Pixivといえばイラスト系SNSなのだけど、小説の投稿もできる。
しかしまあ、場所柄も時代もあって、イラストほど人気のあるものではない。私の若い頃だと、JPEG一枚落とすのも辛いネット回線の事情もあって、小説人気は結構高かったものだけど。
女性向けは小説もそこそこ勢力があるのだけど、男性向けの小説となると、正直少し日陰感はある。単に小説の人気ランキングを出すと、ほぼ女性向けのもので上位が埋め尽くされる状態だ。
しかし、だからこそ面白みが出る可能性もある。
パイが小さいゆえに、局所的な流行が小さなパイを大きく揺るがしたりすることが起こりうる。
そういうわけで、Pixiv R-18小説 男子に人気のデイリーランキングを一週間分ピックアップし、二次創作の元ネタになった作品を集計してみた。
集計結果
あ、「ミリマス」を正式名称に直し忘れていた。アイドルマスターミリオンライブの略。
集計期間は、2017年11月30日から12月6日の一週間とした。
複数作品を同時に原作とする、いわゆるクロスオーバー作品は、両方に加算した。
「オリジナル」は、オリジナルと明記していないもので、私が原作を判断できなかったものをすべて加えている。
特に原作の名前をタグ付けなどしていなくても、タイトルや登場人物から原作が判断できるものはその作品に加えた。
2作だけだった作品が、Fate stay/night、グリモア~私立グリモワール魔法学園、FAIRY TAIL、ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか、ご注文はうさぎですか?、フラワーナイトガール、私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!。
1作だけの作品は、プリンセス・プリンシパル、閃の軌跡、キューティーハニーF、戦姫絶唱シンフォギア、サモンナイト、戦乙女ヴァルキリー、ゼロの使い魔、ガールフレンド(仮)、仮面ライダー、君の名は。、食戟のソーマ、魔法少女まどか☆マギカ、召喚勇者とF系彼氏、NARUTO、ONE PIECE、美少女戦士セーラームーン、ファイナルファンタジー、戦刻ナイトブラッド、ダンガンロンパ、御城プロジェクト、銀魂。
2作以下とはいえ、アニメ・ゲームや特撮ではなくドラマの二次創作がランクインしていたのも興味深い。イラストでは起こり得ないように思う。
さて、ランキングを眺めると、そもそも二次創作よりオリジナルが圧倒的に人気だが、それは一旦置いておく。
確か1~2年くらい前だろうか、ある程度小説人気ランキングをチェックしていたこともある。
その頃には、艦これと、やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(俺ガイル)の人気がもっと目に見えて高かったように思う。
艦これは作品自体の人気が極めて高かった時期だったので、さもありなんという感じ。
俺ガイルがなぜかPixiv小説では人気だということは、知る人ぞ知るネタ、といった雰囲気だった。
現在、世間での人気に比して、やけにPixivのR-18小説で男子に人気が高いのは、「Bang Dream!(バンドリ)」かと思う。
私が知らないだけだったら申し訳ないけれど、バンドリの話は私の視界にはほとんど入ってくることもなく、まさかPixiv小説では艦これを超えるポジションに立つとは想像していなかった。
おそらく、以前から俺ガイルがそうであるように、Pixiv小説ローカル人気を獲得しているのだと思う。
他の作品は、まあ、概ね世間の人気と大きくは外れない、というところかと思う。
アイマス系が、シンデレラガールズ(デレマス)が強くて、大きく離れてミリオンライブ(ミリマス)、初期アイマスやディアリースターズなどは影もない。
少なくともアイマスに関しては、古参が未だに頑張っているというような事態は起きていない。
ラブライブも、旧作よりサンシャインが強い。
近頃人気の盛り上がりが著しいFate Grand/Order (FGO)も、さすがに順当なポジション。
艦これ人気もピークを過ぎてはいるとは思うが、まだこれくらいはあるだろうという位置にはいる。
アズールレーンの追撃が興味深いところか。軍艦ゲームとして多数のフォロアーを生み出したオリジナルの日本製艦これに、中国で生まれたフォロアーのアズールレーンが海を超えて追撃する、その図式が世間的にもPixiv小説でも起きている。興味深い。
ざっと眺めていて気付いたのは、基本的にゲーム系が強い。
人気の中心がアニメやラノベで、ゲーム化されていない・されていてもさほどヒットしていない作品は、あまりランクインしてこない。
アイマス系、FGO、艦これ、アズレン、ラブライブ(スクフェス)、ゲーム系ばかり上位にいる。
まあ、一連の話が流れていって最終回にオチがつけられるアニメやラノベと、多数の設定が散りばめられたまま物語には一部しか昇華されないゲームとでは、二次創作のやりやすさが全然違うんだけれど。
ゲームのヒットなしの作品は、ガルパン、おそ松さん、名探偵コナンなどが辛うじて引っかかる程度。これらのアニメのヒットぶりを思えば、ゲームが弱いと厳しいのは明らかだろう。
「まどか☆マギカ」は今でも周辺展開が続いている人気コンテンツだけど、ゲームの「マギアレコード」がさほどヒットしている印象もない。そして、1作だけランクインしたのはマギアレコードの二次創作だと明記されていた。
この点でも、俺ガイルは明らかに特異。
バンドリも、ゲームがラブライブ並みにヒットしているとも思いづらく、やはり特異だろう。
意外に弱く見えるのが東方。
私が東方を把握していたのが紅魔郷~花映塚くらいで、今の東方二次創作がどういう状況にあるのかさっぱりわからないが、Pixiv小説ではメジャーとは言い難いポジション。ちょっと理由がわからない。
グランブルーファンタジーはどうだろう。もうゲームの方の人気がピークアウトした感じもあって、順当なのか、あるいはPixiv小説での凋落は早すぎるのか。
ガールズ&パンツァーについては、あまりR-18が盛り上がる作品ではないせいか。けものフレンズが1作もなかったのも、作品の性質によると思う。
他に、少数ながらランクインしている作品について。
「東京放課後サモナーズ」という作品は、私は知らなかったけれど、LGBT向けと銘打ったゲームだった。
「LGBT向けのゲーム」というのがどういうものなのか、把握も想像もできていないので、結びつけていい話かどうかわからないんだけれど、Pixiv小説R-18男子に人気ランキングは、少なからず男性同性愛者向けの作品がランクインする。二次創作は多くないが、オリジナルではかなり顕著。
また、刀剣乱舞やおそ松さんのR-18二次創作がランクインしてもいる。刀剣乱舞なら女性審神者と刀剣男子の男女ものにもなりうるけれど、おそ松さんとなるとBLだろうと思う。
「女性だけど男性としてPixivに登録して、女性向け小説を読んでいる」という事例も少なくないのかもしれない、と想像している。男性のふりをする方がセクハラなどから身を守りやすいだろうし。
表では「ボーカロイド」としちゃったが、初音ミクではなく東北きりたんとか結月ゆかりだった。数が少ないので偶然かとは思うが。