こういう記事には、「それ平成になっても使ってた」などとケチをつけるのが正しいおじさん仕草。
しかしまあ、おじさん仕草はうざいのも事実。
それに、私は昭和生まれといっても割と最後の方で、昭和の間には自分でほとんど経済活動もできない子供だった。
私が「自分で買った」とか「流行ってた頃を知ってる」というようなものは、平成に入ってからのことが多い。初めてCDを買ったとか、そういうのは平成に入ってすぐだ。
昭和と平成の継ぎ目を見分けるにはちょうどいい年頃かもしれず、その目線で見てみよう。
もちろん記事タイトルは、中島みゆきの「空と君のあいだに」のもじりだが、これ94年だから平成ね。
平成初頭のカセットテープ
カセットテープには昭和のイメージは確かにある。
特にそこに異論はない。
ただまあ、カセットテープは平成に入っても使ってる物でもあった。
平成に入って間もない頃は、録音できてポータブルな音楽メディアはまだカセットテープしかなかった。
MD(ミニディスク)の登場は92年、平成4年。普及には時間がかかったし、本格的に広まるのって90年代も終わりくらいじゃないかな。
テープは、それ自体より、「何からテープに音楽をダビングするか」という使い方の方が、昭和と平成を分ける気がするな。
ラジオの歌番組をソースにしてテープに録音する、いわゆるエアチェックというやつは、私が知ってる90年代にはもう流行っていなくて、私もやっていない。
親はそれをやっててそういう機材もあり、テレビに繋いで歌番組とかファミコンを録音してみたことはあったな、という程度。
また、アナログレコードも私は自分で扱ったことがないので、テープにダビングしたこともない。
テープからテープのダビングも、まあダブルラジカセは家にあったし、ダビングしたこともあるけど、平成に入ってからはやってないと思う。(元ソースとしてテープが使われることがほとんどなくなっていた)
ここまで昭和、だと思う。
平成に入った頃、テープはCDからダビングするものだったと思う。
それで、ポータブルプレイヤーで外で聴いたりする。
ポータブルCDプレイヤーもあったし持ってたけど、CD-Rのない時代は自分で編集ができなかった。好きな曲だけ集めたテープを作って、それを外で聴くのが90年代のスタイル。
テープからMDに移行する人は、まあ半分くらいはあったと思うけど、行為としては同じ。
友人レベルの話だけど、ダビングして「これ聴け」と渡すのもテープ。
誰でも聴く環境を持ってる録音メディア、という点では、それこそCD-Rが普及する21世紀の頭くらいまではテープだったと思う。
平成初頭のカセット型ウォークマン
80年代はまあ、おおむねテープのウォークマンしかなかったと思う。
平成に入ったらCDウォークマンと類似品が出てきている。
私はわりとお金の自由が効かない方だったけど、それでも95年には高校通学用にaiwaのポータブルCDプレイヤー持ってたから、普及率はそれなりに高いと思う。
まあ、平成の初め数年にテープのウォークマン時代が食い込んでいるにせよ、CDウォークマン時代がおよそ平成とともに始まっている、ということにして、「テープは昭和・CDは平成」でもいいとは思う。
初期のポータブルCDプレイヤー、特に安物は、ちょっと揺らすと音飛びするから鬱陶しかった。
歩きながら使うには特殊な歩き方を求められる。
少し上等なものを選べば、数秒分先読みするバッファを搭載して音飛びを防ぐので、これでやっとWALKMANの名前通りに歩いて使える。私にはちょっと高くて買いにくかったけど。
1万円以下の廉価なポータブルCDプレイヤーに、音飛び防止バッファがつくようになったのは、まあ90年代後半かなあ。
テープだったら別に音飛びの問題はないし、モノとしてこなれて割安なものもあったから、ポータブルプレイヤーとして選びやすかった。平成でも、十分存在感と実用性はあった。
私も90年代半ばに、aiwaの最上位モデルを買ってみたもんだった。あれ結構愛用したなあ。
平成初頭の黒電話
黒電話は、平成の頃にはもうプッシュホンになってたと思うな。
一応小さい頃には黒電話があったけれども。85年までは電話機が自由化されてなくって、電電公社に届けてもらうもんだった。
しかし、うちの家の場合は、長らく回線自体は黒電話時代用のパルスダイヤルのままだったな。
今の電話ではトーンダイヤルというのを使ってて、電話機のボタンを押すとピポパポ音がして発信する。
パルスダイヤルでは、6を回すかボタンを押すと、「ココココココ」と6回続けて短い音がする。
だから電話機の操作はボタン式になっても、押したボタンの数だけ音が鳴る。
これはモデムでも同様で、インターネットに繋ぐときは、「ココココココココココ コココココココ ココ ココココココ(略)ピーピーピーギョロギョロギョロギョロピブーン」という音を立てていた。
初頭のフロッピーディスク
平成元年時点で日本で主流だったPC-9801は、まだまだハードディスクなしでフロッピーディスク2台での運用も多かった。
で、主流は5インチフロッピーだった。普及していて量産がきき、構造も簡単だったから、値段がだいぶ安かったの。
3.5インチも昭和から存在はするけど、シェアが逆転してくるのは、92~3年ってとこかなあ。
しかしその頃には、ハードディスクが内蔵されていることも当たり前になってきていたから、フロッピーの重要度は相対的に下がっていた。
まあ、「誰でも使えるリムーバブルメディア」というポジションがあったので、廃れてはいなかったけれど。
ざっくりと、5インチフロッピーが昭和、3.5インチフロッピーが平成、という感じ。
その他
うーん、プリントゴッコは平成にもあったと思うんだけど、これは自分の家で使ってるかどうかに依存するような……
うちにはあったけどあんまり使ってなかったから、記憶が怪しい。
ところで「フリントロックは昭和」という冗談には、XEXEXは91年のゲームだよ、と指摘しておきたいと思います。
レーザーディスクは、十分平成に入っても使われてたものじゃなかったっけな。DVDが出た頃にさえ、AVマニアが画質悪いと批判してたくらいだったし。
単体のビデオプレイヤーとしては、高級すぎてちょっと我が家には手が出なかったけれど。
レーザーアクティブは平成。
BB弾なんかは、普通に現役のモノだけどなあ。
ただ、子供のおもちゃに「BB弾を発射する」といったギミックがあるやつって、目に入ったら危ないといって平成の頃にはどんどん消滅していった感じはあるなあ。
SDガンダムのプラモデルも、「BB戦士」っていってた頃は、BB弾を発射できた。(後に専用のミサイル型の弾を撃ち出すようになって、さらに後には発射機構が消えた)
あとは、トイガンの方面では、バドミントンのシャトルみたいな形をした「つづみ弾」というのがあった。
これは平成には消えてたと思うので、昭和アイテムだろう。
VHSが昭和、というのはまあ、単に知る知らないの問題だろう。
ベータマックスが昭和……というと、元ユーザーに怒られるかもしれないけれど。
昭和末期にVHSとベータの戦争があって、平成には決着ついてた印象かな。