艦これのキャラクター=旧軍の軍艦と、同じ名前の力士を並べる遊びは、ひとつ定番であった。
こういうやつ。
で、今のウマ娘ブームで、私も久しぶりに競馬ネタをチェックしたりもしているんだけど、そういえば艦娘と同じ名前の競走馬はどれくらいいるだろうか。
メジロラモーヌの父がモガミという馬なのはすぐ出てくるのだけど、他はあんまり出てこない。
最近の馬の名前は小洒落ているけども、昔の馬は、トウメイだとかコダマだとか、純和風な名前のも珍しくなかった。いないことはないだろう。
ということで、調べてみた。
調べ方
まず、netkeiba.comのデータベースで調べてみたのだけども、さすがのデータ量で、大抵の艦娘と同じ名前の馬がヒットする。
コンゴウ・ヒエイ・ハルナ・キリシマいずれも実在する、というか、地方競馬まで含めると居ないほうが珍しい感じだった。
ただ、競走成績が平凡な馬が大多数、その後子孫が繁栄したわけでもないような馬が果てしなく見つかってしまう。さすがに調べていくのが苦痛だ。
代わりに、個人の方が作られているこちらのデータベースを当たらせてもらった。
個人といっても相当強力なデータ量があって、50年前の馬でもヒットすれば競走成績まで含めてちゃんと出てくる。すごい。
それなりに実績や名前を残した馬なら個々に収録されていそう、ということで、こちらでヒットしたものをリストアップさせてもらうことにした。
艦娘と同名の競走馬
さて、艦娘の名前を「含む」という馬だったら、ビッグネームも多数、すぐに思い浮かぶ。マヤノトップガンとかチョウカイキャロルとかカツラギエースとかハギノカムイオーとか。
しかし完全一致となると、私はモガミくらいしか思いつかなかった。
で、調べて出てきた殆どは、40~60年代の非常に古い馬ばかりだった。一頭だけ89年生まれで90年代前半に走った馬がいたけれど、それでも30年近く前だ。
かなり歴史的な馬に詳しい人でないと、出てこないような馬が並んだ。
誰が登場するか、予想しながら読んでいくと面白いかもしれない。
モガミ
とりあえず、モガミからいこう。Wikipediaに項目があるレベルの有名馬だ。
1976年、フランス生まれ。牡。
競走馬としては外国で走っていたんだけど、それがモガミなんて名前なのは、競走馬時代からすでにシンボリ牧場・メジロ牧場が共同で所有していたから。もちろん日本に持ってきて種牡馬にするため。
81年に輸入され、初年度産駒からいきなりダービー馬シリウスシンボリを出した。そして二年目、史上初めての牝馬三冠を達成したメジロラモーヌも出た。その後も、ジャパンカップを勝ったレガシーワールドとか、秋華賞馬ブゼンキャンドルも。
そんなわけで、毎年種を求めて5~60頭ものメスが群がるハーレムを作り上げたもがみんじゃなくてモガミ。ヒトと違って馬は繁殖シーズンが春頃に限られるので、ほんとに乾く暇もないというやつ。
(最近の種牡馬は100頭とかつけるけど、技術の向上によってそうできるようになったものらしい。人気種牡馬も大変だ)
そーゆー馬と同じ名前の最上があーゆーキャラだというのも、何か出来過ぎな感じもあるのだが。
トキツカゼ
さて、ここからは競走成績・繁殖成績の良い順に挙げていこうと思うが、そうすると抜群なのは時津風だった。
相撲でも、かの双葉山も名乗った歴史ある年寄名跡で、現在も続く時津風部屋がある。相撲・競馬の二冠達成だ。
これもWikipediaに項目があるレベル。牝馬。
さすがのうぃきぺも古い馬はフォローしきれていないことが多いんだけど、トキツカゼは1944年の戦時中生まれでさえ記事が書かれている。
牝馬ながらに皐月賞に出て6馬身差のぶっちぎり、オークスは大差勝ち。ダービーにも出て2着。強い。
でもって、繁殖に上がってからの成績もすばらしく、ダービー馬オートキツと、天皇賞・有馬記念のオンワードゼアを輩出。
そして牝系が今も続いていて、5代下の子孫がオークス馬ウメノファイバーとか、京王杯スプリングカップなどを勝って種牡馬入りしたウインラディウス。
現役で活躍しているミスパンテールも、クラシックはだめだったけど古馬になってから重賞を連勝中。
競走成績もよく、繁殖牝馬としても優れた一族が繁栄してるレベルだから、競馬的に最高なのは時津風で疑いなさそうだ。
ハマカゼ
1945年生まれ、牝馬。
こちらもトキツカゼに勝るとも劣らない名牝。
桜花賞をレコード勝ちして、ダービーこそ惨敗したが秋に菊花賞に挑んで二着の女傑。天皇賞には届かなかったが、京都記念のレコード勝ちもある。
競走成績もかなりのものだけども、牝系の繁栄が大きい。
繁殖名は梅城という名前なんだけれども、その子孫を辿るとゴールドシップがいる。
他にもスイートフラツグ(桜花賞2着・オークス3着・重賞4勝)、カネトシガバナー(愛知杯・神戸新聞杯・障害でも活躍)、ゴーゴーゼット(アルゼンチン共和国杯・日経新春杯・中日新聞杯など)といったなかなかの馬が出ている。
ハタカゼ
1947年生まれ。牡。
クラシックこそ勝ちきれなかったものの、古馬になってからカブトヤマ記念、目黒記念を勝ち、5歳秋の天皇賞を勝利。6歳に目黒記念をもう一度勝って、47戦26勝で5着より下は2回だけ。
そもそも重賞が少なかった時代なので、勝鞍がオープン平場戦ばっかりだけれど、それにしても無事是名馬という感じ。
種牡馬入りしてからは、重賞勝ち馬を複数輩出した。
フソウ
1950年生まれ。牡。扶桑牧場で生産された。
皐月賞4着・ダービー5着、ちょっと勝ちきれないけど大負けもせず、第四回安田賞(現在の安田記念)に勝利。続いて第二回日本経済賞(現在の日経賞)も勝って引退。32戦12勝。これまた5着より下は1回しかないような安定した馬。
成績を見る限り、勝ちが1600mまでに集中していて、最後の不良馬場の日本経済賞3200mと、1800m1回以外は全部マイル以下。
中距離になると惜敗する感じで、現在みたいにスプリンター向けのレースプログラムが整っていたら、もっと強かったのかもしれないなあ。
種牡馬として、ハクセツという馬を出した。
芦毛のかわいらしい姿が「白い美少女」と呼ばれたり、それでいてレースは後方一気の追い込みがウリ。スピードシンボリに惚れられていたという噂も。
牝馬東京タイムズ杯を勝って、岡部幸雄に初めての重賞勝ちを贈ったりもした。記録より記憶に残る名馬というやつかな。
ハツユキ
6戦3勝・2/3/4着それぞれ1回ずつという好成績で桜花賞に挑んで勝利、しかし次の四歳牝馬特別を勝って、そこで引退している。
故障っぽい感じだけど、どうも桜花賞馬ながらも古くて、ネットにはさっぱり情報がない。
子孫にマイネルスマイルという馬がいる。
一口馬主としてマイネルスマイルを所有していた人が、引退後に引き取って種牡馬入りさせ、相手の肌馬まで自己所有して毎年産駒を生み出している。
それが、現在も残る最後のトウショウボーイの直系でもある。
世にも珍しい扱いを受けている、という意味では、マイネルスマイルの右に出るような馬はなかなかいない。
タイヨウ
1963年生まれ。牡。Wikipedia記事あり。
遅いデビューでクラシックには出られなかったが、五歳の秋に宝塚記念・中京大賞典を勝った。その他は善戦マンという感じで、重賞戦線で掲示板の常連。天皇賞春の2着がある。
スピードシンボリがヒーローだった時代の脇役、という感じかな。
種牡馬としてはあいにく数も少なく、大成した子も出なかった。
この動画で、ヒカルタカイが18馬身差で勝った68年の天皇賞春の映像があって、その2着馬としてタイヨウが登場している。
アオバ
1962年生まれ。牡。
今でいうGI格のレースには出走もしていないが、中京競馬場の重賞にめっぽう強くて、金鯱賞・愛知杯・中日新聞杯・中京記念を勝っている。
当時はどのレースもダートで行われていたので、ダートが得意だったのかもしれない。
67年の中京記念でタイヨウと対戦していたり、またオープン戦でソウリユウという馬とも対戦したことがある。どちらにも負けた。
なおソウリユウは京王杯オータムハンデほか8勝を挙げた牝馬。繁殖入りしてからはプリンセスチユーリツプという名前になっている。
このソウリユウは1962年生まれ。
ソウリユウは他にもいて、1950年生まれのもいる。こちらはひ孫にニシキダイテーという馬が出ている。
アラシ
1989年生まれ。牡だけど去勢された騸馬。Wikipediaに項目あり。
重賞勝ちは福島記念と中京記念。
シンコウラブリイからメジロマックイーン、ネーハイシーザーやビワハヤヒデといった馬と戦ってきた名脇役ポジション。勝てないまでも善戦して賞金は持って帰り、2億円ほど稼ぎ出している。立派。
94年から競馬見てる私がギリギリ知ってる馬なんだけど、名前もあって存在感は高かった。宝塚記念の人気投票でも選出されるような、アイドル的な面があった。