大相撲九月場所は、三横綱休場に始まって二大関の途中休場、さらに人気者の若手・宇良まで怪我をした、という波乱の場所。
しかしまあ、相撲はスーパースターだけで見るもんでもないし、今場所みたいなときも楽しい。
阿武咲や貴景勝がどこまでやれるだろうとか、千代大龍の復活はどうかとか、さすがに豪栄道も大関らしいところ見せるし。
一方で、これまで長く横綱・大関で活躍してきた面々も、さすがに怪我や年齢からくる衰えも隠せない感じになってきて。
白鵬、日馬富士、琴奨菊、稀勢の里、鶴竜、豪栄道と、みんな30歳を過ぎた。やはり30歳は、衰えが見えてきてしまう歳だと思う。
それで、最近の大関以上に番付を上げた力士の、昇進した年齢と、引退していたらその年齢を、データとして並べてみた。
若貴世代以降ということにして、曙から髙安まで、23人。データはWikipediaの各力士のページから。
昇進については、初大関・初横綱として土俵に上がった場所が開催された月の1日時点での年齢。
引退は、引退日が分かる場合はその日、わからない場合は最後に出場した場所が開催された月の1日時点での年齢。
こうして見ると、やはりイメージ通り、30歳くらいが曲がり角かなあ。
横綱の場合は、10勝できないくらいだと引退せざるを得なくなる。大関よりも引退が早まりそう。
朝青龍はちょっと引退の事情が違うが、あの貴乃花も30歳で引退してるんだなあ。ちなみに千代の富士も30歳くらい。
白鵬とかかなり長い期間に渡って綱を張っている横綱もあるけれど、これは横綱昇進がすごく早いから長くなってる。
大関の場合は、引退のしかたも色々。大関のまま辞める人もいれば、十両に落ちてもまだ続けた人もある。潔いのもそれはそれ、やれる限りやるのもそれはそれ。
横綱よりやや引退が遅い傾向があるが、やっぱり30歳過ぎると辛そうなのは同じかな。引退より先に大関陥落する場合も多いわけだし。
10年も大関で居続けて陥落することなく引退した魁皇は、やはり類稀な大関だったんだなあ。
大関・横綱とも、昇進は早いか遅咲きかに偏って、中間は少ない感じ。
大関なら22~3歳でスピード出世か、20代後半の遅咲きか。
そして、遅咲きの大関が横綱までいくことは少ない。鶴竜・稀勢の里がわりと大関が遅かったが、それでも25~6歳。
数字だけ見ると、髙安はちょっと大関が遅くなっちゃったかな。私は髙安好きなんだけど……
遅咲き大関の引退が遅いという傾向も、魁皇を除いては特にない感じ。魁皇が特異。
出島も初大関から引退までは長いが、大関在位は長くない。
30歳を過ぎると衰えが始まる傾向は、残酷ながら変わらないらしい。
ただまあ、38歳でなおまだまだ幕内でやれる感じの豪風とか、35歳にして大関取りもありえる嘉風とかもいる。
ここ20年で稽古やトレーニングが変わって、長く体を保てる技術とかができてるのかもしれない。
今まさに30歳を過ぎている横綱・大関・元大関らは、2011年の八百長問題で相撲人気が沈みに沈んだ頃、土俵の中では強い幕内力士として、また巡業のような土俵の外でも、大変な苦労をして相撲人気を蘇らせてくれた人々でもある。
そう思うと、潮時が近づいてるのかなあと思うのは寂しい。
あるいは、過去のデータから見た30歳の峠を、今の横綱・大関陣がどこまで覆して長く続けられるか。それを見どころとして捉えるのもひとつの見方か。
偶然なのかなんなのか、今のトップクラスの力士がみんな同じような年齢だから、世代交代の時は一気に来てしまいそうでもある。
何か、強い力士の当たり年みたいなのが生じるものなのかな。過去にも、1971年前後の生まれに大関以上が多かった。
悪いケースとしては、四横綱と琴奨菊・豪栄道が近いタイミングで引退してしまって、今場所みたいな上位不在が平常状態になってしまうこともありえるのかもしれない。
栃煌山もそれくらいの年齢だし、妙義龍も去年くらいからついに番付を落としていってしまっている。
まあそうなったらそうなったで、次に土俵を引っ張れる若い人、と考えてみるのも面白くはある。
今もう上にいる髙安とか御嶽海はもちろんとして。
照ノ富士の膝の怪我がなければ、と嘆いても仕方ないけど、惜しいな。
貴景勝は、幕内に上がってすぐ勢いで駆け上がって、でも手の内が知られて対策されて一旦止まって、というよくある流れを辿ってるところかな。跳ね返してさらにひと伸びできれば大物になるかも。
阿武咲はまだ、対策されて止まるところまでは経験してないか。これから一洗礼浴びそう。
あるいは、停滞してしまっている感じの力士が、なにか新しい形を見出して再始動するようなケースもあるし。すでにそれがあったのは玉鷲。正代とか逸ノ城も何か出ないかな。
私は、朝乃山がちょっと気になる。
背が高くて足も長くて格好がいい。顔もなかなか。私は見た目のいい力士が好きだから。
私の美的感覚だと、今の幕内で美形力士というと輝になるな。顔もいいし、長身で足が長くて。相撲って短足のほうがええんやろけど。
とまあ色々思ってみたけれど、相撲って一度好きになると、どういう番付表でどういう場所になっても、面白いと思えるようになれる気がする。
力士の怪我だけは、どういう角度で見ても嬉しいことには絶対にならんから、怪我の少ない大相撲であってほしいと望むだけ。