堺風の頭部

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ヤマダ電機の投げ売りEveryphone DXを買ってみた

 ヤマダ電機にふらっと立ち寄ったら、ヤマダ電機プライベートブランドSIMフリースマホEveryPhoneが、軒並み投げ売りになっていた。

 店頭で見かけて気になったのは、EveryPhone PWだった。かなり分厚いものの、6000mAhの大型バッテリーを積んでいるやつ。12800円ですって。

 ただ、買うつもり十分にあって店員さんに声かけたのにスルーされるという、流石に謎な扱いされちゃって、なんだかなあと思って買わず。

 

www.yamada-denkiweb.com

 ネット通販でも、店頭と同じ価格で売っていると。別にSIMとセットとかでもない。
 多分もう端末売る商売やめちゃうから処分する、ってつもりなんだろな……

 ネットにはPWはないけどDXがあった。ラインナップ最高スペックで、発売当時は49800円にしていたのが、12800円という。安いじゃないか。
 ということで、これをぽちっといってみた。

 これは75%引きという価格だけど、他の機種の割引率はそこまででもない。もともと廉価な機種ほど割安感がないので、一応注意を。
 それに今見たらDXもう売り切れちゃってるな。

 

スペックなど

 当然ヤマダの自社設計・開発なんてことはなくて、どこかのOEMだろうと思っていたけど、巷の噂ではUMiDIGI Z Proという機種がオリジナルらしい。2017年のモデルと思う。
 もちろん直接個人輸入しちゃうのと違って、技適はあるし、バンドも日本向けになっている。LTEは1, 3, 8, 19, 28B、3Gも1, 6, 8, 19で、docomoソフバンもバッチリ。

 

 SoCは、MediaTek MTK6797X (Helio X27)で、10コア。
 ハイパワーなCortex-A72 2.6GHzが2コア、中間のCortex-A53 2GHzが4コア、低負荷用のCortex-A53 1.6GHzが4コアの構成。
 グラフィックはMali-T880。特別なものではないと思う。

 MediaTekだから高級品じゃないけれど、格安路線のメーカーがハイエンドモデルに採用する、とかそんな位置づけのもの。

 

 メモリーは4GBあり、ストレージも64GBと潤沢。中古でもなかなかこれだけ余裕ある端末を12800円では買えないと思う。

 サイズは5.5型で、今どきのスマホとしては普通。
 液晶はIGZOなので、これもなかなか贅沢感ある。解像度はFull HDだけど、私は過剰な高解像度は意味がないと思っているので。
 実際見た感じもきれいに思える。

 カメラも凝っていて、カラーとモノクロのデュアルカメラ。ソニー製センサーであることをアピールしている。
デジタル一眼レフグレードのカメラ、というアピールは何のことかわからんけどな。APS-Cとかのセンサー積んでるわけじゃない)

 ほかに、DSDS対応。私は使わんが。
 SIMスロットの片方がMicroSDと共用。全然目的の違うものを排他仕様にするのはおかしいと思うんだけれど、よく見かけるなあ。

 あと指紋センサーがあるのでロック解除が楽。

 

 ヤマダ電機の販売価格は49800円だったとはいえ、元の機種のUMiDIGI Z Proは300ドルくらいだったようだ。それが2017年夏頃発売で、今から見ると1年半前のもの。
 まあそれでも新品12800円+税なら安いけどね。2年保証もついてるし。

 スペックシートだけ見てると、値段の割に相当なハイスペック。
 でもそういう機種は、スペックシートに出ない部分で安普請なとこもあるはずなので、触ってみてどれくらいアラが見えるか、ってとこか。

 

充電関係

 USBコネクタはもちろんType-Cで、付属のACアダプターには5/7/9V 1.67A・12V 1.25Aという出力表示がある。15W出力のようだ。

 UMiDIGI Z Proのスペックシートには「PE+」とある。
 MediaTekが策定したPump Express Plusという規格で、15~24Wの範囲で急速充電できる。
 もし24WのPE+対応ACアダプターがあれば24Wで充電されるのかもしれないが、わざわざ探す気まではないな。

 

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 純正ACアダプターでは確かに、結構なペースで充電されていた。
 14:45に22%で充電開始、10分後に33%、20分後に43%、30分後に53%と、10分で10%ペースで充電されていく。この間、バッテリー温度は32℃をキープ。
 75%を過ぎると充電速度が下がりはじめ、しかしバッテリー温度も下がり始める。

 モバイルバッテリーだと、普通に5V 1.5A(7.5W)くらいは使えるようだった。(手元にそれしかない)
 15Wで10% / 10分のペースだから、7.5Wだと5% / 10分だろうか。

 

 しかし、PE+対応のモバイルバッテリーなんて聞いたことないな。
 AnkerのPowerIQで、適当に判断してある程度高速充電してくれるという話もある。

 ただ、私の手元にはPanasonicの不死身みたいなモバイルバッテリーが3つも現役だから、わざわざ買い足すかといわれると。

 

mineoで使う

 さあSIMカード入れるぞ、と思ったら、前使ってたZenfone Zoomから出てきたSIMがmicroだった。もちろん今どきのスマホなので、Everyphone DXはnano SIMだ。

 仕方なくなんばのmineoショップに駆け込んでサイズ変更申し込み。即日できる。
 ショップなんてめったに使わないと思ってたけど、やっぱりあると助かるな。なんばや梅田にすぐ行けるところに住んでるなら、mineoは選択肢としてひとつ優先度が上がる。

 mineoの動作確認済み機種にはなっていないので、保証できないからダメなら諦めてといわれたけど、別に問題なく通信できた。docomo回線のDタイプね。

 

ケースがない

 大弱りなのは、ケースがない。
 Amazonを探しても、多分汎用品の、スマホの背面を両面テープで貼り付けるタイプの手帳型ケースしかない。私はTPUシェルがいいんだけど。

 私はとにかくスマホを落とすし、裸で落としたら大体一発で壊しているので、ケースなしの運用はちょっと考えられない。怖すぎる。

 今まで、それなりにマイナーなスマホも使ったんだけど、TPUシェルが手に入らないというのは初めてかも。
 というか、ヤマダウェブコムですらケース見当たらないのどういうことよ。なぜ併せて用意しておかないかな。

 

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 とりあえず間に合わせで、ダイソーで300円で売ってる汎用ケースをつけてみた。
 これもスマホ背面を貼り付けるタイプだけど、両面テープじゃなく吸盤。

 ただ、吸盤だとエンボス加工されている面にはつかない。
 Everyphoneが届いた時点で、背面にも保護フィルムのようなものが貼られている。これを剥がさずに使えば、一応吸盤は効く。
 しかし、気がつけば吸盤がゆるんで外れるなあ。ポケットの中で吸盤外れて、取り出した瞬間にすっぽ抜けて飛んでいくオチが待ってるよな……。

 どうせ裏面にフィルム貼ってるし、瞬間接着剤垂らしてみた。しばらくはくっついてるだろ。

 

 GearbestをチェックしたらTPUシェルを売っていた。送料いれても6ドルくらいだったので、注文してみよう。届くのに二週間かかりそうだけど。

 

 画面保護フィルムは、最初から貼り付けられた状態で届いたので、買わなくてよかった。1ミリほどずれてて、表示部分にフィルムの縁がかぶってしまっているが、2.5Dガラスのせいで貼り位置シビアなんだろうな。
 なぜか保護フィルムは日本で買えるみたい。

 

タッチパネルがいまいち? 

 タッチパネルが、あれ?と思うことがある。

 稀にタップが無視されることがあるような感じ。
 画面右端近くのタップ反応位置もちょっとずれてる気がする。私はいつもタップ位置を表示する設定で使うので、どこが反応してるか見えている。これは2.5Dガラスのせいなのかな。

 あと、EveryPhone DX固有の問題じゃないけれども、縁ギリギリまでタッチパネルがあるもんだから、左手で片手操作しようとしたら、親指の付け根が画面左端に反応してしまう。
 この縁ギリギリまで画面にするの、見栄えとか技術アピールはできるかもしれんけど、落下時の耐久性を下げる上に誤操作まで招いてるんだから馬鹿らしいな。電子情報端末とはいえ、機械としての本質を見失ってる気がするよ。

 

GPSが劣悪

 この個体は、これほどGPSがダメな端末は久しぶりだというくらい悪い。
 2012年とかの端末だったらこれくらいのもあったけど、っていう水準だ。

 テクテクテクテクをインストールして遊んでみているのだけど、どうも徒歩にさえGPSが大きく遅れる。
 その遅れが位置ズレとなってずっと残り、一本横の筋を歩いているかのように表示されることも多々。
 20分に一度くらいかな、突然現在地近くに寄ることもあるんだけど、またすぐずれてくる。

 試しにテクテクテクテクを起動したまま電車に乗ってみると、これがもうぶっ飛びまくる。
 環状線の各駅停車で、発車してもGPSがついてこない。しばらく留まって、いきなりUSJとか西成とか平野とか、離れたところに吹っ飛ぶ。そしてあっちこっちワープしつつ、次の駅につく頃にようやく現在地点から100mくらいのところにワープしてくる。
 地下鉄でそうなるならわかるけど、高架鉄道でこれだ。

 何がまずいって、ステーションメモリーズがまともにプレイできない。これじゃ不正プレイしてるみたいだ。
 前のZenfone Zoomを駅メモ専用機にすることになるか。

 

 MediaTekのSoCは、GPS性能にかなり個体差が出てるという噂を聞いたことがある。まだMeMOPad HD7(2013)を使ってた頃に聞いたと思うんだけど、5年経ってまだムラがあるのかな。
 あるいは、EveryPhone DXのアンテナ設計が悪くてこうなってるとかなのか。

 私が大外れの個体を掴んだだけであれば仕方ないけど。EveryPhone DXが全部こんなんだったらクレームモノでは……。

 

カメラ

 ソニーのIMX258というセンサーを使ってるぞ、と自慢。1/3.06型1300万画素Exmor RSセンサー。(一眼レフクオリティという主張は謎でしかないが)
 Exifによれば、レンズは3.5mm F2。画角は69°になるので、35mm版換算で26mmくらい。まあ今どきな感じの広角レンズだ。

 

 デュアルカメラで、片方モノクロで片方カラーだという。レンズは同じようだ。

 しかし、ソニーがわざわざモノクロセンサー版のカメラモジュールを作って出してくれてるのかな。単にカラーのモジュールをモノクロで使ってるだけ?
 カメラアプリでモノクロモードを選ぶと、確かにカメラは切り替わる。一方がモノクロ用なのは確かだ。

 

 カメラアプリでは「ボケ味」というモードがあり、これを使うと一眼レフっぽいボケ表現がつく。
 そのモードで撮った写真は、ファイル名にSTEREOと付加される。
 三角測量の原理で、2つのカメラの映像のズレから距離を測って、ピント位置から外れている部分にぼかしをかける、といった処理をしているようだ。
 2m以内の距離でないと効果が生じない、と警告が表示されるので、ほんとに三角測量してると思う。

 ボケ量のコントロールも可能で、F0.8(!)からF11までスライダーで設定できる。一眼レフカメラの絞り値を模した設定だ。

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 ただまあ……なんか、結果見ると嘘くさいかな。
 このカットはわりといい感じに撮れてる部類で、全然効いてないこともあれば、やりすぎて無茶苦茶になることもある。

 このカットはF0.8設定なのでもっとボケそうにも思えたが、そうでもない。
 離れれば離れるほど大きくボケる、とまでは処理してないように見えたな。ピントが合っていないと判断した部分に、一括して均等なガウスぼかしを加えてるだけじゃないかな。

 あと、このモードで撮影したときに、ExifのFNumberの欄にボケ味設定値を書き込んでしまうのは感心しないな。

 

 

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 画質はまあ、センサーがソニーの裏面照射型CMOSで、レンズも単焦点ということもあって素直な写り。
 そのへんのコンパクトデジカメ程度の写りは十分していると思う。

 露出は案外アンダーめ(暗め)に測るようだ。最近はオーバーに測るのが多い印象だったから、ちょっとめずらしい?

 しかし上のカット、「私駐車場で撮影なんかしたっけな」と首をかしげてたんだけど、これ交差点で撮っている。
 レンズがF2.0固定、ISO感度も110くらいが下限らしくて、シャッタースピードが1/4000秒になっていた。おかげでタイヤのホイールまでピシっと止まって、走行中じゃなく停車中に見える。

 ローリングシャッター効果で車がひん曲がったりするかと思えば、それも案外目立たない。センサーの読み出しが速いんだなあ。

 まあ、良いセンサーを使ってると自慢する通りで、センサーの良さはわかる感じのカメラだ。

 

その他

 ほかはまあ、イヤホンジャックもあるし、明らかに異常な音質でもなかった。
 イヤホン刺したらFMラジオも使える。

 ちょっとどうかと思うのは、設定アプリの一部に日本語化されていない部分が残っている。重力センサーの校正とか。
 ヤマダ電機はマニア向けの商売をするつもりでこれをPB品にしたわけじゃないと思うんだけど、だったら目立つ未訳を残したままで売るというのは少々ダイナミックすぎんか。

 

 

 正直、EveryPhoneってヤマダ電機が仕掛けているにしてはあまり話を聞かなかった。いつのまにか始まって、いつの間にかもう終わらせる感じに投げ売りしていた。
 企画したもののあんまりやる気なかったのかなー、という気がしなくもない。

 処分価格だから安いと思えたけど、当時の正価49800円でこれ買ってたら、ちょっと納得し難いと思う。店頭で売ってたときも、どのモデルも特に安い感じしなかったもんな。

 まあ、私みたいなマニア層が、ある程度欠陥があっても回避するか割り切るというなら、今の値段だったらアリ、という感じ。
 使ってる部品は確かに上等だからな。