御城プロジェクト:REで、ペテルゴフ宮殿が来た。
ロシアのサンクトペテルブルクにある、帝政ロシア時代のピョートルの邸宅がペテルゴフだ。
私はソヴィエト・ロシアが好きなので、ロシアやソ連絡みの何かがあったら「うーん……やっぱりロシア製は最高だな……」と言う。ガルパン見ていても、カチューシャが登場するとそう言う。(日本製です)
しかしこれ、あまりにも元ネタがわかる幅が狭すぎて、2018年現在、ほとんど通じてないように思う。
もう12年も前の、しかもXbox360専売で、あまりヒットしたともいえない、ジャンル的にもメジャーではない、そんなゲームが元ネタなのだ。
「ロシア製は最高だな」発言は、あのゲームを愛した者はここにいるというささやかな訴えでもあるのだ。
元ネタは、この「Over G」という、空戦モノのゲームであった。
PlayStation 2向けに出ていた「エナジーエアフォース」というゲームの続編なのだけど、なぜかわざわざPS3じゃなくXbox360に来た。
Over Gは、常に友軍パイロットと2機編隊を組むシステムになっている。
そのパイロットのキャラデザが末弥純でいい雰囲気なのだけども、選べるバディの中にロシア人がいる。
ミハイル・バコージンというそのロシア人パイロット、まあ巷のロシア軍人のイメージ通りというか、ごくクールでドライで無愛想。
搭乗する戦闘機が好みか気に入らないかでいくつか台詞があるんだけれど、気に入らないときは「You want me to fly this thing? I will show you true skill.」という。「こんなもので飛べと? まあ、本物の技術というものを見せよう」くらいか。(ゲームには日本語字幕が出るんだけど、もう字幕の内容まで忘れてしまった)
良くはないけど悪くもない、というくらいだと、「Not a bad choice. This aircraft will suffice.」(悪くない。十分だ)
まあまあ良いね、というのには、「This is a splendid aircraft. I am familiar with it.」(これはいいな。慣れている)
いずれにしても低い声で淡々と喋るのだけど、こいつに「MiG-29Gで行こうぜ」と持ちかけると、いきなり目の色を変えて、「Yes. Russian aircraft are indeed the best.」とそれはそれは嬉しそうにいう。Yeeeeeeeees、って感じに。
その台詞についてる日本語字幕が、表題の「うーん……やっぱりロシア製は最高だな……」だ。
(以上の台詞は、IGNのOver G Fighters - Walkthroughより)
実は私もMiG-29が大好きで、あれが世界一美しい戦闘機だと思っているのだけども、このゲームで使えるようになるまでは結構時間がかかる。
やっと出た、と思ったところで、相棒のロシア人が「Yeeeeees」と大喜びしたから、心が通じた気がしたのだ。
それ以来、何のゲームをやっていても、選べるときはいつもロシア製を選び、常に「やっぱりロシア製は最高だな」と口にし続けている。
Over Gは決してネタゲームではなく、むしろ非常に秀逸な空戦ゲームといっていい出来だった。
カジュアルなエースコンバットと違い、実際にパイロットに監修を受けて、リアル感を追求したシミュレーター風の仕様になっている。(空自のイーグルドライバーの言うとおりにF-15Jのパラメーターを設定したら、米軍パイロットに「F-15Jって高機動すぎるけど魔改造してんの?」とツッコまれたとか当時聞いた)
変な機動をするとストールするし、ミサイルも4発とか6発しか積めない。機銃すら弾数制限が厳しく、あっという間に撃ち尽くす。
ミサイル自体も、古いサイドワインダーだと赤外線誘導だから、後ろに回り込んでエンジンの熱を捉えないとホーミングしない。太陽があったらそっちに飛んでいっちゃう。スパローなんか当たるまで機体のレーダーでロックオンし続けなきゃならないから、回避行動が取れない。
まあ、純粋にリアルにすると、「見えてもいない敵をレーダーでロックオンし、はるか遠方からミサイルを撃って終わり」になっちゃうので、レーダーとミサイルの射程は極めて短くされている。
他の部分は至ってシミュレーター的にリアル。
ミサイル避けるのもめちゃくちゃ難しい。フレアに釣られてくれることを祈りながら急旋回したりバレルロールしたり……
そんなシステムで、空戦もあれば、対空砲火をくぐり抜けて対地攻撃もあり、はてはエリア88の如き渓谷飛びもあるストーリーモード。
かなり難しいけれど、何百回と墜落しながらクリアするまでやったなあ。
オンライン対戦も、ごく少数の人達の間で熱心にプレイされていて。
F-16Cに、ミサイルは赤外線誘導の旧型サイドワインダーだけに限定。そして、背後を取り合うドッグファイトをする、という、リアル空戦機動を理解してないと参加できないレベルの対戦が行われていた。
私には理解が及ばず参加できなかったけれど。
エースコンバット5にもオンライン対戦があったけれど、「遮蔽物も何もないところでミサイルをひたすら撃ち合う」と、正直ゲームになってない出来だった。
Over Gなら、ずっと遊び続けていられるくらいリアルで奥深い対戦の世界があったのだ。参加できんかったけど。
そんなわけで、私にとってOver Gは、「うーん……やっぱりロシア製は最高だな……」という不朽の名台詞を与えてくれた上、Xbox360で遊んだタイトルの中でも五指に入るくらい面白く遊んだ、大好きなゲームなのだ。
余談だけれど、Xbox360で遊んだ飛行機モノのゲーム、なかなか強烈なのが多かったように思う。
Over Gの後に遊んだ、「ブレイジング・エンジェル2」もすごかった。
第二次大戦の連合国側の秘密部隊として、正面切った空戦じゃなくてスパイ的なミッションをこなしていく、というのだけれども。
いやー、全18ステージあるゲームの2面で、「ホーカー・ハリケーンを列車スレスレに同じくらいの速度で飛ばし、乗せているスパイを飛び移らせろ」というミッション出してくる。
結局私は、これを何十回やってもクリアできず、このゲームは1割も進められずに投げてしまった。多分、自分で買ったゲームの中で最低の進捗率で諦めたゲーム。
Over Gより6年後の2012年、さすがにXbox360もゲーム機として末期の頃、「蒼の英雄 -Birds of Steel-」というゲームが出た。
リアル系空戦ゲームのOver Gをあれだけ楽しんだ私だし、プロペラ機時代のリアル系空戦ゲーム、果たしてどんなものだろう、と思って、喜んで買ったわけですよ。
そうしたら、リアルもリアル、クソリアルという凄まじい出来で。
ジェット機のゲームだったら、離陸なんてフルスロットルにして適当に操縦桿引いてたら上がっていくんだけど、プロペラ機なんか普通に失敗して墜落できる。
機首上げが早すぎたり大きすぎたりすると、紙飛行機みたいに真上向いてそのまま失速・墜落。プロペラの回転と逆方向に反作用がかかってるから、常に機体が勝手に傾いていくし。
これもオンライン対戦があったのはいいけど、ゲーム開始直後に離陸失敗して、敵も味方も何割か墜落してるのがログに出てるような有様。
一応、モード変更でもっとカジュアルに操作できるようにもできたから、ゲームを遊ぶことはできる。けれど当然ながら、すごい負けた気になる。
これも確か、意地になってリアル操作系のままプレイしようとして、さほど続けられずに挫折したなあ。私多分、第二次大戦で飛行機飛ばせといわれたら、訓練中に事故って死んでると思う。戦争なんかやるもんじゃないな。