堺風の頭部

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smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8導入

 表題のレンズを購入した。

 現行品のDFA MACRO 50mmF2.8と非常に紛らわしい名前で、まあ人間が見るとDFAとFAじゃ明らかに違うんだけど、サーチエンジンが上手く区別してくれない。
 おかげでネットで情報を探しづらいレンズになっちゃってるが、まあ仕方ない。

 

 80年代後半、α-7000を追ってPENTAXがリリースしたAF機SFXのための、Fレンズシリーズの中にあった50mmF2.8マクロ。
 SFXシリーズとFレンズは短命に終わり、ボディがZシリーズに変わってレンズもFAシリーズになったが、光学系はそのまま外装変更程度でFA化されたものもいくつもあった。

 このFA50mmマクロも、Fの50mmマクロがそのままFA化されたもの。80年代後半の設計だから、2017年現在では30年前のものだ。
 しかし息が長かったレンズで、2004年まで売られ続け、DFA50mmマクロが出るとともにバトンタッチして終了。

 しかしまあ、現行のDFAとくらべても、このFA50mmマクロは重量以外のスペックにはほとんど差がない。
 今使うとどんなものか。

 今回は、K-70の2400万画素フルサイズの画像も出しちゃうぞ。

 

 

寄ってみた

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原寸 18.5MB

 その辺にまだ咲いていたランタナを撮ってみた。

 当たり前のことながら、寄れば寄るほどブレが厳しくなる。流石にボディがK-70となれば、手ブレの方はまだしも押さえてくれるものの、被写体がブレる。
 それから、PENTAXのCCDシフト式手ぶれ補正だと、被写体への距離の変動までは補正してくれない。コンティニュアスAFである程度いけるかもだけど。

 それに寄れば寄るほど被写界深度が浅くなり、ピントがごく薄い範囲にしか合わない。
 絞れば被写界深度は広がるから、このカットもF9.0まで絞ってあるが、そうするとシャッタースピードが遅くなってブレる。辛い。

 

 しかし大量の失敗写真を出した中で、一応無事だと言えるカットを等倍で眺めると、花の細かい毛やら花粉みたいなものやら、肉眼以上のものが写っていて楽しい。

 もっと寄れば寄れる。最短まで寄ればレンズ前5cmくらいになるかな。
 このレンズは等倍マクロというもので、最大の倍率になるとき(つまり目一杯寄った時)、実物の大きさがフィルムやセンサーにその大きさで投影される。
 だから、フルサイズで使えば36×24mmのものが画面一杯、APS-Cで使えば24×16mmくらいが画面いっぱいに写る。

 

ボケさせてみた

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原寸 18.3MB

 絞り解放でボケを出してみた。

 ボケうるさいかなあ、と思ったけど、まあこのカットはボケ以前に背景がうるさいのだった。
 別にボケの光芒に強いフチが出てるとか、そういうわけでもないか。口径食でちょっとレモン型になってはいるくらいか。

 

八角形の光芒

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原寸 18.5MB

 ちょっと絞ってF4.0だと、光芒にすこし縁取りができる気はする。
 また、絞り羽根8枚だけど円形ではないので、見事に八角形になる。

 このカットはやっぱり背景うるさい気がするが、私が50mmでのボケ具合をよく掴めてなくて、コントロールできてないかも。もう少し絞って背景の形がわかるようにするか、思い切って開放にするほうがいいか?

 

遠景を撮った

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原寸 22.5MB

 マクロレンズというのは、遠景撮ってもよく写るもんだと聞いていたが、試しに撮ってみたら、想像以上によく写っていた。
 F6.3にファインシャープネス掛けてる効果もあろうけど、なんで80年代末に設計された30年近く前のレンズが、2400万画素の等倍鑑賞に耐える。すごい。

 等倍で無理に粗探ししても、このカットだと僅かにパープルフリンジがあるくらいだろうか。
 フルサイズだと開放近くで若干周辺減光とかもあるらしいが、APS-Cだとわからなかった。

 FAレンズだからデジタル補正は効かないんだけど、これだと全然必要ないな。

 

歪曲もほとんどない

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原寸 21.7MB

 歪曲収差も、こんな直線が多いものを移してみてもほとんど見えない。
 一応、ファインダーにビルを入れて端っこにずらしたら、少し糸巻き型になったように見えたが。

 それにしても、これだけ欠点の少ない写りで、至近距離でも撮影できるようなもんをよく80年代に作るもんだ。
 一説には、シャープさだけでいえばFAレンズの中でも一番だったという話もある(伝聞、裏付けなし、FA★とかLimitedを含むかも知らない)。

 50mmなら80年代でもF1.4があったから、F2.8だと2段暗いが、2段暗くすればここまで粗を少なくできちゃうもんなのかな。

 

中遠景なら簡単

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原寸 21.4MB

 それにしてもよく写るもんだ。
 マクロだと、被写界深度の浅さとブレが難しくてなかなか使いこなせないけれど、距離があったら適当でもキレキレに写ってしまう。こりゃいいな。
 APS-Cだと換算76.5mmという中途半端に狭い画角だけど、まあ最初から中望遠だと思ってるせいか、特に違和感はなかった。マクロだと思ってるから、撮るもの探す目線もそうなってるかもしれない。

 DA17-70mmF4とかDA50-200mmF4-5.6なら、50mmの焦点距離はカバーしてはいるんだけど、20年くらい時代が違ってもやはりズームでこの写りにはならんな。
 私の手元の単焦点は、DA21mmLtd.とDA40mmXSで、これは万全の写りよりもコンパクトさとか格好とかに振ってるものだから、ここまでは写らない。DA21mmはやや甘いめの写りだし、DA40mmXSは恐ろしく逆光に弱い。
 スターレンズを持ってない私には、手元で一番の高画質レンズになりそうだ。

 

 フィルター径がなぜかレンズに書いてないが、52mm。

 フードは多分専用のバヨネット式のは存在せず、ねじ込みのRH-RA52が指定品のようだ。
 しかしマクロ撮影のときに当たりそうなのと、元々かなり奥まった位置に前玉がある鏡筒だから、別に必要なさそうにも見える。
 それなりに逆光でも撮ってたと思うんだけど、フレアっぽくなったりはしなかった。太陽を画面に入れたりはしていないが。

 

 あくまでFAレンズだから、K-1でも、古いフィルムのボディでも使える。デジタルでの歪曲補正とか周辺減光補正は使えないが。

 しかし当然SDMとかハイカラな機能もないので、AFはモーターでぎゅいーん。そこそこ音も大きい。
 ピントリングを広く取ってあるレンズだから、AFを外して迷ったらかなり時間がかかってしまう。普段使いでの難点といえばここかなあ。