堺風の頭部

徘徊、カメラ、PC、その他。

PC-98はバスマウスでした

 平成が終わる直前、昭和の末から平成の頭にかけての話である。
 現代を生きるのに特に役立つことはない。

 

pc.watch.impress.co.jp

 ボールマウスが絶滅した、というインターネット老人会系の記事。
 なのだが、老人が見ると古い話に首を傾げるところがあった。

マウスのインターフェイスにはPS/2もあればUSBもあり、さらにNECのPC-9800向けのシリアルマウスも生き残っている状況だった。

 ここ。
 「1998年頃にPC-98用とされたシリアルマウス」は存在しているので間違いではないんだけれど、しかしPC-98用のマウスといったら普通はバスマウスであって、シリアルマウスは稀だった。

 

 

昔のマウスについて

Windowsについては3.1の時点ではまだマウスが必須ではなく、Windows 95でようやく標準添付となった経緯がある。

 上の記事にこういう記述もあり、これは「PCを買うと標準添付されていたかどうか」の話なんだけど、ちょっと「Windows 3.1以前のPCではマウスを使っていなかった」と誤読する人もおるかなあ、と思えた。
 もちろん、そんなことはない。Windows 3.1だって基本的な操作は今とそんなに変わらんので、マウスなしの操作は不可能じゃないけど難しいし面倒だ。

 実家に買われてきて、私が初めて触ったPCは、1985年発売のPC-9801VM2だったけれど、Windows 95の10年前でもマウスは一緒に買っていた。
 Windows以前のMS-DOSのソフトウェアやゲームでも、マウス必須のものは当たり前にあった。

 

 PC-9801シリーズは、3代目モデルのPC-9801Fまでは、汎用のRS-232Cシリアルポートにシリアルマウスを接続していた。
 四代目モデル(84年発売)のPC-9801M以降には、マウス専用のポートが作られて、そこにバスマウスを繋ぐことが一般的になった。

 PC-9801/21のマウスポートは最終モデルまで消滅しなかったので、一般に「PC-98用のマウス」といったら、このバスマウスを指す。

 

 

 

90年代末のPC-98シリアルマウス

 しかし、98年頃に「PC-98用のシリアルマウス」というのは、見かけることはあったと思う。

 少なくとも、ホイールマウスの先駆けたるMicrosoft IntelliMouseについては、PC-98でもシリアルマウスとして使うことができた。
 これは、PS/2端子をPS-232Cに変換してシリアルマウスとして使う形をとったので、厳密に「シリアルマウス」なのかというと疑問もあるけれど。

 IntelliMouse以外に、変換を介さずPC-98用として作られたホイール付きシリアルマウスもあったのかもしれない。私は知らないけれど、当時電気街とかしょっちゅう行けなかったし、今ほどネットも発達してないから情報がなかった。

 

 なんで84年に一度消えていったシリアルマウスが、10年以上を過ぎて復活されたか。

 というのは、PC-98のバスマウスって、パラレル信号だった。
 端子が9本あって、4本がカーソルの上下左右、3本でボタン3つ(PC-98では1本は未使用らしい)、あとの2本が電源とGND。
 ホイールを追加しようと思ったら、端子増やして規格ごと替えなきゃならんかった。ちょっと無理がある。

 PS/2マウスはシリアル信号なので、ホイールやボタンの追加も信号の処理で済む。だからホイールマウスがそのまま実現できた。
 同様に、大昔のRS-232Cシリアルマウスだったら、ホイールの信号も追加できる。

 

 ただ、シリアルマウスってカーソルの動きが悪い。
 今時のゲーミングマウスで「ポーリングレート」という、マウス信号の読み取り周期を変更できるのがあるけど、シリアルマウスはこれが恐ろしいほど低いの。
 昔ちょっと試しただけの曖昧な記憶だけど、60Hzもなかった気がする。あからさまにガクガクの動きなのが見てもわかったし、体感にも明らかに響くレベル。

 バスマウスには、そんな動きの悪さはなかった。
 ホイールのためだけに、ここまでカーソルの動きが悪化するのは辛いように思えた。

 ただまあ、私が試したシリアルマウスは、MicrosoftのIntelliMouseではない。
 あの世界屈指のマウスメーカーであるMicrosoftだから、シリアルマウスでも使いやすい仕上がりにしていたかもしれないけれど。

 

ボールマウスの記憶

mousefan.telcontar.net

 ボールマウスって、よくできた製品は本当に使いやすくって。
 私が好きだったのはMouseMan Wheelだったけれど、なんというか、ボールの動きというアナログが、マウスカーソルというデジタルに実に心地よく変換されるというか。光学マウスだとなんかこう、デジタル感しかないといいますか。
 何言ってるかわからんと思うけれどまあ、真空管アンプを良いといってるおじさんみたいな話と思ってくれれば。

 

 しかし一方で、よくできてないボールマウスは単純にクソであった。
 何しろ機械ものだ。こなれたメカ設計ができるメーカーでないと、マウス動かしたらガコっとボールが引っかかるとか、空滑りしてるとか、そんなのがザラ。「期待通りにカーソルが動く」ということすらできていない。

 特に粗悪なものがそうだった、というんじゃなくて、マイクロソフトLogicoolと、あとはMITSUMIとかごく限られたメーカーくらいしか、まともなボールマウス作れてなかったように思う。

 

Windows 10とPS/2マウスについて

 ゲーマーとか配信者とかだと、未だにデスクトップPCを使ってたりすると思う。
 で、まだPS/2ポートのあるマザーボード使ってるかもしれない。うちのGA-Z170-HD3Pにはある。

 ただ、新規インストールしたWindows 10にはPS/2マウスのドライバーがないから、繋いでも使えないぞ。
Windows 8などからアップグレードしてるとドライバーも引き継いでるらしいが)

 

 それから、PS/2マウスは活線挿抜できる設計じゃないので、動作中に抜き差しすると最悪壊れるので注意。私のところでは、実際壊れたことはないけれど。