神橋に上がる螺旋スロープ。
(色は私がいじりすぎただけなので、THETAの発色がこんなにおかしいわけじゃないぞ)
難波橋の街灯 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
それから、この変哲もない街灯が、
ストレート処理でワープ航法みたいになったり、
ミラーボールの2画面で並べてみたり、
リトルプラネットで、思い切って赤くして惑星系な雰囲気を出したり、
フラットでも見栄える被写体はTHETA向き、という法則があるかもしれない。
THETAの機種について
RICOH THETA Z1 360度カメラ 全天球 1型大型センサー リコー 910774 ブラック
- 出版社/メーカー: リコー
- 発売日: 2019/05/24
- メディア: Camera
- この商品を含むブログを見る
THETA Z1の画像もセミナーで見せてもらえたけど、やっぱり1インチセンサーだけあって抜群に画質がいい。
ダイナミックレンジの広さと階調の豊かさ、ノイズの低さが断然。
ほしい! でも13万!
まあエントリークラスのデジタル一眼のダブルズームキットくらいの値段ではあるけどね。プロは買うわ。
RICOH THETA V 360度カメラ 全天球 910725 メタリックグレー
- 出版社/メーカー: リコー
- 発売日: 2017/09/15
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログ (4件) を見る
私のTHETA Vももちろん捨てたもんではないのだ。
マニュアルシャッターで撮影もできるし、案外ブレにも強いから夜も撮れる。
プリントするとなるとやや画質の限界が見えがちだけど、画面で見るくらいの画質は十分出てる。
なにより、リコーイメージングスクエアの店頭アウトレット(オンラインストアの方じゃなくてね) を見ると、すごい安いのが出てたりもね。
THETAってレンズを傷つけやすくて、中古でもちょっと難有り品になりがちなんだけど、スクエアのアウトレットならメーカー検品済みなわけでね。
6月1日現在、アウトレットの在庫あったぞ。