私はパソコン詳しいおじさんということになっているので、最近はいわゆる格安SIMはどれがいいかとよく聞かれる。正直、別にスマホには詳しくないのだけど。
ただまあ、キャリアのSIMはガラケーしか契約したことがなく、格安SIMはかれこれ5社も使ってるから、多少使い慣れてはいるかもしれない。
聞かれた時に答えられるよう、これまで使った格安SIMについてのメモや、経験から判断して良さそうに思えているもの、端末などについてなど、まとめておこうと思う。
なお、この記事は広告ではない。誰がこんな零細blogに広告を依頼するのかという話だ。
台風で動けない暇に書き記した。
目次
格安SIM総論
日本の携帯キャリアには、NTT docomo、au、ソフトバンクの3社がある。
その3社が整備した通信網の利用権を一部まとめ買いして、安く消費者に提供するのがMVNO事業者。その商品が格安SIM。
値段はぐっと安くなって、使い方にうまく合わせられれば、私なら1500円以下にまで抑えている。
ただ、通信速度は遅い傾向。特に昼休みや通勤ラッシュの時間帯に大きく速度が低下しやすい。YouTubeが最高画質で見られないとか、その程度の制限はかかってくる。
スマホアプリは普通、超高速な通信速度や大容量データのやりとりはしないように作られているから、大抵は困らないのだけど、酷い格安SIMだと体感ではっきりわかるほど極端に遅くなったりする場合もあるといえばある。
キャリアだったら、そこらじゅうに店舗があって、何か困ったことがあればすぐ飛び込んで相談して解決してもらえる。
でも格安SIMは店舗はなく、あってもせいぜい大型電気店にカウンターひとつある程度。これも契約カウンターであって、スマホの使い方教えろとか言っても断られるところがほとんどかと思う。
格安SIMの最も多いトラブルは、サポートがないことによる。国民生活センターに寄せられた相談事例を見て、「これでは困る」と思うなら、格安SIMは向かない。
普段ドコモショップなんか全く行かない、スマホの面倒くらい自分で見れる、という人には向いている。
ただ、使う上でのことに不安はなくても、端末を買ってSIMを選ぶところから全部自力なので、「SIMロック解除」だの「SIMフリー端末」などと言われて特に困惑しないくらいでないと、事故る可能性は十分ある。
端末について
SIMロック
まず大前提として、三大キャリアから購入したスマホなどは、SIMロックというのが掛けられている。
auのスマホは特に厳しくて、契約時に端末と紐づけたSIMカードしか受け付けない、という厳しいロックを掛けていた時期もある。今はやめてるはずだけれど。ソフトバンクもあれこれあるみたいで。
docomoのSIMロックの場合は、「同じdocomoのSIMカードなら差し替えても使えるが、ソフトバンクやauのSIMは使えない」という形になっている。
格安SIMを入れたらどうなるかというと、docomo端末に対して、docomo回線を使う格安SIMだったらそのまま使えちゃう、ということが多い。
SIMロックは、多少条件があるけれど、有料で解除できる。(ドコモ・au・ソフトバンク)
docomoの場合なら解除はしなくてもよさそうだけど、au・ソフトバンクは行っておいたほうがいいようだ。(自分でau・ソフトバンク端末は使ってないので詳細にはわからないが)
いわゆる「SIMフリー端末」は、最初からロックが掛かっていない。
SIMの寸法
SIMカードには、物理的に3サイズあり。
今時のならnano SIMという一番小さいやつ、少し前なら一回り大きいmicro SIM、もっと前だとさらに一回り大きい標準SIMといわれるサイズ。
小さいSIMににアダプター付けて大きくすることはできる(電気街などに売っている)が、逆は切らなきゃダメ。SIMは貸与品なので切ったら解約時に問題あるかも。
周波数帯(バンド)について
ロック解除済みまたはSIMフリー端末なら、どんなSIMでもいいかというと、そうでもない。
ドコモ・au・ソフトバンク、それぞれで、通信に使っている周波数帯(バンド)が異なる。よって、SIMが使いたい回線の周波数帯に、端末側でも対応しないと通信できない。
よって、docomoで売られていた端末を使うなら、docomo回線を使う格安SIMを使う。多くの格安SIMはdocomo回線なので、UQ mobile (au系)やY!mobile (ソフトバンク系)でなければ大体どれでもdocomoは大丈夫。
au端末で格安SIMを使いたいときは、UQ mobileやmineoなどのau回線プランを使う。
ソフトバンク端末なら、Y!mobileやmineo、LINE mobileなどがソフトバンク回線プランを提供している。(最近提供が始まったばかりのところが多い)
SIMフリー端末の場合は、自分で端末側の対応バンドを見て判断しなくちゃいけない。ちゃんと調べると結構たいへん。
難しかったら、格安SIMとSIMフリー端末をセットで売ってるのを買えば間違いはない。格安SIM業者の方で端末セットを売っているし、通販だとgoo simsellerなどもOCNモバイルONEの格安SIMと対応端末をセット売りしている。
また、2018年9月現在、多くの日本向けSIMフリー端末はdocomo向けのバンドを使えるものになっているので、大体docomo回線の格安SIMを入れればよい、と思う。
まさかdocomo回線で使えない、au回線用などのSIMフリー端末を、なにもいわずにそのまま売るとは今の所は思いにくい。
iPhoneは、私はリンゴマークの会社は知らないことにしているから詳しくないんだけれど、あれOSのアップデートがあるたびに、格安SIMでトラブル起こる話が飛び交う。何しろ自分がユーザーじゃないから、情報追いかける気もしなくて。
あんな高額端末を使うなら、回線もキャリアに面倒見てもらうほうがいいんじゃないでしょうか。
一応、格安SIMの方でiPhoneに対応してるとか、iPhone用のSIMだとかを出してるので、使うならそれで。
テザリング
キャリアで売られた端末は、テザリングは自社のSIMでないとできないように仕掛けてある。回避法は普通にはない。
格安SIMで、たまにノートPCでテザリングを行いたいと考えているなら、SIMフリー端末にするしかない。SIMフリーなら問題なく可能。
APN設定など
格安SIMと端末の組み合わせによっては、単にSIMカードを入れただけで使えるようになる場合もあるけれど、手動設定が必要な場合も多い。
これは、SIMの方に説明書がついているので、そのようにするべし。
格安SIM経験談
以下、私が使ったSIMについての雑感。
OCNモバイルONE 110MB/日コース
私はこれが初めての格安SIMで、確か2014年頃に使ってたんだったかな。
ちょっとブラウザを使ったりTwitterを見たりする程度なら、まあ110MBでも十分使えた。
ただ、平日は使わず、土日に外出してGoogleマップ見ながら歩きまわる、といった運用をしていると、週末だけ容量不足になり平日にダダ余りになる。
コンスタントに毎日同じくらい使う、というなら悪くないけど、そうでなければ合わない。
通勤に2時間くらいかかるけど会社では触らない、家では光回線がある、といったライフスタイルなら合うかもしれない。あるいは子供に使い過ぎさせないなんて効果もあるかも。
2014年には、同じ月額1000円ほどのプランだと月間1~2GBくらいが多かったので、110MB/日だと最大3GBくらい使えてお得に見えた。
でも最近だと、月額1000円なら3GB/月が普通で、その意味でも特にお得感はない。ちょっと過去のサービス感があるなあ。
ぷららモバイルLTE 定額無制限プラン
奈良で一人暮らしするに当たって、光回線引っ張る工事も大層だしなー、と思って、モバイル回線で済ませるかと試してみた。2015年のこと。
ぷららモバイルは2017年に撤退したので、もう契約できない。
月2980円税別で、3Mbpsに速度が常時制限されてるけど、通信量の制限はない、という他社にないプランだった。
しかしこれが全然ダメで、速い時で0.6Mbps、悪いときは0.3Mbpsしか出ないという、ただ単に常時ギガが切れっぱなしみたいなろくでもない回線であった。
今ほど格安SIMユーザーの多くなかった2015年でこれなんだから、続けてもダメだったであろう。
NTT系列の会社なんだからもうちょっと品質いいかと思ったんだけど、ぷららモバイルに関しては全然だった。2018年現在、実家の光回線のプロバイダーもぷららだけど、深夜に1Mbpsしか出ないような回線になってるし。正直もうぷららに信用はないな。
FREETEL SIM 使った分だけ安心プラン
これは2015年末くらいから、2年以上使ったっけな。
東京に引っ越すにあたって、自分がどれくらいデータ量を必要としているかわかっていなかったので、FREETELの「使った分だけ安心プラン」は魅力的だった。
料金は先に決まらず、月ごとに使った量で決まる。1GB以下しか使ってないなら1GBの料金、3GB以下なら3GBの料金という従量制プラン。別に割高でもない。使う量の予想がついてなくても、急に使用量が増えても問題ない。
まあ、「回線速度テストだけ速くて実測はずっと遅い」といわれてたり、業界最速を謳っていたことに行政指導を受けてたり、末期に打ち出した商品がなんだか微妙だったり、悪いところもあったんだけれど、シンプルにSIMだけ契約する分には、2年以上使うくらい満足していた。
ただ、2017年に楽天に買収されちゃってから、如実に品質悪化した。Twitter程度のものでさえ、体感で遅いのがわかるレベルでダメになっていって。
楽天はFREETEL SIMのユーザーをフォローする気はないんだな、とわかって、辞めた。
FREETELはまだ端末販売は続けているんだけど、セットで売っているSIMが楽天じゃなくてOCNモバイルONEだというのがまた。
mineo dプラン 3GB/月
現在主に使っているのはこれ。2018年8月からだからまだ短いけれど。
FREETELが、楽天に買収されてから壊滅的に品質が悪化したことを受けて、十分大きく安定経営されていそうなところにすべきだろうと判断して乗り換え。親会社はケイ・オプティコム。
他の検討対象は、OCNモバイルONE、IIJmioだった。
この3社ならどこでもよかったが、mineoなら友人にユーザーがいたので紹介キャンペーンを利用できたので。また、その友人がよくわかっている人なので、彼が使っているなら悪いものじゃないだろうとも思えた。
契約すると、マイネ王というユーザーコミュニティに参加できる。
面白いのが、余ったパケットをマイネ王の「フリーバケツ」に投入できる。そして、足りなくなった人はフリーバケツから引き出すこともできる。
ある程度引き出し条件はあるけれど、急な事情で使用量が増えてしまった場合などは問題なく融通してもらえる。この夏は、災害に遭った人からの引き出しも多々あったようだ。
知人のユーザーに直接融通したりもできるので、柔軟に運用できる。
通信速度などの品質面でも問題は感じない。
単純に価格だけで行くと最安ではないけれど、やはりこれくらいが使って安心できるかな。
LINEモバイル LINEフリープラン
こちらはサブ回線。
LINE@を使うために年齢認証済みLINEアカウントが必要になったが、キャリアのスマホを持ってないから契約した。LINEモバイルのSIMがあれば、年齢認証を取れる。
最小のこのプランは月額500円で1GB/月、LINEの通信はカウントされない。制限がかかってからでもLINEは高速通信する。
3~10GBのプランはコミュニケーションフリープランになって、LINEだけでなくInstagram、Twitter、Facebookはデータ量が減らない。
正直LINEアカウントのために持ってるような回線なので、あまり使い込んではいないけれど、とりあえず速度が酷く遅いということはなかった。
ただ、「LINEやTwitterの通信だけ別の扱いをする」というのは、通信内容を覗き見しているということじゃないか、という見方もある。そういうのを気にする人は選ばないとは思うが。
経験から選びたい格安SIM
やはり、ある程度大手のMVNO通信事業者のSIMがいいなあ、と思うところだ。
なにしろ、ユーザーが増えれば増えるほど、継続的に設備投資(docomoなどから買う回線を増やす)してくれないと品質が如実に悪化していく。安定経営されていないとダメ。
FREETELが楽天に買収されてから目に見えて品質低下した出来事の経験が、「大手を選んでおけ」という考えを誘う。
そういうわけで、OCNモバイルONE、IIJmio、mineoのいずれかがいいかな、と思う。この3社は大手になってから長いので。
楽天モバイルはシェアが大きいのは知ってるけど、FREETEL買収後の仕打ちに信用が置けないので私は選ばないぞ。
特殊なプランで勝負かけてるような小規模事業者とかは、ぷららモバイルLTEが全然ダメだったことから、そもそも体力がないところが奇策で勝負しても無理かと思う。
MVNOの中でも格安、みたいな路線だと、ユーザーが増えても利益が伸びずに設備投資が追いつかず品質悪化……という結果が見える。FREETELは一番安いわけじゃなかったけれど、やはり体力切れした。
ユーザーが増えれば回線を増強しなければならず、増強するにはお金がかかるから十分利益を得ないといけない、だから適正価格を徴収しないと破綻する、というシンプルな話が見える。
それでも大手以外で魅力を感じるのは、FREETELで愛用した「使った分だけ安心プラン」のような、従量制プラン。
まあ、mineoが使用量変動を吸収する仕組みを提供してくれているから、絶対これでないといけない、とは今の私は思わないけれど。
- 0 SIM (nuroモバイル)
- exciteモバイル 最適料金プラン
- b-mobile(通話つきとデータ専用とで2種あり)
など、今でも従量制プランを出しているところはある。大手といえるところはないかなあ。b-mobileは老舗だけど。
FREETELに一番近い感じなのはexciteモバイル。
使いやすそうだけど、回線品質はわからない。
0 SIMは、割安そうなのは1GB以下または5GB弱くらいに見える。3GB前後だったら他所のほうがいいし、5GBを超えるとチャージするしかなくなる。(それと、あまり回線品質は良くないとも聞く)
b-mobileの190 Pad SIMプランは、10GBまでいけるけど、3GBあたりで割高感が出てくる。
どちらも、「月イチくらいしか外に持ち出さないタブレットPCに入れておく」といった、使用量極小の用途向けかな、というところ。
それから、UQ mobileには「データ通信量無制限・速度500Kbps常時制限」というプランがある。ぷららモバイルLTEの定額無制限プランに近い。
UQ mobileのような、au本体に近い強力な事業者でさえ、量を無制限なら速度は0.5Mbps。ぷららモバイルごときが3Mbpsを謳ったのがそもそも無謀だったのかもしれないな(根に持ってるので厳しい)。
聞いている話では、UQのこのプランは500Kbpsだという通り、500Kbpsはちゃんと出るそうだ。
PC用にいいかも、と一瞬思ったのだけど、PCに500Kbpsは厳しい。
それと、au系だから私は端末を持ってないので初期費用が高くついてしまう。
あくまでスマホ用なら、YouTubeも360pくらい(画面が小さいならそこまで酷くない程度の画質と思う)で再生できるくらいの帯域はあるので、四六時中動画を見まくりたい人にはいいと思う。
その他のサイトは、多分ある程度遅さは感じるかと思うけど、全く使えないほどではない、というくらいじゃないかな。